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葉月 陽
2021年4月1日 00:08
「なぁ……」「ん?」「俺さ、思い出したんだよ」 沙織の葬式の帰り道、それまで黙っていた亮がやっと口を開いた。「何をだよ?」「昔のこと」「だから何をだよ?」「うん……」 やっと口にした物の、まだどこか躊躇っているように亮は言いよどむ。 頭をかきむしり、懐から取り出した煙草に火をつける。そしてまた黙り込んでしまった。僕にはそれを見守るしかなかった。 ときおり僕の方に目を向けるが、ば