まちがった原因に騙されやすい人の特徴がこちら「批判的思考」+2
クリティカルシンキングの続きです。(+1,)
前回で原因とは何かを説明し、必要原因と十分原因の違いを説明しました。出来事が起こる原因は、無数の必要原因が組み合わさって起こります。しかしすべての必要原因を把握するのはむずかしく、ほんとうに必要な原因を結果と無関係に結びつけがち。
この考え方は言い換えれば、ぼくたちは無数の必要原因のいくつかをピックアップして、それを大きな要因とみなしている傾向にあります。
ここでは、明らかにおかしい原因推測をしてしまう理由について説明していきます。
必要原因と考えられやすい原因の特徴
ケーススタディとして優秀な原因である「〇〇を飲んだら痩せました!」を例に考えてみましょう。
1ヶ月前より3キロ痩せていて、その分析をしていると仮定します。
-ジムで運動したから
-飲み会を減らしたから
-食事量を減らしたから
-☆高級サプリを飲んだから
などなど、思いつく原因があります。ここで立ち止まって考えたいのは、いま思いついた原因をなぜ要因だと考えたのでしょうか。それは原因推測をするときに挙げられがちなのが、注目に値する出来事の発生や新しくて意外性のある出来事だからです。
換言すると、「表面的に1番めだつ出来事」が原因になると言えます。
たとえば1例として、「仕事で成功したのはこの本を読んだから!」をよく聞くのは、以下の目立つ出来事が起こるからです。
出来事の発生→本を読む
新奇性のある出来事→本で得た知識を行動に移す
ただしその主張をしている人が、とある企業の御曹司だったらどうでしょう。環境が原因だと誰もが疑うはずです。ファーストフード店のマックへ行く人は、お腹が空いているから入りますよね。なので店員さんが横暴だろうと商品を買うのです。
しかしにもかかわらず、カウンターの店員が自分の実力があるから売れたと言っていたら、いろいろツッコみますよね。それと同じことです。
そしてこの例は、高級サプリを飲んだから痩せた!も同じ原理でしょう。サプリ摂取は新しくて突発的な出来事ですから、本当はそれ以外に必要な条件があったにもかかわらず、必要原因として考えてしまうのです。
論点のズレは原因推測のミスマッチが引き起こす
たとえば、海外のメディアでこんな情報が話題になっているとしましょう。「イチローは毎日、日本米を食べているから野球がうまいんだ!」と。するとそのニュースを見た外国人たちは、日本米を買い漁るかもしれませんね。
しかし日本人がこのニュースを聞いて、日本米を買い漁るでしょうか。いいえ、日本米にそんな効果がないのはよくわかっています。海外では珍しい日本米でも、日本では当たり前。
この例は極端ですが、原因の推測を間違えると、論点のズレや意見の食い違いが多発していきます。特定の人物にとっては当たり前で普遍的な話でも、違う人物の視点から見れば意外性があり目立つ話というのは、無数にありますよね。
つまりここで伝えたいのは、原因に関する判断は、その出来事のコンテキストやその出来事を判断する人物の思考に偏るのです。視野や視座、視点が違えば、どんな対象物でも違うモノに見えてしまうもの。
だれもが同じコンテキストで出来事を見ているわけではありませんから、原因の推測が人によって異なるのは自然な話と言えるでしょう。そしてコンテキストが判断に影響を与えるのであれば、もう1つ大事な要素もわかります。
原因を探るためには膨大な情報が必要である、です。
たとえば、象に筆箱を踏ませて壊そうとしてる人がいたとしましょう。その場面だけを見れば、やっている行動の意味が不明ですし不気味ですよね。しかし次の一文が入れば見え方が変わります。
「象に踏まれても壊れない筆箱を制作しているため、実際に試している最中です」
シャーロック・ホームズも言っていたように、事実が揃っていない状況での推理は歪曲しやすいのです。自分にとって都合の良い解釈をしてしまい、真実を見えなくさせます。
まとめ
まちがった原因推測をしがちな原因の特徴について紹介しました。だれもが似たような原因推測をしてしまった経験があると思うので、目立つ情報に引っ張られていないか意識しましょう。
【考えてみよう】
恋人から連絡が来ない!と悲しんでいる女性がいたとする。連絡が来ない理由は恋人が浮気しているのが原因だと女性は考えている。しかしこの状況にとある情報が付け加えられて状況が一変した。その情報とはなんだろう?
動画の解説はこちら↓↓↓
読んでいただきありがとうございます。これからも読んでもらえるとうれしいです。