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【雑感】2022/9/10 浦和vs柏(J1-第29節)

自分の脳内ネルシーニョは、もっとガッツリ配置のかみ合わせを良くして、各選手にマッチアップを用意して個々が相手を上回るということを求めているのですが、この試合の入りではそういう感じではありませんでした。

浦和の4-1-2-3気味のビルドアップに対して5-3-2という並びなので浦和は宮本、明本の両SBのところが浮きやすくなっていたり、ショルツ・知念・岩尾のところをドウグラスと細谷の2人でなんとかするという様子だったので、浦和のビルドアップ隊はあまり規制を受けることなく前進できたように見えました。


浦和のSBが空くところには柏はWBを押し出したかったのかもしれませんが、浦和の方が関根とシャルクを外側の高めの位置でスタートするため、ここを空けてまでWBが出ていくことが難しかったのかなと思います。その結果、柏はサヴィオが明本と大久保、ドッジが宮本と敦樹を気にしないといけないような状態だったのかなと。図にすると以下のような感じ。


浦和の方は鹿島戦以上にコロナショックが大きく、前節のメンバーからで言うと岩波、大畑、小泉の3名が外れました。ただ、この試合はそれを感じさせない展開でしたね。飲水タイムまでに2点を意図的な前進から奪えたことはとても良かったです。

浦和の1点目は上の図で表したサヴィオの外側にいる明本に出るのか、内側にいる大久保をケアするのかのジレンマを突いたものでしたね。浦和が右サイドからのバックパスの流れでショルツ→知念とボールが渡る時に明本が外側で手前に引いていきました。サヴィオはそのボールの流れに沿うように外側で手前に引いていく明本へ出て行こうとしましたが、知念がこのサヴィオの矢印を見逃さず内側の大久保へ縦パスを刺しました。

大久保がターンしながら後ろから出てきた染谷をしっかり外せたのが素晴らしかったですし、染谷が出てきて空いたスペースでボールと松尾が合流できたのも良かったですね。


そして、2点目はこれがさらに振りになっていて、岩尾が最終ラインに下りていたので柏の選手たちが見る相手がズレたというのもありますが、サヴィオが浦和の最後尾左側にいる選手(この場面では知念)に矢印を出して、その内側にいる大久保には椎橋がスライドしていました。すると椎橋がいる中央のスペースが空くので敦樹がこのスペースでボールと合流して前向きになり一気にスピードアップしました。

シャルクは先述の通りこの試合のスタート位置は左外だったのですが、そこから敦樹が前を向いたのに合わせてスピードアップし、浦和の選手が誰もいなかった左ハーフレーンで敦樹からのパスに合流してシュートまでいくことが出来ました。中継で観ていた感覚としてはシャルクが抜け出したときにGKが出てくるのかなと思っていので、なかなか出て来なかったのはラッキーだったなとは思いますが。

このゴールは左SHが左利きの大久保ではなく右利きのシャルクだったからこそゴールに向かいやすかったように思います。1点目の大久保のターンのところもそうですが、ここの采配は今日はハマりましたね。


浦和が2点入れたところで飲水タイムに入り、その直後に柏は椎橋を岩尾のところまで出させて中央封鎖しようとしたように見えました。ただ、その前のプレーからの流れもありますが岩尾が29'05~のビルドアップでは知念の外側に下りて椎橋の基準がなくなり、へその位置に敦樹がズレてきています。

そうするとドッジが敦樹についていくのか?そうすると宮本がめっちゃ空くぞ?という感じになったのもあってか、31分くらいで細谷を左SHに出して5-4-1(5-2-3)へ変更しました。これによって柏はプレッシングでの基準が多少はっきりしたように思います。34'55~や42'20~はこの整理によって浦和のビルドアップ隊のところで噛み合った結果、浦和の前進を阻止しています。

それでも、柏が前に出て嚙み合わせに来るなら40'50のように裏返すボールを出したり、51'40~は岩尾が柏の1列目より手前に下りたところでターンして目線をずらし、サヴィオの背中(椎橋の脇)に松尾が下りる、松尾へ出た染谷の背中へシャルク、という流れで自分たちがポジション移動して相手をずらして前進したりと、上手く変化に対応できていたように思います。


基本的に浦和が保持を続けていましたが、自分たちのバランスを崩さずにプレーしていたのでネガトラへの移行もスムーズで、関根や松尾が奪えないとしてもまずは内側のコースを埋めてから外側のボール保持者へ内側へのコースを切りながら出て行って柏の選手たちの選択肢を奪うことに成功しています。15'15~、17'05~のネガトラから蹴らせて回収という流れはとても良かったと思います。

柏の保持に対してもネガトラと同様、浦和はSHをハーフレーンを封鎖した位置からスタートさせて3バックに縦パスを出させずに外誘導し、WBのところにはSBを押し出したり、SHが横から寄せて選択肢を縦だけにしたり、簡単には前進を許しませんでした。

何度か大南とサヴィオがワンツーで明本の裏を取りに行こうとする場面がありましたが、そこに対するCBやCHのスライドも早かったので4-4-2vs3-1-4-2のズレはほとんど活かされずに済んだのかなと思います。


この試合で柏には5枚のイエローカードが提示されましたが、いずれもアフター気味のファウルによるものだったと思います。配置の嚙み合わせを良くして目の前の相手をきっちり潰すスタンスのチームに対してこのようなイエローカードの出させ方が出来たというのは、浦和目線で言えば上手く相手から離れて、基準をずらしながらポジションを取れていたことの証拠ではないかと思います。

柏は保持と非保持の配置をほとんど変えない、それゆえにトランジションへの移行がしやすく球際の場面を作りやすいという特徴があると思いますが、そうした局面においても浦和が優位性を取れたとも言えそうです。

逆に柏目線(というかネルシーニョ目線)では潰すべき相手に強くいけてなくて不満という感じだったのか、DAZNの中継での試合後インタビューでは「外から見ていたら素人がやっていると思った」というかなり強いコメントをしていて、やりたいことを全然やらせてもらえなかったという感覚だろうと思います。


それでも、67分頃からの約3分間は彩艶が何度もファインセーブで防いでいたこの間、なかなかクリアするのか繋いで前進するのかの意思統一が出来ずに自陣ゴール前に磔になったり、88'15もCH間を通すボールを出されながらもボールを奪い返したものの、その後の対応が中途半端になる間にボールを奪い返されて失点したりしたのは課題ですね。

点差があるから多少緩むのは仕方ないのかなと思ったりしますが、そういうところで周りの足も止まっていたので頭も止まってしまったのだろうかと思うとあまり看過できない気もします。


5連戦の初戦、しかもコロナによるスクランブル状態という中で早い段階で点差をつけて試合を決めることが出来たのは良かったですね。また、前半ラストや3点目のように引き続きCKで変化をつけてチャンスを作れているので、この試合ではそういう展開ではありませんでしたが、ビルドアップからきっちり前進して押し込めれば相手にゴール前を固められていてもセットプレーは何度かとれるでしょうし、そこで何とかできそうという期待感があるのは喜ばしいことです。

それに今季は犬飼が故障でCBの枚数が足りないのに、工藤が代表活動で不在、岩波も欠場となるのはなかなか厳しい事態だったと思います。ましてや知念は1か月前の名古屋戦でとても苦しい経験をしていた訳で、ここで彼がどれだけやれるかというのは大きなポイントでした。

当然、あの名古屋戦ほど相手のプレッシングがガンガン来たわけではないので単純比較はできませんが、攻守ともきちんと今彼が持っているものは発揮することが出来ていたと思います。


安居も引き続き出場すれば攻守両面で存在感を示してくれているので、リカルドの岩尾と敦樹に対する信頼の厚さが揺るがないとは言いつつも、もう少し早めに出番が来たり、この連戦の中でスタメン起用されたりすると良いなと思います。


5連戦の中でどれだけ選手が戻ってくるのか、ここから離脱する選手が出ないで済むのかは分かりません。開幕当初のコロナショックでは試合をこなすごとに選手の入れ替えが出来ない、トレーニングも人数が足りないので満足な内容では出来ないということで少しずつ疲労がたまったりチームとしての積み上げが出来なかったりでジリ貧感が出てきたことは否めません。あの頃との違いをこの連戦の中で表現できると良いですね。


今回も駄文にお付き合い頂きありがとうございました。

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