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死臭

幼少の無邪気さを持って、道端の虫を捕まえる。
捕まえたのち、解体するバッタ、踏み潰す蟻、哀願するカマキリの目、既に死に絶えた蝶の羽を鱗粉ごと蹂躙し保有する。

優越、悦楽、背徳、小さな反抗。
鼻腔に仕舞い込む死臭。
来世は虫じゃないといいね、という、傲慢なる気の違った善意。

小さな命の羽音を生命体として認識できない分別のなさ。血肉の終わりも仕舞い込んだ死臭も、いずれ手前の腕に、足に、未熟な脳に、降りかかるものだと気付けない無知。無邪気さの罪悪。

己の首の締まる瞬間に認知する死の容易且つ、無価値さ。生死共に大差無く唯在るだけであるという、絶望。

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