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【書評】エンド・オブ・ライフ~「死」を見つめ「生」が輝く

佐々涼子さんの『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)を読了。

在宅での「終末期医療」がテーマ。
読みながら、何度もボロボロ泣いた…
作品中に、いくつも「死」が描かれるが、そのどれもがキラキラと輝いている。いや、輝いているのは、その「死」に至るまでの最後の「生」。
「死」を見つめるということは「生」を輝かせるということなんだなと思う。

「生きたようにしか最期は迎えられない」
「長さでは測れない命の質というものがある」
「亡くなりゆく人がこの世に置いていくのは悲嘆だけではない。幸福もまた置いていくのだ」

重いテーマにもかかわらず、読後には爽やかな感覚が残る。
2つの時間軸を行き来する構成、抑制された筆致は本当に見事。

ただそれ以上に、前作『紙つなげ』から6年、著者の佐々さんが“書けなかった”時間や、自身の母親の在宅療養の経験が全てこの一冊の血肉となり、佐々さんだからこそ書けた一冊になっている。

最近読んだ本だと、近藤雄生さんの『吃音 伝えられないもどかしさ』(新潮社)もそう。

著者の「どうしても書かなければいけない」という、情熱を超えた、"宿命”のようなものが込められた作品にはただただ圧倒される。この人だから聞き出せたこと、この人だから感じ取れたこともある。ノンフィクションと著者は切り離せないものだと思う。

そう、そして自分にも、絶対に本にしなければならないテーマがある。いつまでも逃げていてはいけない…「生」には限りがあるのだから。

やっぱりノンフィクションって素晴らしい!優れたノンフィクションを読むと、自分もいいものを書かなきゃと思わせてくれる。

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