「なんでオレだけ」
「来月から異動してもらえる?」
「またですか」
何度目の異動だろうか。
半年に一回は人事異動がある職場は
珍しくはないと思うが末端の人間である
オレが昇進するわけでもなく
半年、早いときは3ヶ月に
一回異動している。
思い当たる節はないはわけではないけど…
「なんでオレだけ」
同じ職場に同い年くらいの女の子がいる。
その子も異動したてで大変そうだ。
疲れているようにみえる。
力になれないだろうか。
「なんか手伝おか?」
「いや大丈夫です…」
「いや、手伝うって。」
力にならなくては
シゴトが終わってからLINEしてみた。
「なんか疲れてるみたいやけど大丈夫?」
「お疲れ様です。大丈夫です。
ありがとうございます♥️」
それから、毎日心配だから連絡した。
あるとき既読がつかなくったのだ。
心配だ。
SNSからもダイレクトメッセージを
送ってみたが連絡が帰ってこない。
おかしい。
一緒のシフトのときに聞いてみようとした。
「なんで連絡してくれないの?」
聞いてみた。
「仕事中なので…」
そそくさとどこかへ行ってしまうのだ。
心配だ。
スマホでは連絡でダメなら
オレは早番だから遅番が帰るまで
待つしかない。
心配だ。
従業員の入り口からでてきた…
ようにみえたのだが
どこかへ行ってしまった。
心配だ。
そうだ、手紙を書いてロッカーにいれておこう。
次の日なぜかあの子が先輩と休憩にいった。
二人いっぺんに休憩にでた?
エスカレーターを上る姿がみえる。
なんかあのふたり距離近くないか。
心配だ。
なぜか先輩に呼び出された。
「好きなのか」 聞かれた。
「関係ない」と答える。
もう一度聞かれた。
「そうだ」と答える。
なんだか悔しかった。
涙がこぼれてきた。
オレは心配なだけなのに。
異動する前もそうだった。
ハァ…みんなオレのことをわかってくれない。
LINEのやり取りをみせろと言われた。
問題ないのでみせた。
「脈なくね?」
なんて意味がわからないことを
言われた。
「脈がないのに♥️なんてつけるわけないでしょ」
先輩はなにも言ってこない。
言葉もでないだろ。
あとは告白すれば成功するのだから。
確たる証拠だ。
それからしばらくして
異動の辞令がおりた。
まずい送別会で思いを告げるしかなくなった。
同僚に協力してもらえるように
お願いする。
「みんなくる前にふたりきりしてもらえる?」
断られた。
それからすぐにあの子と先輩が一緒に来た。
おかしい。
今日しかないと言うのに。
一次会も終盤になり先輩が帰るぞーというので
送ってあげた。
「オレは帰らない」と告げる
なぜならまだふたりきりで話してないのだから。
走って戻ったが誰もいなかった。
言葉もでなかった。
心配だ。
今日から新しい職場だ。
少し年上の先輩がいる。
新しい仕事を任されて大変そうだ。
オレが力になってあげなくては。
もうすぐ付き合うところまで
きているのだから
支えるのは当たり前のことだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?