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2021年 上半期 アルバム10選

上半期ベストアルバムです。今年は例年になく新譜を積極的に聴いたので、自分用の記録も兼ねて特にヘビーリスニングした作品を10枚選びました。

一応、ランキング形式にしてますが、明確な優劣はありません。
あくまで個人の好みなもんで、偏りがあるかもです。
ので、逆に言うと、好みが近い方には刺さるかもです。

■10 「Be Right Back」 Jorja Smith

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本作と同時期だとオリビア・ロドリゴが大変な話題を搔っ攫っていましたが、私はこちらのジョルジャ・スミスに惹かれました。
デビュー・アルバムが2019年。本作はそれ以来のリリースとのこと。
この方、容姿が大変優れているのでモデル上がりの兼業歌手くらいに最初思ってたんですが、インタビューを見ると、
「曲のアイデアをピアノやギターで形にしている」「バンドメンバーと曲作りしている」みたいな発言があり、結構アーティスト志向が強く、今後に期待しています。

楽曲としては彼女の憂いあるメロディと、説得力のある声が特徴と思いますが、それに対するバンドメンバーの控えめでツボを押さえたアレンジが絶妙。必要な音だけを必要なとこにだけ置く、巧みな空間で聴かせます。

けどこれ、ライブパフォーマンスここに貼って初めて見たんですが、お顔が強すぎる故か、かなりポップアイコンっぽい売出し方ですね。
楽曲にも影響が出てこないことを願います。

■9 「L.W.」 King Gizzard and the Lizard Wizard

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みんな大好き(?)キング・ギザード&ザ・リザード・ウィザード、前年度の「K.G.」からの続編となる17作目のアルバムです。
多作っぷりが続いてますが、これ、彼らのキャリアの中では地味な分類で、代表曲となり得る曲も入っていないし、この作風はすでに何回か通った道です。
が、曲の平均レベルが高いんですよね。サラっとハマれる瞬発力と、繰り返し聴けてしまう魅力のどちらもある。

これはリード曲のPV。相変わらずフレット位置がおかしい妙なギターを使っている。曲もかっこよき。
本当に驚異的に力のあるバンドだと思います。というか、リリースペースが既に驚異的ですが...。(もう18枚目出てますし)

■8 「Nature Always Wins」  Maximo Park

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世界一覚えやすい名前のフロントマン、ポール・スミス率いるマキシモ・パークの7作目。
なーんか影が薄いバンドになってしまった感があり、本国ではTop5入りしていたようですが、日本国内ではさして話題になっていなかったように思います。
同じく今年前半にリリースがあった同期組フラテリスの新作は微妙でしたが、こちらはなかなかの快作です。
以前のような派手さは削ぎ落とされ地味になったとも言えますが、ポップさは健在。

Paulって良いボーカルですよね。このバンドにしてこの声、歌唱力もありバンドの顔としてのキャラも立っていて。
そんな彼を中心としたバンドの一体感は特筆すべきものがあると思います。
持ち味を保ちつつ成長したサウンドは、2021年に聴くストレートなUKロックとして抜群に響きます。
今更マキシモ・パーク、なんて思っちゃう方にこそ聴いてほしい作品。

■7 「Today We're the Greatest」 Middle Kids

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豪インディーバンド、ミドル・キッズの新作。
Today We're the Greatest、なんて素晴らしいタイトルでしょう。
ジャケットも最高。そりゃこんなの聴いたら色んなものが流れ出るってもんです。
多幸感溢れ、この陰鬱とした世の中に刺す一筋の光かのような楽曲。
紅一点、サウスポーのギター・ボーカルを中心とした演奏にも力強さがあり、バンドとしての充実がパッケージされています。

この動画は収録曲QuestionsのTVライブ。足元に置いたキーボードを弾きながら歌う導入から、幕開けのハンドクラップ、ブラスセクションの参加と見どころ満載でオススメです。

■6 「When Smoke Rises」 Mustafa

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新星R&Bアーティスト(と銘打たれている)、ムスタファ。
検索性は悪いですが、いやぁ、曲が良いです。抑制されたアコースティックでアンビエントなアレンジとメランコリックなメロディが素晴らしくって、一聴してジェイムス・ブレイクみが凄いと思いましたが、しっかり彼も関わってるようで、一部の曲はプロデュースしてます。
けど、ジェイムス・ブレイクってちょっとアート志向が強すぎて、メロディは弱いと思ってるんですが、こちらのMustafaはもう少し地に足がついている印象で、メロディやピアノに泣きのフレーズ多し。

ドライブには全く不向きな、歩きながら静かな夜道で聴くと、いつもの景色が違った情景に見えてくるような、そんな類の作品です。これ聴くために私、遠回りして帰りましたから。

■5 「SHYGA! The Sunlight Mound」 Psychedelic Porn Crumpets

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声に出して読みたいバンド名、サイケデリック・ポーン・クランペッツの新作。論ずるより先に収録曲「Tally-Ho」をどうぞ。

謎な世界観のクレイアニメはさておき、このギターリフのイントロ!なんですかこれは。
再生後5秒の衝撃と高揚。個人的には今年一でした。
ギターロックバンドが放つ、イントロでノックアウトされるような楽曲、00年代まではたくさんあったと思うんですが、それに似たパワーを感じます。
これ2曲目なんですが、続く楽曲もテンション高めでどれもかしこもイカしてます。
前述のKing Gizzard and & The Lizard Wizardもそうですが、豪サイケデリックロック界隈って良いバンド出てきますね。
それにしてもアルバム名の「シャイガ!」ってなんぞや。

■4 「Access」 Major Murphy

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UKミシガンのインディー・ロックバンド、メジャー・マーフィーの2nd。
大きなヒットには至っていないぽいんですが、これ、世に放たれたのが別の時代だったら、もっと違う評価があったのではと思わずにはいられません。
ソフト路線のオルタナなんですが、メロディが抜群に良い。そして美しいコーラスやギタープレイ。

この手の曲、好きな人たくさんいると思うんですが、届いていないのが惜しすぎる。ライブがイマイチこじんまりしてるからでしょうか。
ロックファンの誰もが胸に持つ、過去の名盤に近い空気をまとっており、永らく遠ざかった郷愁にかられます。
革新性からは距離を置く。懐古主義的と言われればそれまでですが、琴線に響いてしまったものには抗えません。
もう少し支持されても良いのかなと思います。

■3 「This Is Really Going To Hurt」 Flyte

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UKよりフライトの2ndアルバム。このバンドは知らなかったので出会えて本当に良かった。
こういう方達なんですが、この佇まい、空気感が凄く良くないですか。

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自然体で飾りっ気がない、無垢で純度の高い静かなロック。
透明感があってメロディはひたすらに美しく、アレンジにおいては変化球を施したり、過剰に盛り上げたりしない安心感。
アコギとクリーンギターが主体のギターワークは優しく温かみに溢れ...。こういう作品は心の滋養に必要なのです。
なんか書いていてこれが一番好きかもって思ってきました。

■2「Collapsed In Sunbeams」 Arlo Parks

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大型新人として注目の中1月にリリースされたデビューアルバム。
期待以上の内容でした。
最初聴いたときは地味な印象だったんですが、気づけば最も長く聴いた作品に。
1曲挙げるならこの「Caroline」。素材的なピアノに乾いたビート、流れるようなメロディラインのボーカルが魅力。

歌い方や見た目こそR&Bテイストですが、曲は基本的に1フレーズのループものであり、ビートメイクによるベッドルームミュージックっぽさがあります。そこに乗っかる楽器の抜き差しや重ね方が巧みで、ロックファンの自分にも刺さりました。というか刺さりまくりました。
記事を見るとフェイバリットにAarctic MonkeysやIDLESを挙げてたりして、結構大衆的なルーツを持っていることが、間口の広い音楽性に繋がっているのかなと思います。

■1 「Blue Weekend」 Wolf Alice

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ウルフ・アリスの3rdアルバムを1位にしました。
シューゲイザーなギターと伸びやかなボーカルによる神々しく壮大なサウンドが全面に出つつも、一辺倒にならずに個々の曲はバラエティに富んでいて、恐ろしいほど充実した一枚です。
#4 SmileのようにLiveで盛り上がること間違いなしのダイナミズム溢れる曲がある一方、続く#5みたいなアコースティック主体の「静」の曲もしっかり良曲で、捨て曲なし。
アルバムとしても後半の「The Last Man on Earth」が大名曲と最後までダレが無く、隙がありません。
もはや王者感すらあるほど。

メンバーのプレイにも個性があり、ロックバンドとして華がある。
是非フェスの大きなステージで観たいですね。

■枠外 「新しい果実」 GRAPEVINE

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GRAPEVINE新作。正直邦楽は手が回らなくって、これくらいしか聴けなかったんですが、あまりに良かったので枠外で。
この、決して明るい曲調ではなく、ポジティブな言葉を多用してるわけでもないのに肯定されている感。メロディと語感の心地よさ。その他諸々の「GAPEVINEのこういうところが好き。」が余す所無く詰め込まれ、かつ高い次元で冴え渡りまくっています。
なんか年々、音もご本人達も格好良くなってませんかね。あんなふうに歳を重ねたい。

#2「目覚ましはいつも鳴りやまない」から#5「ぬばたま」の流れが特に沁みました。あと#7「さみだれ」、#10「最期にして至上の時」も。
ほとんどだな...。つまり最高ってことです。

このギターの気持ちよさったらもう。
そしてこの歌い出し。"お弁当ぶら下げて" をこんなに格好良く歌えることってありますか。

■迷いつつも次点となった作品

リストアップしましたが10つから漏れたもの。
・「Daddy's Home」 St. Vincent 
・「Typhoons」Royal Blood
・「Full Throated Messianic Homage」Sons of Raphael
・「Medicine At Midnight」Foo Fighters
・「FLOCK」Jane Weaver
・「Californian Soil」 London Grammar

かなり意識して新譜を追っかけた半年でした。
少なくとも1年はこのペースを継続しようと思ってるので、下期も楽しんで聴いていこうと思います。

以上です。

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