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【雑感】2023/2/18 J1-第1節 FC東京vs浦和

開幕戦なのにリアルタイムで観られなかったのがとても残念でしたが、今年も試合を観たらその時に思ったことはそのまま書き残しておいて後で振り返れるようにしたいので、出来る限り雑感は継続して書いていくつもりです。


去年からの継続というのはチーム始動のタイミングでスコルジャさんが話していましたが、そうした「継続する部分」と「今年から変えていく部分」のギャップは当然出てくるので、早く自分の頭を切り替えていきたいところです。

選手たちもそういう風に取り組んでいるのだろうと思いますが、プレシーズンの約6週間で「今年はこうやっていくよ!」というのがすぐに出来ればどのチームも苦労しません。フットボールという競技というか、人間の頭はそう簡単には切り替わるものではありません。


ということで、まずは試合の中で今年から変わった部分なのか、それとも単純に判断が上手くいかなかったのか分からないなと思った点があったのでそこから見て行きます。

13'00~の浦和のビルドアップの場面で、ショルツからモーベルグへ縦パス、それを酒井に落として、酒井から右内レーンの敦樹に横パスが入ったところで、敦樹は自分の前のスペースにボールをコントロールしようとしています。ちょっとコントロールが定まらなかったのと、後ろからアダイウトンのプレスバックを受けたのとで、敦樹自身がオープンな状態になることは出来ませんでした。

自分の中の感覚では、昨年であれば敦樹は松木ーアダイウトンのゲート奥でボールを受けられたので、横ターンして逆サイドへ振ろうとするのかなと思って見ていました。昨年よりは「前へ」というのがチームとしての志向というのはあると思いますが、スコルジャさんも相手が片側に寄って狭くなるなら広くなった逆サイドへ展開することも求めているのはキャンプレポートで呼んだので、この場面は昨年までやってきた通りのプレーでも良かったのかなと思いました。


東京の非保持は全体が少し縦長になる傾向もありつつ、仲川が中央付近まで絞ってきていて少し左偏向な形がベースだったように見えました。これは左WGのアダイウトンの守備での負荷を下げることが主目的で、右SBの中村の機動力があるからそちら側は広く空いていてもケアできるという算段だったのかなと思います。

24'00~などホイブラーテンの隣とまでは言わずとも仲川の脇にいる明本まで中村が長い矢印を出して対応しています。この場面は起点となるショルツのところがFKからで、明本は少し高めの位置を覗こうとしていたのでホイブラーテンの脇に下りるのは間に合わず、明本は自陣ゴール方向に体を向けながらパスを受けに行っています。

早めに手前に引いていれば横パスを受けるときに相手ゴール方向に体が向いた状態を作れるので、明本が中村の矢印が届かない場所でボールを受けられると、そこを足掛かりに相手のアクションを利用していけそうに見えました。

レフ・ポズナンの左SBの選手はこうしたアクションやそもそものボール扱いが上手くて、相手の矢印が届かない場所でボールを受けて、相手のアクションを見た上でそれを利用することが出来ていた印象です。浦和で言えば大畑はそういうプレーが上手ですが、同じプレーをタイプが違う明本にも求めるのか、それともそこは選手の能力に委ねるのかは気になるところです。なんとなく後者な気もします。


この試合を通して、浦和のビルドアップ隊が相手から距離を取ってボールを受けられる場面が少なかったのは気がかりです。58'45~もショルツが西川の近くまで下がっているホイブラーテンにパスをした後はその場に留まっていて、ホイブラーテン→西川とパスが渡ってアダイウトンが自分に向かって出てきた時に後ろに下がって距離を取り始めました。

後ろ向きのパスをした時点で、ホイブラーテンに並ぶ高さまで下がっていれば、西川からの横パスを受けるときに体の向きは相手ゴール方向になるので、アダイウトンのアクションを見ながら次の選択が出来たのではないかと思います。


ボールを前進させるために前向きにボールを持つということが少し疎かになっていたように見えたのは残念だなと思います。特にビルドアップ隊がそれをどれくらい頑張れるかで、前進させるための選択肢の数もかなり変わります。ビルドアップ隊が前向きにボールを持てると、相手のアクションを見ながら次のプレーを選択できるので、周りの選手もそれに合わせてアクションを起こすことが出来ます。

相手のアクションを1つ、2つと外すと、そのカバーリングのために相手はさらにズレないといけないので、別の場所が空いてくるというのが効果的な前進には欠かせない要素だと思います。スコルジャさんがこの部分を昨年の実績を尊重してあまり手を付けていないというコメントがあったので、そこは選手たちが昨年までやってきたことを今年も継続してやれると良いなと。


試合の形勢としては、東京がハーフタイムに安部を入れてCH2枚とトップ下のような形に変えたことで後ろが空くことを気にしなくて済むようになったからか、前半よりも前線から積極的にプレッシングに出てくる回数が増えたことで、そこをひっくり返せないので浦和は自陣でのプレー回数が増える、そこで相手陣へボールを飛ばしても最終ラインは低い状態なのでチーム全体での押し上げが追いつかずハイプレスを繰り出す機会が作れなかったように見えました。



東京の方は前半はボールを捨てるように蹴る場面も何度かありましたが、CBがボールを前向きに受けるトライはしていた印象です。特に木本はプレッシングを受けても相手のアクションに応じて判断を変える(パスをキャンセルしたり、止まったり)ことが出来ていて厄介でしたね。

そういうアクションに好感を持つのは単純に自分がスペイン人指導者に多い丁寧なビルドアップの志向を好んでいるからなんだろうなとも思いますが。


両CBがかなり開くので、浦和が今季志向しているであろうSHが2トップの脇へ縦スライドしていくアクションはあまり発動しませんでした。それでも11'45~のように大久保の相手が左からの前進で詰まって逆サイドへU字でやり直すこと(リサイクル)をとしたときに木本まで出ていった場面のように、相手のバックパスに対しては積極的に追いかけるアクションが何度もありました。これは今季明確に変えようとしている点なんだろうと思います。


この試合の浦和のプレッシングの失敗例も取り上げておきます。13'40~はレフ・ポズナンの試合でも似たようなエラーがありました。

開幕前にレフ・ポズナンの試合を試合を観た感想として以下のことを書きましたが、この場面がまさにそれに該当するのかなと思います。

難しいのはボールとは逆側のSHで、ここは松田浩的に言うなら「ボールの雲行き」を読む力が結構求められると思います。図に書いた通り、基本的にはCHに遅れを取らないようにスライドして中央を埋めに行くのですが、相手が一気に逆側のビルドアップ隊までボールを飛ばしてプレッシングを回避しようとしたときには、この逆側のSHが縦に出ていって前進を阻み、なるべく元のサイドへ押し戻すようなアクションが求められていそうでした。

ここで逆側のSHがアクションを間違えて、スライドしているはずの中央のスペースが空いて隣のCHの脇が空いてしまったり、逆側に逃げられた時にそのまま前進されてしまったりという場面がありました。

これは恐らく今後も起こりうるエラーなのだろうと思いますが、ここで逆サイドのSHがしっかり絞れて相手を再び元のサイドへ閉じ込めることが出来たり、尚且つそこでボールを奪えたりした時にはスタジアム全体で大拍手しても良いくらいだと思います。


これだけでなく、失点シーンもきちんと振り返らないといけませんね。2点ともちょっと不運な要素はありますが、2失点目は先述の片側に寄せてボールを奪い切りたい、そのためのアクションを起こしたときに閉じ込めきれずに逆サイドへ展開されてしまった、というイメージかなと思います。

1失点目の根本はハーフレーンを誰がケアする問題を上手く対処できていなかったわけですが、失点する前(47'50~)にも酒井とショルツの間がぽっかり空いてしまって、そこに小泉慶が侵入してきてシュートがバー直撃という場面がありました。

4バックの泣き所であり、攻撃側はここを狙って前進しているといっても過言ではないハーフスペース、ポケットとも呼ばれるこのエリア。一般的な対処方法はCBがスライド&CBがいなくなったところにCHが落ちるか、CHがこのエリアを斜めに下りて埋めるかの2択と、SHが気合と根性で下がってくるというがあります。

浦和はおそらくCHが斜めに下りるという運用が原則なのかなと思いますが、47'50~の場面ではここに誰もいませんでした。ポジションの並び順的には右CHの敦樹が埋めに行くのでしょうけど、その直前のプレーの中で岩尾と敦樹がクロスしているので、敦樹としては「岩尾さん頼んます!」で、岩尾としては「よっしゃ、ここは敦樹が埋めて、、って敦樹おらんやんけ!」となったのかもしれません。

そして1失点目は敦樹がその直前で前に出てアダイウトンの対応をしたのでCHは岩尾1枚になっており、途中交代で右SHになっていた松崎が気合と根性で安部についていきましたがあえなく空回りしてしまいました。そのカバーリングで岩尾が出ていったところにトップ下の小泉が下がって埋めるというのはレフ・ポズナンでトップ下の24番もやっていたことなので、小泉には何の非もないのです。やるべきことをやったのに、それが裏目に出てしまったのは残念でしたね。



ラスト1/3の崩しでハーフスペースに飛び込んでいく選手がいない場面が何度もあったり、まだまだスコルジャさんがやりたいことは表現できる回数が少なかったですが、試合後会見のこの部分で話されていることなんかもレフ・ポズナンでも見られた現象でした。今季やりたいであろうことや、想像していた通りのエラー例がこの試合で見えたので大枠での目線は早い段階で揃えていけそうな気がしますね。

(今日はスタートのときには大久保智明選手が左サイド、小泉佳穂選手がトップ下にいたが、前半の途中で入れ替えていた。どのような狙いがあり、どのような効果があったのか?)
「このチームでは、小泉と大久保がポジションを入れ替わってプレーしてもいいということになっています。大久保がトップ下に入ったときには、(小泉)佳穂とまた違ったプレーをしてくれます。

本日の場合はミドルゾーンで少し苦しいときにポジションを入れ替わって、違った形を作るということをしていました。私にとってそれは自然なプレーであり、2人だけではなく、トップ、トップ下、両ウイングがどんどんポジションを入れ替わってプレーすることを将来的には目指しています。4人ともオールラウンダーな選手で戦っていきたいと思っています」

(それは選手の判断で変わっていたのか?)
「もちろん、私の指示でポジションが入れ替わることもあれば、選手の判断で変わることもあります。重要なのは、4つのポジションを全員が理解していることです。それは攻撃でもそうですが、プレーし終わった先での守り方もありますので、トレーニングキャンプ中も、このポジションではこういう守り方、ということを全員が理解するように話をしてきました。ですので私の指示がなくても、ルールをしっかり理解していれば、入れ替わっても全く問題はありません」


次は横浜FM戦。この試合の後半のように相手が前のめりにプレッシングに来た時に相手から距離を取れずに後手後手になるとまた苦しい試合展開になりそうですが、逆にそこさえ外せればこの試合の序盤のようにスピーディにゴールへ向かえる場面も作れるはずです。昨年の対戦で相手のプレッシングを外すことが出来た選手たちが今年もプレーしているのですから、そこは出来るはずでしょ!という前向きな期待もしておきます。

勿論、まだまだ焦る必要はないですが、早めに1つ勝っておくことで昨年のようにネガティブモードにならないようにしたいですね。

あと、早いところ新監督の呼び方を「マチェイ」「スコルジャさん」「すこ」「スコさん」などの中からどれにするか決めたいですね。今のところ記者の方々は「マチェイ(さん)」が多いでしょうか?


今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。

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