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縁あって…Queen 1st

中古レコードを買うと時々名前が書いてあることがあります。
日本盤ではあまり見かけませんが、アメリカ盤に多いような…。気のせいかも?

『名前入りレコード』って、会ったことないのに元の持ち主に親近感を感じてしまいます。
だって同じ趣味を持っているわけだから。

▫️Maryさんが持ってたQueenの1stアルバム(アメリカ盤)

アメリカ盤の1stアルバム

ビートルズの次に夢中になったのがQueen。
ミーハーなファンも多かったけど、彼らのテクニックに魅了されたロックファンも多かったはず。僕も後者のファンとして長年聞き続けて来ました。

さて、このレコードは大人になってから近所の古本雑貨店で手に入れたモノ。
ジャケットもディスクも状態が良くなかったせいで100円ぐらいでした。
こういうJunkなレコードが好きで、既に持っていてもつい買ってしまいます。
でも、このレコードに惹かれた1番の理由は、やはりジャケット、レーベルに書かれたMaryのサインです。

Front cover
Back cover

フロントカバーは、UK盤がボーカルにスポットライトが当たるステージ全体のデザインでカラーも紫色。
これに対して、アメリカと日本盤は赤色でステージ全体ではなくボーカルをクローズアップしたものになってます。

何故違う色やデザインになったかは不明。
紫色では地味過ぎてアメリカではウケが悪いと判断したのか?

UK盤

UKではEMIからリリースしてますが、アメリカはワーナー系のELEKTRA RECORDSから。
日本もアメリカと同じでワーナーパイオニアのELECTRAからで、邦題は『戦慄の女王』でしたね。

LPのレーベル

そしてこのレコード盤のレーベル。
斑模様の背景に『蝶』のデザインは結構不気味です。
因みにシングルは『幼虫』で発想は面白いと思いますが、リアルな描写は『勘弁してくれ!』って感じでした。

シングルのレーベル


▫️ところでMaryさんはこのアルバムをいつ買ったのか?

僕の勝手な想像ですが…

Queenがアメリカで本格的に売れ出したのは1975年の『オペラ座の夜』あたりから。ピークは1980年の『The Game』だと思います。
イギリスらしい少し湿った感じのハードロックとバレエ、演劇風の見た目。熱心なファンでなければ、1973年のデビュー時から聴くことは無かったんじゃないかな。

ジャケットの紙質や痛み具合から考えると70年台半ばから後半辺りに売られたレコードでは…。

つまりMaryさんの購入時期は、1975年からPunk、New Wave全盛前の1977年頃までの期間でしょうか。

▫️何故、名前を書いたのか?

アメリカでのレコードの価格や価値観は日本とはかなり違っていたと思います。
どちらかと言うと消耗品的な感じで、盤の扱いもかなり適当なイメージがあります。
平気で盤面を持ったりデスク上に置いたり。
本で言えば文庫本(ペーパーバックかな)みたいな感覚。

日本は丁寧ですよね。帯は付いてるしライナーノーツもある。インナースリーブが付いていてもその内側に必ずビニール袋を入れ、外袋まである。過剰とも言えますが…。
日本人気質。でも価格は高かったです。

また、レコードを貸し借りする文化。
アメリカに限ったものではないと思いますが、消耗品に近いアメリカの場合、貸すと戻って来ないリスクも高かったかも知れません。
(でも、これは国民性よりその人の性格によりますね…)

だから名前を書いて『私のモノよ』と主張する必要があったと考えられます。


▫️Maryさんはこんな女の子

僕の中でのMaryさんのイメージは、

・大都市圏に暮らす高校生。
・内向的でインドア派。
・趣味は読書やレコード鑑賞でその世界感に憧れ没入するタイプ。
・同じ趣味の友達同士で好きなレコードや本を貸し借りするのが楽しみ。
・David Bowie, Sparks, Cockney Rebel, Genesis, The Kinks, The Velvet Underground などが好き。


ルックスは、Lisa Loebかな。
見た感じの印象ですが…。

この時代にMaryさんと会ってみたかった…。


▫️そして、このレコードは僕の手元に

時は流れ、世の中も大きく変化しました。
レコードはCDに代わり、データ配信へと変わっていく。

Maryも大人になり生活環境も変わった。
以前のように音楽を熱心に聴くこともなくなっていた。

そうなると、レコードなんて無用の長物でしかないです。
保管のために場所は取られるし、引越しする度に片付けや運搬が大変。
だから、懐かしい思い出に後ろ髪を引かれながらも、持っていたレコードは全て手放してしまった。

このQueenの1stアルバムもアメリカ大陸を転々としたことでしょう。
その後、太平洋を渡り小さな島国にやって来ました。
ここでも何人かのQueenファンの手を経て、やっと僕の手元に辿り着きました。

長い年月がかかりました。

Maryさん、お元気ですか?
今どうしてますか?

大好きだった君のレコードが今はここにあるんですよ!

と伝えたいです。

Keep yourself alive
Keep yourself alive
All you people keep yourself alive
Take you all your time and money honey
You will survive
Keep you satisfied


【オマケ情報】
レコードのDead wax部分にある
『ESR-7D 7-20-73』は、カッティングエンジニアが刻んだもの。
1970年7月20日にカッティングしたんだと思います。

Dead wax部分 ESR-7D 7-20-73

おしまい。

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