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キャリアコンサルタントの学び

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2021年3月の記事一覧

小話③ キャリアコンサルティングと文化人類学(2)ーカウンセリングに対する日米の違い

小話③ キャリアコンサルティングと文化人類学(2)ーカウンセリングに対する日米の違い

前回もこのテーマで書きましたが、今度はちょっと違う角度からの話となります。

今の日本では、キャリアコンサルタントは供給過多の状況です。
というより、需要が少ないといったほうが適切かもしれません。
そもそも欧米のようにカウンセリングを受けるという文化がなく、カウンセラーやコンサルタントに対する懐疑的な見方も強いのではないでしょうか。

渡辺(2002)「新版カウンセリング心理学」を読むと、社会の複

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小話② キャリアコンサルティングと文化人類学(1)

小話② キャリアコンサルティングと文化人類学(1)

キャリアコンサルタントが学ぶべき理論のうち、カウンセリング理論は心理学の領域ですが、学際的な関心を持つことも大切と考えられます。

コーヒーカップモデルでおなじみの國分康孝先生は、「カウンセリングを支える主たる学問は、心理学、社会学、文化人類学である」としています。

心理学、社会学まではいいとして、「文化人類学??」と最初はぴんときませんでしたが、異文化圏の方を対象にしたカウンセリングについての

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理論概要⑥ カウンセリングと隣接領域

理論概要⑥ カウンセリングと隣接領域

これまで見てきたように、カウンセリングの理論は臨床心理の領域で発展してきた経緯もあり、そもそも「カウンセリングとは?」「心理療法との違いは??」ということは繰り返し問われてきた歴史があります。

1.カウンセリングと心理療法ロジャーズはこの二つを区別せず、両者の混乱の一因を作ったと言われています。わかりやすいと思うのが、渡辺(2002)の整理です。

カウンセリングと心理療法の相違点は、一般的に、

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理論概要⑤ 職業指導からカウンセリング心理学へ

理論概要⑤ 職業指導からカウンセリング心理学へ

前回、カウンセリングの誕生の過程を書きましたが、もう少し詳しく、
カウンセリング心理学として成立していく過程をまとめます。

1.ウィリアムソン派とロジャーズ派の論争伊東(1995)は、1949年にアメリカへ留学した時の様子を記しています。

「当時のアメリカのカウンセリング界を支配していたのは、ミネソタ大学であり、・・・(中略)。カウンセリングの理論としては、その大学のウィリアムソンの唱える「臨

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