インターバル
A「宇宙五分前誕生説ってしってる?」
[点灯]
B「ん〜ん、なにそれ」
A「私たちの住む世界は何億年も前に生まれてその過程に私たちがいるんじゃなくて、私たちは五分前に歴史という設定をもって今この配置に置かれて、よーいっはい!ってカチンコ鳴らしたみたいに世界が始まったって説」
B「へぇ…」
A「つまんない?」
B「いや、ごめん。そういうわけじゃないけど。中々身体が起きなくて。」
A「外真っ暗だもんね。」
B「うん。でもありえない話ではないよね。」
A「真っ暗なのが?」
B「ちがうよ、五分前誕生説」
A「うん、誰もそれを確認できないけど誰も確認できないから否定もできないもんね」
B「どっちがいい?」
A「ん?」
B「地球は五分前に誕生しててほしい?」
A「そんなんどっちでもいいよ。でもまぁ、楽しい方だといいなぁ」
B「…カチンコ鳴らして、カットがかかったら世界はどうなるのかな」
A「…フリーズかな、」
B「フリーズか…」
A「うん、虚無のせかいへ」
B「悲しいな」
A「さみしいね。でもでも、私たちが役者でなくてキャラクターだったらどうする?この世界はゲームの中で、人はリアルな、VRてきな人生ゲームしてるの。死んだらゲームオーバーで卵型の機械から目が覚めてあー!くそしんじゃったよぉ!なんていいながらリトライするの。……でもこんなゲームつまらないね。でもプレイヤーからしたらそうでもないのかな。そもそも命がレンタルだったらっていうのも前に考えたんだけども…私ばっかりずっと話してごめんね」
B「いいよ。楽しいから、話して」
A「ほんと?ほんとに話すよ?じゃあじゃあ!宇宙細胞説は?」
B「どんなはなし?」
A「私たちの住む宇宙は1つの、誰かの細胞なの。そんで私たちの細胞も1つ1つが宇宙になってるの!」
B「入れ子構造になってるってこと?」
A「そうそう!無限ロマネスコ!!!ぐるぐるぐるぐるぼこぼこぼこぼこ…」
B「いぃきもちわるぃ」
A「水族館で見たナマズの大群の方が気持ち悪いよ」
B「あの壺から一斉に出てくるやつね!!」
A「いぃいっ!!」
B「うげぇあ!やめようもどそう」
A「わかった!じゃあじゃあ、この説の中だと、同一の生命の中に存在するとなりの細胞はパラレルワールドなのかな」
B「うーん、でもそれは宇宙人、とかのほうがしっくりこない?」
A「でも宇宙人も銀色の肌を持つのがあたりまえな並行世界なんじゃない?宇宙人の見た目で中身私たちかもよ?」
B「宇宙人が銀色とは限らないけども…まぁ、つまりアバターみたいなこと?」
A「そうそう!だから宇宙人がざ!宇宙じ…まちがえた、ジ!宇宙人!って見た目じゃないならさ」
B「ざでいいよ」
A「んふふ。ザ!宇宙人!って見た目じゃないならぁ、もはや私たちと全くおなじかもね。電気屋に並んだ、おんなじ映像流したテレビみたいに、私たちと全く一緒で今はふたりでおしゃべりしてたりなんだりしてね」
B「逆にとなりの細胞では2人とも猫とかだったりして」
A「そりゃいいねぇ、日向ぼっこしよう」
B「今は無理だからね」
A「そうだね。今は無理だね。…太陽が恋しいね」
B「暗くなってからそんなに経ってないでしょう」
A「それでも、もう二度と拝めないかと思うと、んね〜」
B「ひとつの宇宙がひとつの細胞なら核は太陽ってことでいいのかな」
A「そうだよ」
B「そうなの?」
A「私もそう思うもん」
B「そうか、なら多分そうだね」
A「うん」
B「あのさ、この説でいえば太陽が消滅した私たちの世界は核を失ったから、そろそろ終わるってことかな」
A「そぉだね…」
B「細胞ってゆっくり死ぬのかな、突然死ぬのかな」
A「前に夢でみたのはね、ゆっくりだったよ」
B「夢でみたの?」
A「夢でみたよ。夜明けの逆再生みたいだった。あぁおかったよ。最後に君に会お〜って思ったけど電車とバス乗り継いで会いに行ったとして、世界が終わるまでに間に合うかなぁ〜って考えてた。考えてたら起きた」
B「でも、現実じゃこうやって会えたんだからいいね。太陽の消滅という前兆があったんだからこれはゆっくり死ぬってことかな?」
A「そおねぇ…ねぇねぇ」
B「ん?」
A「次の細胞でもお話聞いてね」
B「うん」
[暗転]
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