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煮汁の推薦図書①本屋さんのダイアナ

2019年、年明けの少し後の冬の日、私は本屋で一冊の本の帯に大変惹きつけられた。
【すべての女子を全力肯定!】とあるその帯がついた本の名は「本屋さんのダイアナ」(柚木麻子 著・新潮文庫)だ。
私は滅多なことでは帯の文句には惹かれることがない大変な天邪鬼であるので、自分でも驚いた。
表紙が可愛いのもあったかもしれない。手書き風のイラストで、色彩がまとまっていて良い。描かれているモチーフも可愛らしくて素敵だ。読了後にその表紙に描かれている絵の意味や、サブタイトルのように書かれている「The story of Diana and her Books」の意味がわかるようになっている。オタクはこういうのがとても好きだ。知らんけど。
裏表紙のあらすじが購入の決定打となった。
生まれも育ちも真逆の少女2人が出会うことから話は始まる。2人の共通の趣味である本を通して友情は深まるものの、小さなすれ違いが重なり合い、とあることがきっかけで2人の仲はついに崩壊してしまう。いったい2人はどうなってしまうのか…と。

私はこの本を無我夢中で読んだ。
あまりにも、2人の少女のどちらにも感情移入してしまう。全てとは言えないが、多くの部分でダイアナの気持ちも、彩子の気持ちも手に取るように分かってしまう。
この現実世界にもたくさんのダイアナがいて、彩子がいる。かつて少女であった私はダイアナであり彩子でもあった。昔の写真を並べたアルバムを見返すような気持ちになりながら、2人のドラマを見守った。
時に穏やかな真昼の海のような出来事もあれば、渦を巻き全てを飲み込む大嵐のような出来事もある。2人の少女の人生劇は私にとってとてもリアルで、懐かしささえあった。

蛇足だが。私は昔から本屋になりたいとずっと思っていた。
前職を退職する際に本屋のバイトを探したが、時給のあまりの低さに愕然として諦め今に至る。
今は小売店でPOPを描くなどしているのだが、この本の主人公のひとりがまさしく本屋に勤めて、POPを描いているのだ。私が憧れ続けていることを、主人公がやっている。そういう要素もあって私はこの本がとても好きだ。

話を戻す。
時の流れは残酷だと昔から誰かが言うが、それは間違いだろうとこの本を読んでは思う。残酷にするかどうかはそいつ次第だ。時間のせいにするな。
ともかく、2人の少女は数年の時を経ることで最高の形で再開する。ハッピーエンドである。ハピエン過激派腐女子の私ニッコリ。
2人の再会シーンは本当に感動でクラクラした。
裏表紙のあらすじには「ガール・ミーツ・ガール小説」と書かれている。確かにそうだし、私に言わせると最早バディものである。最高の2人だ。この2人なら、どんな荒れ狂った大海原でも怖くないに違いない。



読了後、錯乱しつつ感想を簡単にTwitterで呟いたところ、フォロワーさんのひとりがこの本を読んでくださったという。
あまりの感激と喜びで、私はもらったリプライをスクショしてしまった。
自分が楽しんだものを他の方にも楽しんでもらえることは、とても最高なことだ。

他にもそれなりに読書をしているのでまた時間があれば推薦図書について書くことにする。

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