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PMリトリート#1参加レポ〜答えの出ない難儀こそ宝だと気づく会〜

去る3/25、"PMリトリート"なるものにお誘い頂き、ドキドキしつつも参加してきました!めちゃくちゃ遅くなりましたがレポートをまとめます!

業務でゴリゴリにプロダクトをマネジメントしているPM達で集まり、それぞれがトピックを起案し、そのトピックを議論したい人達同士でグループを作ってざっくばらんにディスカッションをするというOST(Open Space Technology)形式での会。全部で12トピックが議論され、そのうち3トピックに参加させて頂きました。

結論から言うと、この形式自体がすごく良かったです。セミナー型のイベントも、他社の成功事例やノウハウを聞けて大変勉強になるものの、公に情報が出てしまうからこそどうしても"良い話"や"わかりやすい話"寄りになってしまう縛りがある中、PM同士のリアルな悩みや思いを前準備無しで雑に語れる場って想像以上に貴重だったんだなと思いました。参加させて頂き、本当に主催の横道さん蜂須賀さんにはただただ感謝です!

ここからは、臨場感を伝えたいのであえてまとめすぎずに、議事と感想を共有していきます。


Sprint1 プロダクト開発と経営の接続について

トピック

  • プロダクト開発に関する経営への接続のあるべきとは?

  • PMのポリシーとCEOのポリシーに乖離がある場合、どう擦り合わせて行くのか

議事録

  • 大前提、プロダクト開発は予算規模が大きく、アウトカムの不確実性も高いので、経営への密な連携は不可欠

  • 一方、プロダクトの検証やデリバリーのスピードを高めるにはある程度の裁量が必要で、プロダクトアウトで成功している会社は経営が現場に大胆に裁量を与える事が出来ていたケースが多そう(メルカリ社など)

  • 経営がプロダクトに裁量を与えられるケースってどんな時?

    • すでにプロダクトがマーケットフィットして大きく事業を牽引しているケース(予算的にも余裕があり、予実蓋然性よりスピードが重視される事が多い)

    • CEOがプロダクト開発や技術に強みがある、もしくはCPOが取締役レイヤーにいる等、経営が既にプロダクトや開発組織に対する解像度が高く、必要以上の報告や説明が不要なケース

    • ガバナンスが効いており、定義された報告事項の事柄以外は責任者に明確に裁量が持たされているケース

  • どのパターンを実現しにいくか、はひとつの軸としてありそう

    • PM出身の取締役CPOを増やしていきたいし、CEOにプロダクト開発の理解を促していく試みも必要

  • とはいえ会社の業績やプロダクトのフェーズ、そもそもbynameでの経営者・PM全て変わりうるし、予期せぬインシデントが起こる事もある。どれほど今信頼関係や裁量があったとしても、後から「あれってなんでこうしたの?こうなったの?」と説明責任が求められるケースは当然ある為、裁量の有無に関わらず連携すべき項目とその予実は握っておくのはめちゃくちゃ大事

  • どんな項目を伝えるべきか・伝えないべきかは、会社・事業・プロダクト・各人によって一定度異なる為、向き合って個別に定義する

  • それを"誰と誰が握るべきか"も、特にベンチャー初期だと曖昧になりがちで、それが後々の組織課題や経営課題になる事もありそう

    • CPOがいるならCPOであるべきだが、まだ日本ではCPOが役員レイヤーにいない会社の方が多い

    • ベンチャー初期だとなんとなく一人目PMになりがちだし、経営への接続をわざわざ意識するほど経営と開発組織の距離が遠くない事も多い

    • 後から急に会社が成長して距離が出来て、はじめて課題に気づく(あるいはそれでも気づかない)ケースは多そう

  • CEOもCPOもまじで色んなタイプがいる、みんな癖あるし、得手不得手もある

  • 文化や言語が異なる相手に伝えるのはとても大変だけど、それこそプロダクトマネージャーの仕事でもあり、CEOの多忙さや孤独に寄り添う姿勢も大切にしていきたい

  • その為にも日々健全なメンタルでいたいし、メンタルタフネスも必要だよね!

まとめ・感想

このトピック、振り返って「正解が無い」という意味でこの日一番むずかしいトピックだったなと思いました!とはいえ、間違いなくPMが難儀を感じるポイントでもあり、PMだからこそ全力で取り組むべきテーマでもあるはずで、各社でご経験積まれた皆さんがその時々の関係性や事業、フェーズに合わせてどのように悩んで何を意識し、工夫を凝らしてきたのかの話をシェアし合えたのはものすごく貴重な時間でした。

Sprint2 PMのオンボーディング・人材育成について

トピック

  • 未経験からプロダクトマネージャーを育成するには?

  • シニアプロダクトマネージャーとは?どうやったらシニアを育てられる?

  • シニアプロダクトマネージャーのその先は

議事録

未経験からプロダクトマネージャーを育成するには?

  • 基本的にはOJTが有効。やってみせること、実際にやってみてもらってフィードバックをし続けて、市場で成功体験を作らせるのが遠回りに見えて一番の近道(山本五十六さま〜〜!)

  • この前提に立つと、一定度の比率はシニアPMが必要

    • でもシニアPMの採用は難しい。どこにいるの?(わかる)(わかる)

    • PMの業務委託って避けられがちだけど、育成のミッションでフリーランスのシニアPMに頼る手段は全然ありかも(なるほど)

  • 何人かのPM育成候補がいる場合は、PM特性の高い人を引き上げていく姿勢も大切

  • PM特性とは?

    • 圧倒的当事者意識

    • もっと言うと「自分がやった方が早い」と言って人の仕事を奪いに行くタイプ(異業種からの転換ケースに多い)

      • こういうタイプは"めんどくさい人"扱いもされがちだったりするが、そのクレームが「組織やプロダクトの為」の発言なのか「自分の為」の発言なのかを見極めて引き上げてあげる度量も必要

      • ただこういう引き上げ方をすると敵も作りがちなので、任せると決めたなら皆が応援しやすい環境・失敗しても挑戦を評価する環境を整えるのは引き上げた側としてもやるべき(後続のためにも)

シニアプロダクトマネージャーとは?

  • 事業を作れる:プロダクトの力で売上・利益を伸ばせる

    • とはいえ、事業ドメインが変わればどんなシニアPMも一度初心者に還るので、転職するとシニアPMの経験はリセットされるのか?

    • むしろ初心者に還った事を自覚し、そこから素直に学べる・人に聞ける能力こそシニアPMの要件なのでは

  • 組織を作れる:ピープルマネジメントから組織/体制設計までできる

  • あとはどこまでいっても経験数(打席に立った回数)と再現性

基本は経験を重ねるしかないし、逆に何年経験を重ねようとも常に当事者意識を持って謙虚に学び続ける姿勢こそがシニアPMのあり方、というのはとても良い話でした。

シニアプロダクトマネージャーのその先は

このサブトピックについては、数々のPMを見てきたクライス&カンパニーの松永さんから正解を教わった形だったので、割愛します。LINEドクターPMのいけこさんのレポでわかりやすくまとめられているので是非。

また、まさに4/15にこのテーマでシニアofシニアPMのエムスリー山崎聡さんと及川卓也さんがお話をされており、めちゃくちゃ腹落ちする言葉がたくさんあったのでこちらも是非。

Sprint3 課題探索・アイディア探索の時いかにバイアスを外すか

トピック

  • 課題探索・アイディア探索の時、みんなどうやってバイアスを外す工夫をしてるの?

議事録

  • 「この課題領域ならこの施策が勝ちパターン」という固定概念が付きがちだが、ターゲットやドメインが変われば結果が変わる事はゆうにあり得る。シニアになればなるほどこのバイアスが強まるのではという不安感がある。

  • 偏り、という意味では完全に"バイアス"を外すのは難しいのでは。様々な情報をインプットして一定偏った意見を持って、それを実現するのがPMの仕事でもある。

  • むしろ、バイアスはある前提で、そのバイアスを自覚して一定施策の成功確度を上げる工夫ができるかが大事なのでは?

  • バイアスがかかるタイミングとして、課題探索のプロセス・アイディア探索・リリース後検証等があるけど、課題探索とリリース後検証の時、一次情報を取りに行く時点でバイアスが入ってしまうのは、その後の全ての意思決定が歪むので最も気をつけるべき

  • 例えばデータ分析などの際にも、どうしても忙しいと自覚的にも無自覚的にも「フラットに情報を取りに行く」よりも「欲しい答えを取りに行く」衝動にかられる時はあるよね…クエリ書くの大変だもんね…

  • リソース上余裕があれば、調査に関しては別の担当者についてもらうというのは、バイアス排除の観点では有効

    • データ調査はデータアナリスト・データエンジニア

    • インタビュー調査はUXリサーチャー

      • インタビューも、PM自身がやるとどんなに排除に努めてもバイアス入った質問をしてしまう瞬間はあるよね…(わかる)(わかる)

  • バイアスを持つ側と検証する側が別れれば徹底して検証してもらえる

  • その上で、アイディア探索の時には一定バイアスがある自覚を持って、その後のリリース後検証で評価を繰り返していく、というのが、PMが"正しいバイアス"を育てていくのに有効なプロセスなのでは

  • でもデータアナリスト・データエンジニアの採用死ぬほど難しくない?(わかる)(わかる)

    • データアナリスト・データエンジニアの中でも、プロダクトマネジメントマインドが高い人はおり、そういう人とタッグを組めるとPMは本当に幸せになれる

  • バイアスを外す為に全くターゲットユーザーではない外のユーザーに話を聞きにいくフィールドワークをするのもとても有効で、視界が広くなる

まとめ・感想

これも比較的答えが出ない寄りのトピックではあったものの、個人的には「正しくバイアスを育てる」という考え方がとても好きで、その為に個人だけでなくチーム・プロセスで検証確度を上げていくというのはプロダクトマネージャーらしい発想で素敵だなと思いました。

おわりに

全体を通して感じたのは、みなさんドMだな〜!!という事でした。
とにかく皆さん嬉しそうに「これが難しいよね」「これほんとね〜!どうにかならんかね〜!」と艱難辛苦について語り合っていて、どうにもならない難儀があるからこそ、そこに向き合うのが楽しいし、そこにがむしゃらに向き合っている同士を見ると単純に嬉しいんだな、と思いました。
他の専門職種と比較しても、プロダクトマネージャーってやはり知見共有やコミュニティ化がものすごく難しい。社内のPMは人数比率少ないし、社外のPMでも同じドメイン同士だと競合優位性を毀損するリスクがあったり、違うドメインだと前提条件が違いすぎて共有できる事が少なかったり。けど、こういう場でトピックベースで話題を切ってみると、こんなにも楽しく自分自身の難儀を宝物のように分かち合えるんだな、ということを知れたのは本当に素敵な事でした。

多くの学びはもちろん、ものすごいエンパワーされたし、いい意味での焦りももらえて、めちゃくちゃ楽しかったです!本当にありがとうございました!


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