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【読書レポ】FACT FULNESS

なぜこの本を読もうと思ったのか

すごく話題になっている本なので読んでみたかったからです。あと、著者のハンスさんのTEDを見たことがあって、興味をそそられました。

気づき、面白かったポイント

本能のために多くの人は世界を正しく理解していない

この本では人間が生まれ持った10の本能と、それによってどのような勘違いを起こしてしまうかについて書かれていました。

中でも私の印象に残ったのは、「恐怖本能」です。多くの人はよくわからないものを疑い、反射的に怖がってしまう。しかし、事実に基づかない恐怖は私たちの精神を疲弊させるだけです。その例として福島原発事故のことがあげられていました。避難後に亡くなった方の死因は放射線被曝ではなく避難による体調の悪化やストレスだったそうです。

これと関連して、4月頃にニュースになった「福島第一原発の処理水放出」についても同じ事が言えるなと思いました。放射性物質を国際保健機構が定める飲料水の基準値の7分の1以下に希釈して海に放出するということでしたが、国内だけでなく近隣の中国や韓国からも強い批判が起こりました。

批判する人たちは、日本がまるでばい菌を海にばらまいているみたいなことを言っていますが、海に放出されるのは希釈された処理水です。それも基準値の7分の1以下に。下手したら普通の飲料水のほうが数値が高いということもあるわけです。それなのに、どうしてそんなに騒ぎ立てられなければならないのでしょうか、、。

事実をよく鑑みない人たちが「日本は汚染水を海に流している」と勘違いし、人々の恐怖心をかきたて、どんどんその勘違いが広まります。私は環境問題について啓発する系のインスタアカウントをフォローしているのですが、そこでも、「処理水」ではなく「汚染水」という言葉が使われ、「私たちの海や魚が汚染されて人間にもその毒がまわってくる!汚染水を流す政府に反対!」みたいなメッセージが書かれていました。しかし、そのメッセージは事実に基づきません。なのに、悪いイメージだけが先走りして、人々を警戒させ、結果、「風評被害」が起こってしまうのです。

今は誰もが自由に情報を発信したり受信したり出来る分、そうした勘違いもどんどん広まってしまうのだと身にしみて感じました。みんなが「ファクトフル」であれば防げたはずのことなのに、、。だからこそ、現代社会を生きるすべての人にこの本を読んでほしいと思います。


TO DO

・ニュースなどを鵜呑みにせず事実を元に考える

なかなか難しいTO DOです笑。でもこの本を読む前と読んだ後では、だいぶ情報を受け止めるに当たっての意識が変わったなと思います!

私たちの恐怖本能に訴えかけるような情報を発信するメディアが悪いのではなく、情報を受け取る側が冷静に考える必要があるということを学びました。今までも授業なんかで「情報リテラシーを身につけよう」みたいなことを言われてきましたがこの本を読んでやっとその意味を理解できました。

本の内容とは少し離れますが、著者ハンスさんの「事実に基づく世界の見方」を広めたいという思いや、その信念を受け継いでハンスさんの息子夫婦が本を完成させたという家族の絆や愛が、あとがきの部分から伝わってきてとても感動しました。私は学校の図書館から借りて読んだのですが、何度も読み返したいので買いたいと思うレベルです。買うとしたら原作の英語バージョンで読みたいと思います。そのほうが著者の言いたいことがダイレクトに感じられるので、、!

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