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仕事のオーバーラップという考え方、相手領域へのリスペクトが仕事を良くする


経営者に限らず部門の責任者など、新たなビジネスを創出する際に、契約書を作成したり締結するシーンを多くの人が経験していると思う。

法務部門や弁護士事務所からの助言を得ることがあると思うが、助言をもらうための背景説明を怠ったり、丸投げしたりしてないだろうか。

私自身、過去に何度も「なぜ法律家に相談しなかったのか」「なぜこの観点を契約に盛り込まなかったのか」を悔やんだことがある。特に起業後数年目の頃の失敗談が多いが、ビジネス的な観点という意味では最近だって反省はある。

ビジネスと法務の境界線の例

誰かにモノやサービスを提供するとき、誰かと協業するとき、どのようなビジネスシーンであっても契約が存在し、どのような契約とするのかはビジネス創出において非常に重要な要素となる。私は、契約内容を設計することは、ビジネスを創ることとほぼ同義だと考えている。そして、ビジネスの知見と法律の知見を重ね合わせて強いビジネスが生まれると信じている。だからこそ、ビジネス側の私にとっては法務専門家とのコミュニケーションは日常の一部で、なくてはならない存在だ。いつも本当にありがとうございます。

私たちは新規でビジネスを創る時には、こんな流れをとっている。
①ビジネスを構想する
②ビジネスモデル(ヒトモノカネの流れ)を描く
③類似する過去契約書や契約に含まれる要素があればその内容を確認する
④社内に類似案件がなければ説明しやすい世の中の事例を確認する
⑤ビジネス観点からの契約書(または実現したい項目の整理)をドラフトする
⑥法務専門家へ①~⑤とその背景を説明する
⑦法務確認とレビューを数回繰り返して最終ドラフトする
⑧契約相手がいる場合は、相手との確認を数回繰り返して最終化する
⑨契約締結やサービスロンチ

実際、完成に至るまでのほとんどのプロセスはビジネス側の仕事と言えないだろうか。更に言えば、ビジネス側もその業界を長く経験していることで慣習を理解し、法務以上にその業界における法律だけに限られないルールへの知見を持っていることだってあり得る。そこにプロフェッショナルの知見を取り入れる。やはり知恵は出し合った方がより良い仕事ができると思っている。だからこそビジネス側から法務の領域へどんどん入り込んで一緒により良いものを作ろうとするのだ。

仕事のオーバーラップという考え方

ビジネスを創る側の仕事領域と、法務専門家の仕事領域の境界線は、他の部門と比較しても境界線がわかりやすい事案だが、意識的に相手側に入り込むくらいの仕事の仕方が私たちでは良しとしている。

これはビジネスと法務の関係性に限らず、仕事領域を相手側の守備範囲まで「オーバーラップ」することは、お互いを助け、仕事の完成度を高めることができると考えている。

”サッカーにおいてオーバーラップと言う言葉は、ボールを保持しているプレイヤーを、後ろの選手が追い越していくプレーを指す際に使用される。
オーバーラップを生かした連係は個の能力もさることながら、プレーヤー同士の相互理解と連係習熟度の深化が何よりも問われる高度なプレーである。オーバーラップによって生じるメリットとデメリットをチーム全体が素早く把握し、より高度に、成熟した連係へと昇華させていくことが現代サッカーの選手には求められているのである。”
 Wikipedia「オーバーラップ(スポーツ)」より

我々の組織には、開発とオペレーションと営業と管理の部門が存在するが、何かを解決しようとする時それぞれがオーバーラップするシーンがあり、またそれをカルチャーとしている

例えば、開発側がオペレーションの課題について現場の人間同士がミーティングを開き、システムで解決する領域と、人(オペレーション)が解決する領域を棲み分けたりする。このとき、開発部門にいるメンバーでもオペレーションの理解を高めるために旅行業務取扱管理者の資格を取得までする人も少なくない。こういうのは見ていて勝手ながら最高だなと思ったりしてる。

それぞれの領域に対する理解は、それぞれの領域に対するリスペクトにもつながると思っている。優しいオーバーラップが素敵だ。


読んでいただき、ありがとうございます!
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