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崩壊した?!すでに消えた?!ライターのプロと素人の境界線

業界には様々な職種がある。その中でも思い立った瞬間からなれる職業がある。ライターがそうだ。日本語が話せて、書くのが好きだったら、誰でもライターと名乗れる。特別な資格があるわけではない。ワタシ自身、経験で積み上げてきたのは、「形容詞・副詞は使わない(多用しない)」「構成の立て方」「こうすると問題が起こるからやってはだめだ」というぐらいだったように感じる。公取、著作権法、肖像権、薬事法など、法的に制限されるものもあるが、いまは、そこまで踏み込まなくてもライターとして活躍できる仕事がネット上にあふれている。

最近は企業も集客・拡販のマーケティングの手法のひとつとしてSNSが欠かせない販促アイテムとなった。そのせいか、WEBライターの需要は高まるばかりだ。SNSをすでにやっている人からしたらライターになるハードルはとても低い。

そうなると気になるのがSEOやキーワードだ。原稿作成の必須条件だと思っていた。ところが、昨日とある広告代理店と打ち合わせの途中、この話が出たとき「村林さん、なに古臭いことを言っているんだ」と軽くいなされた。

「いまはどうやってムーブメントを起こすかだよ」
いわゆるどうやってバズらせることができるかが問われている、ということだ。もちろんSEO対策はベースだが。キーワードはその専門のサイトがある。チャットGTPもある。

言葉が好きでパソコンを使いこなすことができれば、もう怖いもんなしだ。

そこには、キャリアを超えた異次元の世界がある気がする。バズるネタを持っている人たちはどういう頭脳構造なんだろう。うらやましいなと思う。

ただ経験上、バズらせたわけではないが、膨大な同じサイトの中でPV数NO1にした経験がある。公式サイトへの外部流入を目的としていたブログサイトを作った。なぜ1位を獲得できたかはいくつかの方法があって、簡単に答えられない。ごめんなさい。それはさておき、他社でも成功した。

素人ライターで一番気になっていたのがオリジナリティだった。それも過去形だ。クライアントの言う言葉をうまくビジネス表現に押し上げるにはキャリアがないと難しいかもしれない、と思っていたが、そうとも言い切れなくなくなった。

キャリアがなくともネット上でバズらせることができたら、すごいことだ。そこでまずは成功だ。それによってクライアントに利益をもたらすことが出来たらもう何もいうことはない。

今後ますます需要が増えるWEBライターだ。インターネットいう名の大海原に、きれいな姿で飛び込もうが、どさくさに紛れて海の中に入ろうが、入り口はどこでもいい。うまく泳ぎきるのは選ばれた人間だけかもしれないが、チャンスは大海原にたくさん漂ってる。それをどうやって捕まえたらいいのか。今度釣り糸を垂れて考えたい。

でも、です。この「ムーブメントの起こし方」こそ、普通に生きていきたいライターやクリエーターたちの深刻な悩みのひとつだ。そこの解決の道筋を作っていこうとしているのがワタシとワタシタチです。

といいつつも、とりあえず書いておきたいことが一つだけある。


万国博覧会のガイドブック

その昔、魅力のある広告コピーはそれ1本で多くの人を魅了し、集客や売り上げに貢献してきた。そのためにみんなとても時間をかけた、ワタシですら、たった1本のコピーに1週間かけることもあった。資料を収集し、読み込むのに時間をかけた。ワタシが少しだけ他の人と違うのはコンペやプレゼン前に古本屋巡りをすることだった。昔の本は触発されるものがたくさんある。写真は下北沢の古本屋で見つけた1冊。たまたま日本文化がテーマで新しい表現方法がないかを探し回った。見たことのない表現をしないと競合は強いとこばかりだ。「これはなんですか」と店主に質問すると「万国博覧会の日本館のガイドブックだよ」と教えてくれた。時代がよくわからない。店主が言った年代とは違う気がするが「ありのままの日本」が表現されていた。日めくりカレンダーの1枚、切手、新聞の切り抜きなど、写真の上に、そのまま貼りこんであった。キービジュアルをどうしたらいいのか悩み続けていたワタシは「目の前のモノをありのままに表現すればいいんだよ」と古書が教えてくれた気がした。恋人に抱きつくように、抱きしめた。その資料は「ありのままでやってごらん」と声なき声で、ワタシの背中を押してくれた。

追伸;コピーライターとして大尊敬をしていた先輩おっさんがコロナで死んでしまった。彼の書くコピーは何歳になっても恋する乙女のような胸きゅんの世界だった。1本のコピーに物語が詰まっていた。こういうのがあった。旅モノのパンフの中に、「センチメンタルジャーニー」を特集した。恋人同士に仕立てた2人は旅に出た。男は絶壁の壁の上に立った。女は別の絶壁の上に立った。「僕は君がずっと好きだったんだ」というコピーを書いた。それをみたデザイナーが見開きの紙面のなかで山をふたつ作り、その真ん中にそのコピーをいれた。
恋はそう簡単にかなうものではないということをそこで表現したかっただろうなとワタシは理解した。その時、彼は現実で恋をしていたかもしれない。

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