確率の代表性ヒューリスティック「批判的思考」+35
クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+20,+30,+31,+32,+33,+34)
前回は、「確率の利用可能性」を説明しました。人は特定の基準に偏って物事を考えがちです。
今回は、「確率の代表性」について説明します。
あなたはどう考える?
コインを投げたら、次のような順番が出ました。aとbどちらが出る可能性が高いでしょうか?それとも、両者の可能性は等しいでしょうか
(a)○●○●○●
(b)○○●○●●
正解は「両者の可能性は等しい」です。というのもコインの表裏が出る確率は2分の1の6乗ですから、ここでの順番は関係がないのです。
「aのような順番ではなく、bのようなランダムになるはず」と考えた肩もいるかもしれません。しかしそれは、「ランダムだから表と裏が順番に出るのはおかしい」のような代表性ヒューリスティックに従っているに過ぎないのです。だから答えをBだと考えてしまうわけですね。
少数の法則の信念にも気をつける
コインの問題を答えるとき、もう1つ考慮にいれるべき概念があります。それは、長い時間や多くの試行で当てはまる現象が、少ない時間や少ない試行でも当てはまるとは限らないことです。これを「少数の法則の信念」と呼びます。
たとえば、コインを投げる回数を100回にすれば、表と裏が出る回数はほぼ均等になるでしょう。しかしコインを投げる回数が6回であれば、表に偏りが出る場合もありますよね。つまり、大多数で当てはまることが少数で当てはまるとは限らないのです。
コインの問題を例に出すと、もし100回のコイン投げをしたら表と裏が交互に出る確率はかぎりなく低いでしょう。しかし6回のコイン投げでは、表と裏が交互に出る可能性は大いにあるのです。
要するに、全体で考えると理論確率に近い数値(表と裏が均等)が出る話でも、少数で考えると全体の理論確率とは違う結果になる可能性があるのです。
【考えてみよう】
ある部屋に二十三人の人がいる。その中に同じ誕生日の人が入る確率はどくらいだろう?(a)百分の一、(b)十分の一、(c)二分の一より大きい
読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。