「言語化スキル」の高さとその影響
これからの時代はしっかりとした「言語化スキル」を身につけるべきだと考えます。ちゃんと人の話を聴けて、ちゃんと自分の想いや考えを表現できる、そんな「言語化スキル」が何よりも求められる時代にいると思います。
少しだけお付き合いいただければと思います。
①なぜ「言語化スキル」が必要か
よく「言語化スキル」の話をすると、「きれいな日本語」とか「正しい日本語」のことになってしまいます。作家や学者、コピーライターを目指すのでもなければ「きれいさ」や「正しさ」は2の次、3の次でいいと考えています。
もちろん、「汚くていい」とか「間違っていてもいい」ということではありません。
ただ、一つには、最近、「主張」さえすればいいと考えている人が多いと思うのです。「一方的に」自分の意見を言えばそれでいい、思ってることや考えてることを「遠慮なく」言えることが「良いこと」と考えている人が案外多いからです。
かつて、日本人は「自分の意見を言わない」と言われていました。その反動もあるのか不明ですが、だからといって、状況や文脈を無視して、「主張」することとは全く違います。
近年、「一方的に主張する」人がどうも多くなっているのではないかと感じています。「対話」にならないのです。そこには、SNSの隆盛に伴い、「対話」のルールが身についていない可能性が考えられます。
もう一つは、これからは「創造」の時代になるからです。今日人気あることが明日も人気があるとは限りません。今日価値あることが明日も同様に価値あるとも限りません。
消費者としての感性も磨かれ、質の高い、これまでにない価値を生み出し続ける必要があります。
去年やっていたことをまた今年も同じようにしているところはまだまだ多いかもしれませんが、それではこの時代の変化に適応できないのです。
どうしたら昨日よりも良くなるか追求し続ける必要があるのです。それには、専門性を持つ人との「協働」が欠かせないのです。人との間で「化学変化」を起こしながらこれまでにない価値を生み出していかないといけない時代なのです。その「化学変化」には「言語化スキル」が欠かせないというわけです。
②「言語化スキル」も「リードパス」と同じ
「言語化スキル」の高さとは、簡単に言うと、「ちゃんと人の話を聴けて、相手をうまくアシストできるように表現できること」です。バスケットやサッカーで求められる「リードパス」と同じようなイメージです。
常に選手が動いているバスケットボールやサッカーでは「今相手がいる場所」にパスを出しても、届くころにはそこにはいません。よって、動きにあわせて、次の位置を予測してパスを出します(リードパス)。
対話もそれと同じです。相手の発言をしっかりと受け止め、相手の動きにあわせて、相手が動きやすいように表現するのです。
これが自然にできる人が「言語化スキル」が高い人です。
こういうことをサラッとしてくれると、その人ともっと対話したいと思うものです。そこから徐々に心を開き、化学変化が生まれていくのです。
しかし、現実には、まったくパスが返ってこなかったり、人もいないようなところにパスをする人が実に多いのです。
この状態で、「美しさ」や「正しさ」はほとんど意味をなしていません。それ以前の問題です。
③「言語化スキル」が高い人は「頭がいい」
ここで言う「頭の良さ」は、いわゆる「偏差値」に示されるものとは異なります。言語能力と認知能力とは深い関係があります。互いに影響しあっていると考えて間違いないと思います。ここでの「頭の良さ」は、その「認知能力」の高さと言ってもいいかもしれません。要は、いろいろな情報や知識を総動員して考え、様々なことを予想したり、推論したりすることです。「地頭が良い」にもつながるものと考えます。
日常場面で、常に「リードパス」を出そうとすると、言うのは簡単ですが、頭の中は常にフル回転状態です。何せ次の位置を予測するのですから。そのためには、「今、ここ」だけ見てても予測できません。これまでの経緯や背景をしっかりと理解できないと、どこが「先」かもわからないのです。
ここからは、推測ですが、「言語能力」を磨くと「認知能力」も「ある程度」は磨かれると感覚的に考えています。逆もまた影響しあっていると思いますが。
小論文や論作文のアウトプットを重ねていくと、論理を構成する力やロジカルシンキングも身についていきます。これも言語能力と認知能力の関係性を示す例だと思います。
以上のように、「言語化スキル」を磨くことは、「リードパス」を通して「互いに高め合える人間関係」を築いていくだけではなく、個人の資質としても、認知能力を一定程度高めるものと言えます。
そういった認知能力がある、「頭の良い人同士」で対話が重ねられれば、必ずこれまでにない価値を生み出していくことができ、結果として私たちの社会がもっと今より生きやすく豊かな社会になっていくものと考えます。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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