見出し画像

当たり前は当たり前じゃない

高校生の頃当たり前だった景色は
今となっては驚く景色だったりする

高校生の頃、私は朝バス通学だった。学区外なこともあり、毎朝5時に起きて準備をして6時10分のバスに乗っていた。

私が一年生の半分を終えた頃、ふとバスの中の人たちが思えばいつも同じ人なことに気づいた。通勤通学だから当たり前なのだが、毎日変わらず、そして、毎日同じ場所に彼らは座っていた。

新聞を読んでいる人、本を読んでいる人、携帯を見ている人、舟を漕いでいる人…やっていることも毎日ほぼ、変わらない。

3年間で私もその景色によくなじんだ。彼らのうちのワンピースになっていた。カバンが大きかったことと、途中で友人が乗り込んでくることから、バスの後ろから二番目の2人席は私の空間だった。私は大抵寝ていたが、目的の場所に着く二停前で目がさめることも、友人に「おはよう」と声をかけるところも、全てがいつも通りだった。

そんな中である日のことだった。私の2つ前の席に座っているサラリーマンの方が乗っていない日が続いた。3日経っても4日経っても空席だった。時には他の知らない人が座っていることもあったけど、私の中でそれは違って、違和感の塊だった。

何日経ったか忘れかけた頃、そのサラリーマンの方は戻ってきていた。何事もなかったかのように、いつもの席に座って、本を読んでいた。そう、本当にごく自然に。その日のバスの中はいつも以上に安眠できたことを今でもはっきり覚えている。

もう私が卒業をして四年の月日が経とうとしている。私とともに通勤通学をしていた彼らは、私がいなくなった空間に違和感を少しは持ってくれただろうか。私の特等席は今は誰が座っているのだろうか。その子はその空間のワンピースになっているのだろうか。気になることは山ほどあるが、私はきっとその時間帯のそのバスにもう乗ることはない。

前、当たり前だった時間が、空間が今思うとすごいことだったりもする。もう今では5時に起きるなんて出来ないし、毎日、登校するということも意外と当たり前じゃなかった。毎日課題をやって、1日に3時間も4時間も勉強することだってない。高校生の私から激怒されるだろうが、今となっては雨が降ったら学校を休んだり、やりたいことを優先する日々が当たり前になっていたりもする。

あなたの今の当たり前はなんですか。それはいつから当たり前ですか。たまにはその当たり前を褒めたりしたっていいんじゃないでしょうか。その当たり前は当たり前じゃなかったりだってする。それを続けているあなたは凄いんだって少しは思ってほしい。

#バス
#日常
#当たり前なこと
#高校生
#大学生

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?