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東洋医学の問題点

陥りやすい治療家の心境

前回の記事で、西洋医学が変わっていかなければならない問題点についてかきました。

そんな中、私たちセラピストも多くの人が結果が出せないことへの葛藤や悩みを抱えています。

腰の痛みや膝の痛みなど同じような症状を訴える人でも、同じことをしても良くなる人と良くならない人がいる。
よくなったと思ったら、また同じ症状を繰り返す。

教科書的に書かれている内容を実践しても良くならない人はたくさんいます。
勉強しても勉強しても、効果が曖昧だったりします。

そうなると、己の無力さを感じ、勉強することを辞めていってしまいます。

・その場で少しでも満足してもらえればいいや
・それっぽい理屈で相手を納得させられればいいや
・治らないのはあなたの努力が足りないからだ
・難病や中枢疾患であれば、病気のせいだから現状を維持できれば良い方ですよ

などといった思考に陥ってしまいます。

プロ意識はなくなり、家族を養える収入があれば、そして、相手に寄り添ってあげる“共感力が自分の売りだ”などと言ったことを発言するようになります。
(共感力はめちゃくちゃ大事ですが、みんながあって当たり前の部分でそれを口実にプロ意識がなくなることが問題)

この状態のセラピストは正直多いです。
悲しいですが、、、
リハビリや治療を受ける側には本当に失礼な話ですが、私自身もこのような気持ちになっていたことはあるので、この状態で立ち止まってしまっている人の気持ちもよくわかります。

この段階から、さらにもがき始めると、東洋医学的な視点にたどりつき、おそらく以下の状態へと変化していきます。
(鍼灸師さんなど東洋医学を最初に学び始める方は当てはまらないと思います、、、)

まず、前回の記事でもあったように。西洋医学は身体と心を分離して考えたり、局所や数値ばかり診て、湿布と服薬だけで対処して治癒せず悩んでいる方がたくさんいます。

心身一如、心身相関という言葉があるように東洋思想では、心と身体を分離せず、一つの共同体として考えています。
また、局所の原因を全体との繋がりから考えて紐解いていきます。

そして、東洋医学では「気」という概念が存在し、「経絡」といわれる目にはみえない「気」の流れを調整することで元気になる人がいます。

心の状態は「気」の流れに大きく影響を与えることを知り、それを活かして実践していると、これまでよりも多くの方に対応できるようになり、結果がでることも増えてきます。

実際に心の問題による大きさは、知れば知るほど感じることになります。

しかし、それでも対応できない人はまだまだたくさんいるのです。

すると、今度はその人がよくならない原因を、
・あの人は自分の心と向き合えていないからよくならない
・周りの人に不平不満ばかり言っているからよくならない
・心と身体のつながりを受け入れないから上手くいかない
など、

心のせいばかりにして、自分にはあたかも他にできることはもうありませんよ的なことを言い出したりします。

ですが、こういうことをいう人に限って、機能・構造的な原因を疎かにして見落としてしまっているのです。

この要因には、東洋医学の「気」の流れを整えることに対する全能感があるからかもしれません。


「気」ですべてが解決するのか?

東洋医学の理論では身体を流れているのは「気」だけではありません。

「血」「津」というものも流れており、これらのバランスが大事です。

「血」は熱を運び、「津」は水を運びます。
「血」の持つ熱は「津」によって調節されて温められ、「津」が「気」を放出します。そこで放出された「気」は「血」が燃えるために必要とされます。

「気」には「血」を先導するという役割があり、その部分だけ切り取れば、「気」がすべてという考え方も成り立たないわけではありません。
しかし、それが「血」や「津」を流す手段を禁ずることにはならないはずですが、このような考え方の人もいるようです。

「血」はトラック、運転手が「気」だとするならば、道路は「身体」です。
どれだけ優れた運転手でも、道路である身体の構造に問題がある場合は効率よく辿り着くことはできません。

“構造の狂いには、構造の狂いを矯すしかない”
昭和初頭の鍼灸師、澤田健氏の言葉

シンプルに考えれば「確かに」と思えるようなことが、自分たちのこだわりやエゴによって見過ごされているのです。

すべてを「気」で説明しようとするのは、こちらも西洋医学同様、宗教的な部分があります。
(結果的に「気」の巡りは整うのですが、、、)

構造で説明できるものは構造で説明すべきだと思います。


もとろん、このような記事を書いている私にもまだまだ治せない方はいます。
そのたびに無力さを感じるし、上述したような心境になることもあります。

しかし、思ったような成果が出ないのはそれなりの理由が必ずあります。
刺激の与え方や量にも原因はあるかもしれません。

服薬状況、住んでいる土地の気候、性格、生活動作、飲食の量やタイミング、活動量、人間関係、、、
とにかく考え続けることです。

先入観を捨て、自分のこれまでの固定観念を壊す勇気を持って、西洋医学的な視点、東洋医学的な視点、そしてその他の分野の考え方など、使えるものはなんでも使い向き合い続けましょう。

また、先人たちは書籍などで、本当にたくさんのことを記し残してくれています。
だから、歩みを止めなければ、解決するための方法は必ずみつかるはずです。

そこに対する情熱とプロ意識を持って!!

自分自身に一番響きますね。

目の前の人のために“手段に囚われない”

参考文献“身体構造力〜日本人のからだと思考の関係論〜”伊藤義晃著

お読みいただきありがとうございました。

謙虚・感謝・敬意
知行合一・凡事徹底
岩瀬 勝覚


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