過去の自分へ。

13年前の保育園に通う自分へ。

まず、お前のいる環境は普通じゃない。
親は子供を家に監禁しない。
真夏の車内に取り残さない。
毎日ご飯は3回食べる。
保育園で食べるご飯が一日のご飯じゃないんだ。
夫婦喧嘩の原因にされることも、
久しぶりに外出したと思ったら、
5歳の体力じゃ帰れない所に取り残されることも無い。

夫婦喧嘩を見るようになるとは思うが、気にするな。お前のせいじゃない。
母親を殺そうと父親は首を絞めるが関わるな。見ちゃいけない。トラウマになる。
この頃に火事が起こるが、母親のせいじゃない。
犯人に仕立てあげられたせいで母親はノイローゼになってお前達に当たるようになる。
この犯人は全部ばあちゃんだ。火の不始末だ。

何かあったら保育園の先生にすぐ相談しろ。
話は聞いてくれる。

あと、おむつの交換に来る青い袋のお兄さんには彼女がいる。諦めろ。


10年前の小学校3年生の自分へ。

早く家を出ろ。
そうしないとほんとに辛い目にあう。
毎日夫婦喧嘩を聞いていていな気持ちになるだろ。
その原因が全部自分のせいにされてるのも聞こえているはずだ。
お前はそのうち、それに耐えきれなくなって
住んでいるアパートの2階のベランダの縁に座って、飛び降りて死のうとする。
「もういい!全部自分のせいなら私死ぬから!」
って喧嘩を止めようとするが、
母親がベランダまで来て
『じゃあ死ねよ』
って頭を掴んで思いっきり後ろに押すからな。
それは10年経った今でも、
頭を掴まれる感覚も、落ちて地面に叩きつけられた時の背中の痛みも、全部忘れられないからな。

それがトラウマになって、友達に背中を叩かれるノリですら、全身の震えが止まらない体になりたくなければ、その喧嘩は止めるな。

そのあと、同じ年にお前は母親に刺されるぞ。
両親の喧嘩に刃物が混じったらお前は絶対に庇うんじゃない。
脇腹を刺される。
傷は無事に消えたが、めちゃくちゃに痛いぞ。
その後、母親は調子に乗って何事にも包丁を持ち出すようになる。
勉強しなければ首元に包丁を当てられ、
苛立つことがあれば、包丁をこっちに向けて投げるようになる。
死にたくなければ、父親に向けられる刃物を庇おうとするな。どうせ刺さないから。

あと、やりたくない習い事は無理にやるな。
「やりたくない」と反抗したら刃物は持ち出されるだろうけと、トラウマになるよりはマシだから。


7年前の小学校6年生の自分へ。

車にだけは気をつけろ。
お前はこの年に3回、母親の車に轢かれる。
全部軽傷で済むが、3回目は気をつけろ。夏頃の歯医者の前だ。
お前をノーブレーキで轢きに来るぞ。
たまたま避けられたからいいものの、
轢かれてたら死ぬぞ。
あとこの頃から、母親に
『お前なんて産まなきゃよかった』
って言葉にされることで存在意義を失う。
なんで生まれてきたんだろうって、あの時死ねばよかったって繰り返し思うようになる。

でも大丈夫。お前が思っている以上に、周りはちゃんと見ていてくれてるぞ。
それがその3年後に分かるから。


中学生の時の自分へ。

お前は小学校の時に習ってたバレー部に入る。
全員が入るからと言って流されるな。
自分の好きな部活に入れ。
お前はバレー部に入ると3年間いじめられる。
挙句、クラスでもいじめられるようになるぞ。
話し相手はいるものの、部活のものは無くなる、体操服は隠される、色々されるぞ。

それと、中学3年生の時に母親が死ぬ。
それを知らされるのは母親が死ぬ半年前だ。
「部活に集中させるため」とか親は言うが、もっと早めに気づいた方がいい。あとから後悔するぞ。

母親が死ぬのは中学3年生の5月31日だ。
お前と妹と父親は、母親が息を引き取る瞬間に立ち会えない。
お前が「学校で使うノリが足りないから買いに行く」
と3人で出かけたら、その数分後に死んだそうだ。

これをお前は約3年引き摺り、後悔する。
でも気にするな。
きっと神様が、そんなやつの死に立ち会わせないようにしてくれたんだ。

これはそのうち出会う人に言われた言葉の受け売りだが、
お前は母親に何された。
毎日のように叩かれ、殴られ、刃物で脅され、1度は刺され、突き落とされたり、車で殺されそうになってる。
そんなやつは母親でもなんでもない。
そんなやつの死を見届ける必要も、お前にない。
だから後悔することをやめろ。
そういう運命だっただけだ。

お前は母親が死ぬと聞かされたときに、お前も体を検査させられ、薬を飲むことを勧められる。

でも関係ないからと飲まないし、そこから病院に通うことを辞める。
しかし、その薬だけはちゃんと飲め。
風邪薬とかなら飲まなくてもいいが、その薬だけはちゃんと飲め。
その3年後に、手術が必要になって後悔するぞ。
『なんで自分の体を大切にしないんだ』
と大切な人に怒られる。
お前が思うほどに、お前はひとりじゃない。
いろんな人に心配してもらえる人間になる。
その人たちに迷惑をかけることになる。
そうなりたくなければ、ちゃんと薬を飲んでくれ。
むしろ頼む。飲め。

それから、7月1日は絶対にリビングで寝るな。
父親に襲われるぞ。
もし襲われたら早くみぞおちを殴れ。
酔っ払っているから無防備だ。
抵抗すれば鼻血が止まらない程度には殴られるが、大丈夫。早く逃げてくれ。


少し前の自分へ。

体に不調を感じたらすぐに病院にいけ。
そうすれば少しマシになるかもしれない。

お前は全てに自信をなくす。
それに耐えかねて、体と心はどんどんボロボロ崩壊していく。
辛い時は周りを頼れ。
頼った時に『もう少し病まないようにならないの』とか聞いてくるやつとか
その辛さにつけこんで来るやつとはさっさと縁を切れ。
お前に得なんてひとつもない。

あと、父親は、『この人と将来籍を入れたい』とある女性を連れてくる。
その人は母親が生きていた頃の不倫相手だ。
その人が母親になっていいことは何一つとしてない。
『この人が母親になってもいいか』と尋ねられたら断われ。
後に、この人にも刃物を向けられることになる。
とことん母親運がないんだ。諦めろ。

あとお前が一生いると思うやつとは1年しか続かない。
ちゃんと大切にしてやれ。


自殺しようとして死にきれなかった自分へ。

人生に絶望して何度も自殺しようとする。
橋から落ちても、首を吊っても、風呂場で手を切っても、薬を大量に飲んでも
最終的にお前は死なない。

死のうとして、それでも死ねなくて。
何回も泣く。

それでも。なんだかんだ、ここまで生きてくれて
ありがとう。

いろんな過去があったから、
多少のことでは泣かなくなった。

でも
今でも大きい物音は怖いし、
雷は嫌いだし、
背後に人が立たれるのは怖いし、
頭に手が置かれる瞬間、叩かれるんじゃないかって身構えちゃうけど。

それでも、ここまで生きていてくれたから、
私の過去を話して泣いてくれる人がいるし、
今まで頑張ったねって褒めてくれる人がいる。

未来の自分は少しだけ休憩するとします。
入院して、体を完璧にして。
たまに頑張ったり、手を抜いたりする、
そんな当たり前に戻れるように。

今まで頑張ってくれて、ありがとう。
生きていてくれて、ありがとう。


未来の自分より。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?