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「浦和レッズ三年計画を定点観測」~#3.TM初戦の沖縄SV戦 ゾーンディフェンスで奪った2得点~

ついに実戦が始まりましたね。
1/22に行われた沖縄SV戦はフルでの映像は出ていませんが、11得点すべてのゴールシーンがGGRで放送されたので観ることが出来ました。
一部、GGRでの放送前にレオナルドが自身のTwitterで先行配信しており、それについては私も感じたことをTwitterでつらつら投稿しました。

https://twitter.com/y2aa21/status/1220348261921255425?s=21

https://twitter.com/y2aa21/status/1220349368416387072?s=21

https://twitter.com/y2aa21/status/1220349953022648321?s=21

https://twitter.com/y2aa21/status/1220351087766466561?s=21

https://twitter.com/y2aa21/status/1220351479346651136?s=21

https://twitter.com/y2aa21/status/1220353264027258880?s=21

https://twitter.com/y2aa21/status/1220353680081207296?s=21

ボール保持から恐らくデザインしていたであろう全体の動きによって意図的に前進していたシーンなので、ポジティブな要素だと思います。

個人的には前回の記事で書いたように、つい最近ゾーンディフェンスについての本を読んだり、戸田和幸さんの有料コンテンツでスペース管理をベースにした守備アクションの起こし方についての解説があり、それを見たりしながらながら組織での意図的な守備からの攻撃への移行について鋭意勉強中です。

そんなこともあり、観ていて思わず「これは良いぞ!」と独り言を呟いてしまった、今季目指しているであろうゾーンディフェンスが実践できたからこそ生まれた得点が2つありましたので、それについて書き記しておこうと思います。

まずは、そのシーンに行く前に、守備を見ていく上で大切なキーワードをお伝えしておきます。
それは、

「ジグザグに並んで進路を制限する」

です。
簡単にボードで示してみるとしたらこんな感じです。

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(家にあるボードなのでちょっと汚いですがご容赦を。。)

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こうではないです。

では、これにどのような効果があるのか、具体的にゴールシーンを掘り下げながら考えていきましょう。

1つ目は 1本目 10分 長澤のゴールです。
映像は沖縄のボール保持に対して浦和がかなり前にポジションを取っているところから始まります。山中がかなり前から戻って来るので、浦和が攻め上がったがボールを失い、沖縄が拾ってさぁどうしようかという流れだったのかなと推測します。
その時のボール周辺のポジショニングはこんな感じでした。

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ここから、まずレオナルドがボール保持者に対して横から寄せに行きます。そして2列目のマルティノスと柴戸がそれに連動して、次のコースを埋めるべく移動開始。

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さぁ、この状態でボール保持者が出せるコースはどこでしょうか?
そうです。残されているのはマルティノスと柴戸の間のこのコースです。

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そして、次のシーン。

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はい。ここでマルティノスと柴戸の間を通ったパスに対して槙野がしっかり潰しています。
画面の外から出てきたので、最初にどこにポジションを取っていて、どのタイミングで動き始めたのかは分かりませんが、ボールの位置と味方(マルティノスと柴戸)の位置から次に出てくるコースが限定されるため、槙野は自信をもってこのコースを潰しに行けたと思います。

さて、先程お伝えした大切なキーワード「ジグザグに並んで進路を制限する」ですが、お分かりになるでしょうか?
槙野がいるべき(次にボールが出てきそうな)場所はマルティノスの背後でも柴戸の背後でもありませんよね?
そうです。マルティノスと柴戸の斜め後ろの位置。3人を結ぶとV字になるような位置こそ、槙野がいるべき(次にボールが出てきそうな)場所でした。そして、見事にそこで相手のパスを潰しました。

また、槙野が潰した後のこぼれ球がレオナルドの元へと転がっていったわけですが、レオナルドはこれをワンタッチで斜め下にいた柴戸へ落としています。

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こんな感じで。
バイタルエリアでフリーで前を向いて、シュートもドリブルもパスもすべて選べる状態で受けることが出来た柴戸。
そして、守備の流れできちんと真ん中に残っていた興梠と、外側に立っていた長澤。
それぞれの適切なポジショニングによって守備→切替→攻撃とスムーズに流れて、見事にゴールを奪うことが出来ましたね。

続いて、2つ目は 2本目 30分 ファブリシオのゴールです。
29分にもファブリシオのゴールがあったので、その後のキックオフからの流れではないかと思います。そして、その時のポジショニングはこんな感じでした。

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(ちょっと画面で見にくかったり見えなかった選手は端折ってしまいました)
綺麗に3ラインが並びコンパクトなっています。そして、2トップはセンターサークル付近に立ち、真ん中をボールが通るのを防いでいます。
そのため、沖縄側が選ぶのはその外。

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2トップのポジションを見て、次にボールが出て行きそうな場所が予測できていた関根(SH)はパスを出そうとした時点で移動を開始。

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関根のアクションに対してエヴェルトンと柴戸はカバーの動きで斜め後ろ(次にボールが出て行きそうな場所)を埋めます。
さらに、その奥の槙野と鈴木はエヴェルトンと柴戸の斜め後ろにポジションを取ります。
味方の位置を基準にして、ポジショニングを取れました。
では、ボールを持っている沖縄の選手はどこにボールを出せるでしょうか。

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前方向へは難しいですね。しかも猛烈にチャージされている状態なので次を探す時間の猶予もない。見事にボールを奪い取りました。
ただ、この時に杉本はボール保持者の後ろへ移動している選手へついて行ったように見えましたが、ここは関根と杉本でボール保持者を挟み込んで2vs1を作った方が良かったかもしれませんね。
ともあれ、関根のチャージによってこぼれたボールはセンターサークルに残っていたレオナルドのもとへ。

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レオナルドは相手選手ではなく、エリアを守っていたのでフリーな状態でボールを拾って一気に前へ。
最後はゴール前で体を張ろうとする選手をファブリシオが個人の質で交わして決めましたが、
ボールを奪うまでのところが昨年は見られなかったようなチームでの連動した動きだったので、その部分に重きを置いて取り上げてみました。

もちろん、これで相手のレベルが上がってもこんなに上手いことやれるの?というのは分かりませんが、少なくとも相手がどこであれチームで連動した意図のある守備は昨年はあまり記憶にないので、そこについてはポジティブに捉えて良いと思います。
守備の部分についてはチームとして掲げたプレーモデルに向かっているように見えますし。

セットプレー以外はどのゴールシーンももう少し前から、もう少し広めのアングルで観てみないと分からない部分が多いので、早くフルで試合を見る機会が欲しいですね。
では、また。

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