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心情陳述の内容

平成24年12月22日から、私の人生は悪い方向へ大きく変わりました。
あなたの身勝手な、自分自身の一時的な欲求を満たそうとする犯行の為に、私の女性としての尊厳は傷つけられました。そして、私はあなたの欲求をみたすためのものとして扱われた上に、あなたは、逃走をするために運転席のドアを開けたまま車をバックさせて私を倒し、引きずり、私に対して心身ともに不可逆的な傷を負わされました。私は今も心の痛みと体の痛み、その二つに未だに苛まれています。これからも苛まれ続けるでしょう。あなたは、私に怪我を負わせ、命さえ奪う可能性がある行為をしたのにも関わらず、保身のために逃げ、そのあと何事もなかったかのように入浴し、食事をとり、妻と二人で外出したと聞きました。私は、あなたのこのような行動をしり、あなたが普通では考えられない冷徹極まりない人間であることが分かり、結局私が死んでいたとしてもどうでもよかったのかと思い、強い憤りを感じました。私はあの日から、駅に近づくこともできなくなりました。悪夢を見るようになりました。身体の痛みから事件前まで出来ていたことが出来なくなってしまい、家族、周囲の人たちにたくさんの迷惑をかけてきました。
もしも、あなたの妻が同じような犯罪被害に遭い傷を負ったら、どのように感じますか?置き換えて考えてみてください。許せるでしょうか?許せと言えるでしょうか?あなたは過去にも性犯罪を犯していますね?
その時も「ごめんなさい」と謝罪の弁をしたと思います。
でも結局、あなたはその時の被害者に与えた傷も、あなた自身が感じたであろう「やってはいけない」という感情も忘れてしまったのでしょう。そして、今回も前と同じように理性を働かせることなく犯行に及び、以前よりも重い罪を負う事に対し、「捕まるなんて運が悪い」程度にしかおもっていないのでしょう。私はこのような人間が、またいつか出所してくると思うと、恐ろしくてたまりません。あなたにどのような成育歴、病歴があっても、社会や家族からストレスをおっていたとしても、誰かを傷つけていい理由にはなりません。あなたの親にもよく考えてほしいです。こうやって「犯罪者」を育て上げてしまったことを。そして、被害者には損害賠償もせずに、ただ息子がかわいいがゆえに情状証人として、出廷していることを。犯罪が起きたことで誰一人として幸せになる人は居ません。あなたに妻、子どもも「犯罪者の妻、犯罪者の子ども」として一生を生きていかねばなりません。あなたは、人間としての未熟さ、酷さゆえに、出所しても、喉元過ぎれば熱さ忘れるというもので、また同じような犯罪を犯すのではないでしょうか。また、私と同じように辛い思いをする被害者がでるのではないかと思うと心が痛みます。口先だけで、「ごめんなさい」「もうしません」「反省しています」ということはどんな人間でもいうだけならできます。二度と同じような犯罪を犯さないために、どのようなアクションを起こすか、具現化してほしいです。犯罪を犯すような人の言葉を易々と信じられるものではないのです。事件の非から、私は人が怖くなりました。そして、私は人を信じることが出来なくなりました。
なぜだかわかりますか?あなたのような刹那至上主義で私利私欲を満たすためなら、人の尊厳を奪っても構わないという考え方をする人間がいると身をもって知ったからです。事件に遭い、私は離婚をしました。主人も献身的に私のフォローや家庭内の家事を担ってくれていました。でも、私自身も「前なら簡単にできたことすらできない」というストレスがたまり、主人も毎日早く起きて、子どもを園まで送り、疲れて帰ってきてからも家事をするという生活の中でストレスがたまり、二人が事件のことで言い合いになった事が何回もありました。主人から「もう、その話はしないでほしい」と言われることもありました。私は重いものを持つことが出来ず、痛みを抑えるために鎮痛剤を飲んでも、以前のような生活にはもどれませんでした。
私は、愛する子どもを抱っこすることもできなくなり、次第に家庭内が崩壊していきました。事件が起きる前までは家族で出かけたり、子どもを抱っこしたり、趣味を楽しんだりもしていました。そんな人間としての当然の権利、幸福な家庭すらも、この事件によって奪われてしまいました。
私は、あなたが今も家族を持っていることがとても憎いです。このような罪を犯しても家族から見限られていないことが。
これから、あなたは刑務所に入り懲役の日々を過ごしていくのだと思います。私はあ刑務所の外で心身の傷と共にいきていかなければなりません。
あなたにとっては、刑務所で懲役を終えれば、その罪から法的には解かれます。ですが、私はあなたと同じタイムラインにいながらも、全くその過去が終わることはないのです。一生涯にわたって、忘れることのできない傷と戦わなければなりません。あなたは可逆的な時間の中で、生きていき、私は不可逆的な時間の中で生きていくのです。その違いが、どれだけ大きいものかわかりますか?
あなたは私の人権を無視し、人間としての尊厳を奪いました。
どのようにしたら、私の尊厳は回復できるのでしょうか。
私は、あなたが刑務所の中で、自分が犯した罪の大きさを他の受刑者と共に身をもって考えてほしいです。出来ることならば、二度と出所してこないことを願います、でも二度と出所してこないという判決が難しいかもしれないことを聞き、残念です。だから、私としては最低、10年は刑務所に入っていてほしいです。
更生のチャンス云々と世間はいうかもしれません、でも、そもそもあなたは一度、更生のチャンスを貰っているにも関わらず、同じことを繰り返しました。あなたは「更生」という文字がこれほどまでに相応しくない人間であると、私に思われていることを忘れないでほしいです。
そして、それを胸において少しでも真人間になれるように長い日々を尽力していってください。

人生は一度しかありません。
あなたは私を一度殺しました。私の心です。
心を殺して、身体を傷つけたという現実を忘れないでください。
私はあなたを許すことは一生ないでしょう。
どのように、これから失ったものを償っていってくれるのでしょうか?
1人で考えて答えが出ないのであれば、家族や専門家に相談して出来る限りのことをしてください。判決が出たから、懲役が終わったから終わりではありません。

寧ろ、あなたが社会復帰したときには更に厳しい現実が待っていると思います。その時に、また社会や家庭のストレスを言い訳にして、あなたがまた罪を犯さないことを願います。


上記の文章は、被害者参加制度で心情陳述をした内容を書き起こしたものです。この内容の気持ちは今でも変わっておらず、最後の三行の部分を加害者は出所してすぐに死亡し伏線を回収する形となったことにとても憤りを感じます。この陳述の後の被告人の発言で加害者が留置所で離婚したことを知りました。その時「僕は出所したら、また妻と幸せになる」と言った時、この世の終わりを感じました。人の不幸の上に成り立つ幸福などないのに。

犯罪被害者になるということは、こういうことです。

不可逆的 

その一言に尽きます。

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