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キテレツ差別マンにならない方法「批判的思考」+16

クリティカルシンキングシリーズの続きです。(+10,+11,+12,+13,+14,+15

前回は、固定概念を使って考える「ステレオタイプ思考」について説明しました。今回は、このステレオタイプ思考の危険性を表す「究極的帰属錯誤」について説明します。

「男は女の敵/女は男の敵」が生み出す悪魔について

たとえば、「男なんて信じちゃダメ!」発言や「女なんてすぐ裏切るよ!」発言は、過度な一般化であり、悪いステレオタイプ思考です。そしてこの害悪思考は、広がれば広がるほど悪影響を周囲に与えていくのです。

具体例で考えてみましょう。

男なんて信じちゃダメ信者が、男性に浮気された女性から相談を受けたとします。するとこの信者は、女性の内面には目も向けず、相手の男性の内面を強烈にディスります。逆にその女性が浮気をしてしまった話を聞いたら、その男性のコミュニケーション不足を指摘し、女性の内面には一切触れません。

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このような現象は「行為者-観察者効果」であり、基本的な帰属錯誤が起こっているのでしょう。笑い話に聞こえますが、この話は危険な展開が待っています。

この信者の問題点は、主語が果てしなく大きいことです。人間は性別だけで言えば男と女しかいません。その男を敵だと考えているわけですから、もうこれはアカン未来しか待っていません…。

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つまり、わたしたち女性(集団)とあなたたち男性(集団)で分類分けしていますから、この現象が広がればどんな問題が起きるかは想像がつくでしょう。

このような思考が広まっていき、ヒドイ人種差別を引き起こすような強い錯誤を「究極的帰属錯誤」と呼びます。

所属する集団でステレオ思考も変わっていく

たとえば、同じ会社に務める同僚が問題を起こしたとき、その同僚は自分と所属が同じメンバーなので、原因の帰属が外的要因に向きがちになります。逆に他社の社員が問題を起こしたら、原因の帰属はその人の内的要因に向けられます。身内を贔屓しているわけです。

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このように外集団の成功は外的要因、内集団の成功は内的要因というように、帰属の対象が自分と同じ集団にいるかどうかで帰属を判断することを「究極的帰属錯誤」と呼ぶのです。

究極的帰属錯誤が危険なのはやりがちな2つの思考があるからです。

1つ目が「内集団の個別化、外集団の一般化」です。要するに、自分が属している集団の個性は把握する割に、外の集団の個性はひとまとまりにしてしまうのです。

たとえば、日本人のみでイギリスへ旅行に行ったとき、無愛想なホテル従業員がいたとします。するとその日本人は、「イギリス人は無愛想だ」と考えるのです。主語デカすぎですが、これがイギリス人が日本に遊びに来ていての発言であれば、「他の人もちゃんと見なさいよ!」とその日本人は注意喚起するでしょう。

この例はわかりやすいですが、似たような例はたくさんあるはずです。

2つ目が「内集団の評価は弱く、外集団の評価は強い」です。要するに、内集団が起こした問題は大目に見るが、外集団の起こした問題はただじゃおかねぇ!ってやつです。

たとえば社会を見ていると、自社のミスは隠蔽しようとするのに、他社のミスはもぐらたたき並に叩きますよね。こういう例です。

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ここで伝えたいのは、2つの偏りの危険性ではなく、集団ベースで原因の帰属を行うと、こういう偏りが起こりやすい事実を認識することです。とくに後者なんてぼくもよくやりがちで、要するに仲が良いと思ってる人を贔屓しているわけですよね。

そんなの当たり前にするじゃないですか。ただそうやって偏っている事実をメタに把握するのが大事なのです。

まとめ

ステレオタイプ思考は便利な分、大きな問題に発展する原因にもなりえます。所属している集団の内と外の違いで原因を帰属してしまう究極的帰属錯誤は、まちがった差別を増やしてしまう思考の1つです。ステレオタイプ思考を使うときは、デメリットや性質を理解して使っていきましょう。

刃物と同じで、柄を持てば便利ですけど刃部分を持ったら怪我するだけですからね。

【考えてみよう】
身近(内集団)で起こった問題に対して、内的要因を考えず外的要因だけを考えていたケースを思い出すこと。そしてどのように思考すればよかったか内省してみよう。

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クリティカルシンキング「原因帰属の錯覚:究極的帰属錯誤」+16の解説


読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。