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【雑感】2024/12/8 J1-第38節 浦和vs新潟

来季に向けて一足先にチームの成熟を図るなんて簡単に言うことはできますが、来季になれば多かれ少なかれ選手は入れ替わるし、シーズン途中からだと変えにくいことも約6週間のプレシーズン期間があればガラッと変えることも出来るわけで、この試合でどのくらい来季に繋がるものが見られるのかは難しい所だったなと思います。

ましてや、相手の新潟は残留が決まっていないので試合の結果が大事ではあったものの、浦和の方は引退する興梠と宇賀神だけでなく、契約満了で退団するリンセン(もしかすると他にも実はそういう選手がいたのかもしれません)を最後の埼スタのピッチに立たせてあげるというセレモニー的な要素が多分にあったので、チームとして勝つために何を狙ったのか、それをどこまで本気でトレーニングして、選手が吸収しようとしていたのかは分からなかったなというのがこの試合を観た正直な印象です。

それでも、これまでの試合に比べて良い変化もあったと思います。新潟が引き分ければOKということであまりリスクを冒さないようにしていたのかもしれませんが、少なからず良くなった点と、やっぱりここはまだまだだったなという点を見て行こうと思います。


保持志向の強い新潟との対戦にあたって、どれくらいボールを持たれるのかなと思っていましたが、意外にも浦和がボール保持する時間が長い試合になりました。新潟が4-4-2で構えたところからあまり前に出て来ないスタンスだったのと、浦和は西川がペナルティエリアよりも前に出て井上とホイブラーテンの間に入ってビルドアップに参加することが多かったことが1つの要因だったかなと思います。

浦和は西川が入るか、グスタフソンが下りるかで基本的に最後尾を3枚にして新潟の2トップに対して1人余るような状態になることが多かったです。特に西川がビルドアップに加わった時には新潟の2CHが浦和の2CHをそのまま見る形になるので、興梠が新潟の2CHの間や脇へ顔を出して縦パスを受ける場面がありました。

4'00~は西川が間に入って3vs2を作ったところから井上が興梠へ浮き球でパスを入れています。ただ、この場面は上手く収めきれずにボールを失ってしまいましたが、安居とグスタフソンが新潟の2トップの背中、2CHの手前にいるので興梠が上手く収められればこの2人のどちらかが前向きにボールを引き受けることが出来そうな場面でした。

また、5'56~はグスタフソン、14'25~はホイブラーテンが新潟の2トップの脇の脇からCHの間へ縦パスを入れて、渡邊がスルーして前へ、その後ろにいる興梠がはたいて渡邊へ、という形がありました。新潟が4-4-2から2トップが横方向に追うものの、SHはCHとの間に興梠が顔を出したり、手前や脇をウロチョロするSBが気になったのか、前向きにプレッシングしたそうな素振りはあったものの、その通りに出て行くことが無かったです。

ビルドアップを2CB+2CH+西川で担っていたので関根と長沼の両SBは前目にポジションを取ることが多かったです。右は前田が外側に張っていて、関根が手前では外側にいるものの前に出て行くときは内側からという形が多く、左は原口が早めに内に絞るのでどちらかと言えば長沼が外にいることが多かったのかなと思いますが基本的にはその場の雰囲気でというニュアンスだったのかなと思います。


この試合でもレイオフを使いながら前向きな選手を作ろうとする動きはあったものの、なんとなく興梠に当ててその次の誰かが前を向ければ良いなという印象でした。勿論、興梠に当てるということは中央で前向きな選手を作れる可能性は高いのですが、そこへボールが通らなければ外からしか進めないとなってしまうと途端に閉塞感が出てしまいます。

ただ、スコルジャさんが指揮していた時のレフポズナンは前線4人がこうして上手くコンビネーションを駆使しながら打開していくことが多かったので、そこの共通理解を深める、あるいは基準や優先順位を設定する、それに加えてSBやCHのかかわり方を整理する、ということを来季のプレシーズンで積み重ねていくことが出来れば、そういうことが出来る選手を補強出来れば、印象はガラッと変わるかもしれません。


スピード感が伴わなかったので決定機まではいかなかったものの、15'20~の展開は来季に向けてのヒントになるだろうと思います。

ホイブラーテンからの縦パスが宮本、原口をすり抜けて興梠まで通ると、興梠の落としを受けた原口から前田へのパスを内側から出てきた関根がカットしてゴール前へ向かっていきました。興梠→原口のところでもたついてしまいましたが、例えば興梠に対して前向きにボールをもらうのが原口ではなく安居だったら、もっと早く前田を使えたり、前田を囮にして関根が大外を駆け上がったりして、よりスピーディにチャンスを作れたかもしれません。

こうした、もうちょっと感覚が揃えばチャンスになるかもなという場面はあったものの、それ以外は中盤でオープンな選手が作れない、それによって相手の裏を狙うようなアクションが起きないという展開が多く、スタンドのテンションはなかなか上がりづらかったと思います。

ただ、それは新潟の方も同様で、浦和からボールを取ってもすぐにカウンターに出て行くことも、保持で綺麗に前進できることもあまり無かったかなと思います。それは新潟がボールを奪う位置が自陣になることが多く、浦和の方がレイオフを狙った動きをすることでボールを奪われた時にそのまま前向きに相手に対応できていたのが大きな要因かなと思います。

また、浦和の保持でスピードアップしない要因でもある中央での密集も、裏を返せば、ボールを失った後に周りに人が多いので簡単には脱出させないということもあるかもしれません。


新潟のビルドアップは2CBは少し広めに構えて間に秋山が下りることもあるという感じでしょうか。2CBが出来るだけ浦和の2トップの正面から外れてオープンに持てれば運び出したいということだったのではないかと思いますし、それで浦和の2トップが横に開けば中央にいるCHへのパスコースが空くよねということを狙ったのかもしれません。

そこに対して浦和は開いた舞行龍に対しては2トップ(主に渡邊)が出て、藤原には原口が出るのでそのまま噛み合わせ通りの対応を行い、早川に対しては前田を前へ押し出して、その背中にいる堀米にはSBの関根ではなくCHの安居をスライドさせるという対応を取りました。この対処で前者は10'00~、後者は16'38~で前進を阻んでいます。

ただ、21'55~は渡邊が舞行龍、小島へ二度追いし、興梠が近くにいた早川までそのまま出ると、安居がヘソの位置にいる宮本まで詰めて行って、全体的に周りの動きに応じてそれぞれが捕まえられる相手を捕まえに行くという動きでボールを奪うことに成功しています。ネガトラと合わせてこの辺りの意識は強くなってきているのかもしれません。

また、秋山が下りて最後尾が3枚になった時には、前田は脇にいる堀米を自分の真横に置くことで堀米を経由して中央の宮本へ渡さないような動きをしていることが多かったです。そのため、中央で前向きな選手が作れずに新潟の方もなかなかチャンスが生まれず、前半はシュートゼロに終わりました。


後半に入ると新潟は前半よりも早めに前にボールを飛ばして浦和のブロックを間延びさせようとしたように見えました。46'50~は自陣でボールを拾った堀米が素早く高い位置で開いていた谷口までボールを飛ばして陣地回復しており、49'13~は舞行龍がオープンにボールを持ったらすぐに太田、長谷川、小野が裏へ走り出してそこへボールを放り込み、グスタフソンがパスの方向を誤ると谷口がそのままシュートを放っています。

一方、浦和の方は前半よりも長沼が手前の位置からスタートするようになり、CHもグスタフソンが右で安居が左に代わっていました。2CHの動き方がグスタフソンは最後尾に下りたり前に出たりと動きがあったのに対して、安居は中央に留まることが多いです。なので、前半はグスタフソンが左CHだったので内側に入る原口ややそれに応じて動く長沼、トップ下の渡邊との距離が近くて詰まり気味でした。

恐らくこの詰まり具合を解消するためにある程度フリーに動くグスタフソンを右側に置くことで左側を長沼、原口、渡邊の3人、右側を関根、前田、グスタフソンの3人に分散してバランス良くしようとしたのではないかと思います。これによって前半に比べれば左右どちらもローテーションはスムーズになったかなと思います。

ただ、右は関根が前田のポジションによって中にも外にもポジションを取れるので適度に距離が取れていたのものの、左は原口がやはり中に入り込んでしまうのでゴール前で押し込んだ後にペナルティエリアの幅の中でしかボールがなかなか動かずにシュートコースが生まれませんでした。


また、後半は西川のビルドアップ参加が少なくなり、それによって最後尾が新潟の2トップの幅から外れにくくなったことで、最後尾で余裕を持って前を向く選手がなかなか作れなくなっていたように見えます。バランスを調整したことで前半よりも選手間の距離が広がったものの、プレーの選択は前半と同様にパスが前提なので、ただパスの距離が長くなるだけになっていて、相手からするとパスの受け手にボールが届くまでの時間が長くなるので寄せやすくなったのではないかと思います。

ヘグモ体制では前に行けなくても横方向へドリブルで運んで相手の基準をずらしに行くアクションがありましたが、数ヶ月そのトレーニングをしていないどころか、そもそもそれとは違う前提で数か月やって来ているのでいきなり距離を広げても難しかったのだろうと思います。

なので、71分に小泉と石原を入れて、大駒タイプの前田ではなく関根を右SHにする、より近い距離でボールを動かしたい小泉をビルドアップではCHの位置に入れる、という変化を加えたことで前半のようなスタンスに戻したように見えました。なんとなくですが、今の小泉とグスタフソンは共存が難しそうというか、グスタフソンは中盤でボールを捌く方が上手なのにそこに小泉も下りてくると、グスタフソンが一番得意なエリアから離れることになってしまうので、渡邊をCHにして小泉の列落ちを渡邊の裏抜けのスイッチにさせる方を取ったのかなと思います。

ただ、既に興梠が下がっていてリンセンは縦パスを引き出すタイプではないですし、そうなるとレイオフがなかなか使えずワンタッチで横や斜めにボールを動かしていつか相手が追いつかなくなると良いなという雰囲気になってしまい、結局決定機はなかなか作れないまま試合が終わってしまいました。


試合の後に宇賀神と興梠の引退セレモニーがあったのが救いというか、何もかかっていない試合で、大きなチャンスもピンチも少ない試合を観るのはこんなにも寂しいのかという感じでした。バックスタンドで観ていた僕の心の移り変わりは、眩しい。。寒い。。眩しい。。寒い。。寒い。。という試合のテンションにはあまり左右されないものでした。

個人的には無事にリーグ戦38試合とルヴァン杯2試合の雑感を書き切ることが出来ましたが、シーズンを通しての感想としてはどんどんネガティブな気持ちになっていったのが正直なところです。次の試合に向けての予習もどんどんしなくなりましたし、この雑感も本当に雑な感想になっちゃってたかもなと思ったり。

ヘグモさんの退任の後は「学ぶ文化はどこへ消えた」なんて怒りをぶちまける文章も書きましたが、全日程が終了したのでそうした振り返りはこれから時間をかけて落ち着いてまとめていこうと思います。勿論、思い描いた結果では全くないですし、内容的にも僕にとっては好ましくない方向に進んでいる気はしますが、それでも少なからず自分の中で「いや、それでもこのクラブは強くなれるだろ」という在り方が見えてはいるので、少しでも今年の結果を来季に上手く活かせるように考えていきたいなと思います。


今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。

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