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春のプール

 プールの水を満たさなければならない。
 もともとあるプールの隣にプール、一号棟の屋上にもプールを設計した。誰もいないプールサイドに立って水が満ちていくのを眺める。
 コンクリートの上に、浅葱色のラインを引く。人の立つ位置を黄色いペンキでプロットする。静かに風が吹いて、水面が揺れている。

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 小学生くらいのころ、僕らは四人で山のなかの散歩道を歩いていた。彼女はふだんあまり話さない僕に対してからかうように話しかけ続けてきた。僕は途中のトイレで彼女の首を絞めて殺した。

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 金属を精製しているらしい三階建てくらいの建物で働いている。私は誤って溶けた金属を溢れさせてしまう。床が金属の毒で汚染され、作業場の人びとは非難するでもなく淡々とそれを除去しようとする。しかし金属は彼らを足元から確実に蝕んでいく。鈍色の床、分厚いコンクリート打ちっぱなしの壁に開いた、ガラスのない窓から見た空が青い。

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 母親に、習っているピアノをやめると告げた。口にする前はそれがひどく悪いことのように感じていたけれど、母親のきょとんとした顔を見ていたら、突然ピアノはもうすでにやめていたことを思い出した。おかしい、なにこれ、私は、と半狂乱になりながら叫ぶ。

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 いなくなってしまったあのひとがついったで呟いているのを見つけた。あっあのひとがいる! と思ったけれど、夢だった。

#夢 #日記 #拾った手帳 #プール

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