【短小説】「声が枯れるまで」

「声が枯れるまで」

彼が私を置いていってしまう

どうしてみんな私を置いていってしまうの?

誰か…誰か彼を助けてっ…!

その時、ジープが土煙をあげ救護所の前で止まった

土煙の中から現れたのは白衣を着た五人の男たち

私は彼らにすがって懇願した

「お願い!彼が死んでしまう!助けて!」

すると無精髭のリーダーらしき男が答えた

「すいません…私達は国境なき肛門科医師団なので…」

私は声が枯れるまで叫んだ

「死ねぇー!…死んでくれぇー!」

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