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病によるキャリアの再構成② ー3回の治療の過程で変化していった病の意味

癌の再発の過程(いま3回目)で、私のキャリアにどのような影響があったか、その影響を通じて、「病」の意味がどのように変化したか、を書いています。

最初に発覚した時の記事は、こちら↓ご参照ください。


では続きを。

<2回目の発覚 ー医薬の発展に感謝し、フリーの良さを実感させた病>

先の記事で、「完結した過去の物語」になったと書きましたが、私は、1回目の治療が終わった時に、「治った!」と思ったのです。
もちろん再発の可能性は説明されていましたし、月1回検査を受けて経過観察をしていました。

再発がわかったのは、2019年9月中旬。
この9月末に退職を予定していて、退職後は人事系コンサルタントとして活動をスタートする予定にしていました。
ドクターから知らされた時には、ショックというより、なんだかびっくり。
「え?再発ってほんとにするんだ!」と驚いてしまったのです。それぐらい、終わった気になっていました。

また髪が抜けるのか・・・というのは憂鬱でしたが、早い段階で見つかったわけですから、治療については心配していませんでした。

この時は、「やっぱり病気って大変だなぁ・・・」という当たり前な感情と、一方で、「フリーになって良かった」というポジティブな気持ちもありました。

もちろん収入面では不安定となりますが、仕事の量やスケジュールを自分で調整することができます。
治療を続けながらも、自分の能力を自分のペースで発揮できるようコントロールできる。
そういった面で、フリーで働けるというのは大きい意味を持ってくると感じました。

タイミング的には出鼻をくじかれた感はありましたが、組織から自由になったことを実感できたのも、正直なところです。

薬は思いのほかよく効いて、腫瘍は3カ月できれいになりました。
血中に癌細胞が残っている可能性があるため、念のためプラス3カ月やるという選択肢もあったのですが、
再発防止の新しい飲み薬があるということで、そちらに切り替えることになりました。

この薬もまた、私には驚きでした。
昔は恐ろしい病気だった癌を、飲み薬で防ぐことができる。

「医学の発展すごい!薬を開発してくれてる人に感謝!」と、復帰を祝ってくれた昔の上司に話していたら、返ってきた言葉。

「そうなんだよ、発展してるんだよ。だから俺たちは、1日でも長く生き延びるんだ」

彼は難病指定されている病気にかかっていて、普段はそんな様子は見せないのですが、薬の副作用に苦しんでいました。
1日でも長く生き延びれば、医薬の発展の恩恵を受けることができる可能性が高まる。
だからこそ、諦めてはいけないのかもしれません。

そして能天気な私は、「これでもう再発しない!」と喜んで、
またこの経験を、過去の物語として片づけてしまいます。


<3回目の発覚 ー「病」をキャリアに組み込んでいく>

そして3回目、先月にまた再発がわかりました。
年明けから、どうも検査結果の数値が微妙になってきていたので、多少覚悟はしていたのですが、
やはり、「またか・・・」というショックは大きかったです。

ようやく髪も伸びてきて、仕事も来期に向けて順調に広がってきたのに、ここにきてまた障害にぶつかるのかと・・・

治療の目標について、今回は、「根治ではなく、腫瘍の縮小か、悪化しないよう維持すること」と言われました。

どうやら私の状態では、抗がん剤でいったん良くなっても根治は難しく、今後は再発を繰り返していくだろうという見込み。
年齢を重ねれば再発までの期間も伸びていくこともあり、治療をしながら寿命まで生ききる、というパターンは結構あるらしいです。

とはいっても、これまでだいたい1年2カ月ぐらいで再発してまして、
まだ40代ですので、再発の期間が伸びる年齢になるのは何年後か・・・
今後もこの調子では人生設計も何もできたものではありません。

一番は、仕事をどうしていこうか、というところです。
減らそうかなとも考えたのですが、いつも容赦なく叱咤激励をしてくれる先輩から、「やんなさいよ!」と言われたので、やることにしました;;
正確には、「やんなさいよ!仕事をやめるのは、ほんとに出来ない状態になってから、考えればいいのよ」と。
おっしゃる通り。最初から逃げ腰でどうすんだと。

他の人と話しても、言い方は違えど似たり寄ったり。
思っていた以上に、「治療と仕事の両立」は浸透しています。
もっとみんな優しくして;;; とも思いましたが、世の中そんなに甘くありませんでした。もっと頑張れ自分。

4.「病」の意味の変化 ー障害からキャリアを紡ぐ糸へ

そんなわけで、改めて、いま今後のキャリアについて考え直しています。
私にとっての「病」は、一時的な障害ではなく、もう「過去の物語」となることもありません。

私のキャリアのイメージは「撚糸(よりいと)」です。

例えば、仕事や資格や仲間など、一本一本は細くて切れそうかもしれませんが、密接に絡み合って撚糸となることで、太く力強さを持ちます。

複数の糸を撚り合わせ、紡いでいくことで、どんどんと伸びていき、そしてその方向は柔軟に変化する。

「病」も、私にとっては、そんな撚糸の中の一本となりました。

これが、私にとっての「病」の意味の変化です。
このように意味が変化した結果、「病とキャリア」についてnoteに書こうと思い立ちました。

今後はハイペースで仕事をするのは難しくなりますし、できれば家でできる仕事がいい。
例えば、書く仕事を増やしていけるといいな、と考えたりしています。
考えていたよりもスローペースで、でも充実感を感じられるキャリアを、創っていきたいと思っています。

実現させるためには、こうやって言葉にしてみるのも大事!ですね。

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