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【雑感】2024/6/26 J1-第20節 名古屋vs浦和

名古屋についてはこの試合に向けた予習をほとんど出来なかったので事前情報を持っていなかったのですが、試合が始まってみると保持も非保持も4-4-2の並びがベースだったので少しびっくりしました。ただ、名古屋の非保持は基本的に人を捕まえることがベースにあるので、札幌が相手の保持の形によっては4-4-2のような並び方になることがあるように、名古屋も浦和の4バックに噛み合わせるように2トップ+2SHにして、3CBにすると浦和のWGに幅を取られた時にスペースが広くなってしまうのでSBを置いてWBを見させるという考え方だったのかもしれません。

そして、浦和の方も試合が始まってみると保持も非保持も4-4-2(4-2-3-1)がベースでした。浦和の方は前節の後半から2CHにしていて、2列目の並べ方も武田を左SH、渡邊をトップ下にしていたので、その時間帯から継続させたという見方が出来ます。ただ、4-2-3-1の形にすることで名古屋の選手たちは自分のマーク担当がハッキリしたので誰がどう動くという所の迷いは少なかったのではないかと思います。

ただ、浦和の先制点の場面は浦和のコーナーキックの後にそれぞれが持ち場に戻っていく過程で安居がフリーな状態で山岸ー永井のゲートでターンして前を向いて左外のソルバッケンへボールを飛ばしています。ソルバッケンへのボールは中山に弾かれたものの、そのボールに対する吉田の処理が上手くいかず、リンセンとのワンツーで裏を取ったソルバッケンがクロスを上げて、そのこぼれ球を渡邊がきっちり押し込みました。


浦和の保持は4バック+2CHという形で、名古屋はそれに合わせて2トップ+2SH+2CHが自分のマーク担当についているので、浦和は前にボールを飛ばせば4vs4という状況が作れるということと、リンセンがロングボールに対して最初から競り合うのではなく2ndボールのところでボールを取りに行くことで高い位置でボールを持つ回数を増やすことが出来ていました。

ある程度ロングボールが前提だったのか、安居や敦樹が最後尾まで落ちてボールをピックアップするようなことは無かったですし、石原も大畑もCBに近寄りすぎず、かと言って前に出すぎずというポジション取っていたので、佐藤、ホイブラーテン、西川でボールを繋いでいる時も狭くならないのでボールを受けた選手が窮屈になるという場面はあまりなく、それによってロングボールも出しやすくなっていたのかなと思います。

そうすると名古屋のSHのポジションが手前に下がっていくので、今度は大畑が山岸の脇でオープンにボールを持てるようになり、大畑が中へドリブルしたり、パスをしたりして左から右へという展開も作れていました。22分ごろからは武田とソルバッケンのポジションが入れ替わっていて、ソルバッケンが先制点の場面と同じように左外から縦に仕掛けてクロスを上げる場面がありました。少しずつコンディションが上がってきたのかなという期待感があったのですが、前半の終了間際に太ももの内側を気にしていて、ハーフタイムで交代になってしまったのは残念でした。



名古屋は自分のマーク担当に対して多少距離があったとしても行くところにはかなりのスピードで出て行く印象があったのですが、この試合ではそういう場面は少なかったなと思います。ちょっとした浮き球への対応も安定せず、チーム全体として上手くいっていないのかなという雰囲気がありました。

プレッシングで二度追い、三度追いするような場面はほとんどなかったですが、これは浦和のビルドアップ隊が近接しすぎずにプレーしていたからかもしれません。27'15~の浦和のビルドアップでは下りてきたソルバッケンからのバックパスに対して中山がホイブラーテンまでは出て行きますが、その先の西川まで追うことはしませんでした。これによって西川やそこからボールをもらった佐藤はオープンな状態になっていました。

ここから浦和は前進していくのですが、右WGの武田が名古屋のCH間に入って来て、佐藤からそこへ浮き球を入れて、武田が落として2トップの背後にいた安居に落としています。安居からホイブラーテンへボールを逃がした後に、左→中→右と前進していきますが、この前進は4-2-3-1の配置がベースで手前に人数がいる状態だったから名古屋の選手が食いついたとも言えますが、その分浦和は前に人が少なくなるので前進にスピード感は出にくくなります。


名古屋の保持は4-4-2の配置そのままがベースですが左はSHの倍井が外レーンかつ、相手から少し距離を取ってからボールを持ちたがるので最初から前に出るということは少なくて、その分SBの内田が内側に入ったり倍井よりも前に出たりしていたように見えました。

浦和の4-4-2での非保持がどこを使わせたくない、どこへ誘導させたいという矢印の出し方では無かったので、36'25~は内田と倍井がどちらも外へ逃げて行きましたが、石原も敦樹もそこへついていってがら空きになったスペースへCHの位置から稲垣が飛び出しておりフリーな状態でクロスを上げています。ただ、佐藤も他の選手も無理に稲垣のところまで出て行かなかったことで中央で待ち構えてボールを弾けたのでピンチにはなりませんでしたが。


後半は56分に内田が軽率な対応で2枚目のイエローカードが出ましたが、名古屋は4-3-2の並びになりました。これに対して浦和は前半と同様にSBも手前からスタートさせることで2トップも3MFも届かない場所に人を置けるので試合を塩漬けにするようにボールを動かして名古屋の選手たちも動かせていたのかなと思います。その結果が名古屋の選手たちが集めた6枚のイエローカードだった訳で、前節の雑感でも書いたように配置の変更はあったものの個々のアクションの向上があったからこそあまり波のない試合にすることが出来たとも言えそうです。

ただ、それ以上にソルバッケンに代わって入った前田が負傷して交代してしまったり、相手の人数が減ってから投入されて久しぶりに出場した関根も途中交代になるなど、心配になる要素が大きすぎました。


前節の後半に引き続き4-2-3-1だったのは大きなトピックだったと思います。CHに入った安居も敦樹もこれまでの試合と同様に大きく動く傾向にあって、これは今季目指してきているものとは違うのですが、それによってマンマークの相手を動かすことを目論んだのかもしれないので、これは今後どうなるのか見てみないと分からないなと思いました。

試合後のコメントを見るとヘグモさんは「ロングボールを入れられた後の対応のために2CHを置きたかった。スタートは2CHでも敦樹が前に出て行けばこれまでと変わらないでしょ?」というニュアンスをイメージしていたようです。

狙う場所が変わらないと言っても、2CHでスタートすることで前に人が少ない分、スピードアップしにくくなります。ただ、この試合ではスピードアップしにくいことが選手たちの疲弊を少しでも抑えられたかもしれないのでその点は何とも言えません。この試合の雑感も、各場面の細かい点を見て行くとしてもどこをピックアップするべきなのか、どこがこれまでとこれからを繋ぐ文脈になるのかが正直分からないです。

怪我人が多い状況で前節のヒーローだった武田を外すということは難しいですし、渡邊を前に出すとしても武田も渡邊もWGというよりはIHやトップ下的に振舞う方が活きる選手なので彼らに合う配置の仕方を考えた時に4-2-3-1にしたというのは自然な気がします。


難しいのはここからのマネジメントでしょう。良い内容だったとは言えませんが配置を変えて勝つことが出来た訳で、さらに怪我人が増えてしまったので次の試合や、そこから怪我人がある程度戻ってくるまではこの並び方を継続するのかもしれません。勿論、そうしている間にも結果を積み上げてもらいたいのですが、積み上げることで元々目指したかった方向へ戻すことがやりにくくなる可能性もあります。

目的はチームが成長しながら勝つことであって、4-1-2-3の配置でプレーすることは手段でしかないのでこれにこだわる必要は無いのですが、起こしたい現象や展開に合わせて配置が決まっていくので、配置が換わることで起こりやすい現象や展開が変わっていく可能性は高いです。

前節の後半からの流れが、1年あればそういうタイミングもあるよねというものなのか、ここが1つの変わり目なのかはもう少し時間が経ってから出ないと分からないので、まぁどうなるか見てみようや、というスタンスで次の試合を待ちたいと思います。

なんだか煮え切らない雑感ですが、これはあくまでも雑感なので。


今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。

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