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デザイナー前田高志さん 躍進支える「夢中」のチカラ

香川県小豆島で、9月16日、デザイナー・前田高志さんのトークイベントが開催されました。トークテーマは「躊躇(ちゅうちょ)せずに人生を楽しむ」。

オンラインサロンで注目!前田高志さんとは…

前田さんは、任天堂でデザイナーとして広告や会社案内などに携わったあとフリーとなり、現在、株式会社NASUの代表取締役。
幻冬舎の編集者、箕輪厚介さんが運営するオンラインサロン「箕輪編集室」のデザインチームリーダーとして注目を集め、自身もオンライサロン「前田デザイン室」を2018年3月に立ち上げ、現在120人が参加しています。
話題の「オンライサロン」や出版に興味がある人は、最近、Twitterなどで前田さんの名前を目にする機会が増えたのではないでしょうか。

かくいう私は、前田さんが今ほど注目を集めていなかった2017年はじめ頃…

上記のブログをたまたま目にしたのがきっかけで、前田さんが気になり、Twitterやブログで動きをフォロー。

前田さんが365日似顔絵企画というのに取り組んでいた際には「顔が足りません。似顔絵を描いてほしい人募集!」という呼びかけがあったので、写真を送って似顔絵を書いてもらったこともあるのです。

↑ 前田さんに描いてもらった筆者の似顔絵

その後、あれよあれよという間に注目度が高まった前田さん。(「にわかファン」ではなく、売れる前から知ってたぜ、というのを自慢したいわけではないのですが…汗)小豆島でのトークイベントで、躍進の理由を探ってきました!

ターニングポイントは「箕輪編集室」

前田高志さんの名前が一躍知れ渡ったのは、プロフィールのところでも描いた、オンラインサロン「箕輪編集室」での活躍ぶりです。
前田さん、当時、自分の中で「躊躇しないキャンペーン」というのを行っていて、サロン内で「こんなデザイン作れる?」という箕輪厚介さんの投げかけに、躊躇せず手を挙げてデザイン案を投稿しました。

今をときめく編集者・箕輪さんは、前田さんがラフ案を送った次の瞬間には自身のTwitterでそのデザインを公開するというスピード感!徐々に前田さん指名で箕輪さんからデザインの依頼が入ってくるようになったそうです。

そのデザインはWEB媒体にとどまらず、「NewsPicksBooks」1周年を記念したロゴやパネル、新たな帯などのデザインも、前田さんがプロジェクトリーダーを務める箕輪編集室のデザインチームが担いました。

仕事の報酬は仕事!「夢中」の先にあったもの

この辺の動きは私も知っていたのですが、さすがに書店でも大展開している1周年キャンペーンなどのデザインに対しては、前田さんらにいくらかの報酬が支払われていると思いきや、なんと無償!というか、オンラインサロンは月額4320円なので、むしろお金を払って働いている…!?

しかし、箕輪さんの注目度が高まるのに比例するように、そのサロン内で次々にデザインの仕事を請け負う前田さんにも注目も高まり、作家エージェント会社「コルク」代表の佐渡島庸平さんから仕事の話が舞い込んだり、、ダイヤモンド社から独立した売れっ子編集者・竹村俊介さんが立ち上げた「WORDS」の社名ロゴのデザインを依頼されたりと、箕輪編集室での仕事が新たな仕事に結びついたとのこと。


まさに「仕事の報酬は仕事」
国内最大のオンライサロンを運営する、キングコング西野亮廣さんは著書の中で、「これからは金持ちではなく、信用持ちの時代」と語っていますが、まさに前田さんは箕輪編集室で「お金ではなく、信用を稼いでいた」のだと感じました。



前田さんは箕輪編集室でデザインの仕事をしていたとき、どの程度先を見据えていたのか、トークショー後に本人にぶつけてみたところ、「ある程度、そうなるのかなという思いもあったけど、ただただ楽しくてやっていた」との回答。
ビジネスでは「Give and Take」ではなく、「Give and Give and Give(and Take)」(=見返りを求めず、まずは相手に貢献すること)などと言われますが、真に強いのは、「ただ楽しいからやる」。
大ヒット中の箕輪厚介さんの著書『死ぬこと以外かすり傷』に出てくる言葉を借りると「努力は夢中に勝てない」ということなのでしょう。

任天堂時代も躊躇していなかった!

小豆島のトークイベントでは、独立後の話だけではなく、任天堂時代の仕事の話もありました。私が特に印象的だったのはこちら。

就活の学生に向けた採用案内パンフレットで使った「スーツにネクタイ姿のマリオ」。実は当時、任天堂を代表するキャラクターであるマリオの姿をいじるなんて、社内ではタブーでした。そこを、前田さんが故・岩田社長に直接提案して了承をとりつけ実現したそう。
このほか、前田さんが生み出したLINEの任天堂公式アカウントのキャラクター「キノピオくん」に他のゲームのキャラのコスチュームをさせたりと、本当に躊躇しない仕事ぶり…

あるキャンペーンTシャツのデザインを担当した際、「こんなもんだろう」と思って制作し、上司にとがめられたという失敗談も。本来楽しいはずの仕事を自分自身でつまらなくしていたと感じたそうです。
「楽(ラク)と楽しいは同じ字を書くけど意味は全然違う」

Wiiの発売日を告知するという本来なら3日くらいで終わるデザインに、京都サンガFCの全選手スタッフをMii(Wiiで使う人間型キャラクター)風にするデザインにしたため、2週間くらいかかったこともあるそうですが、「普通の会社員としては(効率を考えると)ダメだが、任天堂ならOK。なぜなら、ワクワクを作っている会社だから」という言葉にも感銘を受けました。
前例や作業効率ではなく、会社のめざすべき方向性(=本質)を捉えて仕事ができる人は強い

「夢中のきっかけを作る」小豆島スポーティーズ

最後に紹介したいのが、今回の前田さんのトークイベントを主催した、小豆島の総合型地域スポーツクラブ「小豆島スポーティーズ」。
スポーツクラブがデザイナーの講演?と思われると思うのですが、この団体が掲げるミッションは「夢中のきっかけを作り続ける」。

ここまで書いてきたように、前田さんの躍進を支えたのは「躊躇しない=夢中になって仕事に取り組むチカラ」のように感じます。


このイベントは、クラブオーナーの一人で、前田デザイン室の会員でもある粟田健太郎さん(写真・右端)が、「ぜひ、島の若い子たちや、躊躇しがちな大人たちに前田さんを紹介したい!」と企画しました。

粟田さんの「夢中」が、イベントに参加した人たちに新たな「夢中のきっかけ」を与えたのです。

小豆島スポーティーズでは、団体の趣旨に共感したクラブオーナーを募集中!年会費5000円(初年度のみ登録料+5000円)で、今年度中に500人を目指しています。
ちなみに、前田高志さんも今回のイベントを機に、オーナーになってくれました!

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