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二条小屋

マップだとたしかこのあたりに、あ、あった、小屋だ、本当に、ぐるっとまわって、裏から入る、誰もいない、と思ったらすぐ左に店主がいて驚く、ブレンドをオーダーし、奥へと進む、音に、レコードに導かれるように、自然と足を運んでいた、腰を下ろし一息、ちょうどよいタイミング、コーヒーをいただくために立ち上がり、カウンターへ、あ、マンデリンがいる、でもそんなに強くはない、むしろ飲み口のライトさが印象的だ、後味は爽やかな酸味、ちょっとフルーティな感じもする、グアテマラか、そんな気がする、味の移行がスムースで美しい、もしかしたらブラジルかもしれない、豆電球が目に入る、目に入っても痛くない光だ、むしろ綺麗で、見つめていたくなる、オレンジの光は、木のカウンターや漆喰の壁に吸い込まれ、小屋の雰囲気を醸し出している、立ち飲みスタイルのまま、カップを傾けていると、新しい客が入店してきた、ブレンドを、テイクアウトするようだ、フィルターをセットし、豆をはかり、粉に挽き、コーヒーを抽出する、店主の動作には一切の無駄がなく美しい、テイクアウトの客が去る、僕も一息つき、カップに残った、最後のひとくちを飲み干してひと言、ごちそうさまでした、そう言って、小屋を出た、

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