イシューから始めよを再読してみた【備忘録】
「イシューから始めよ」という本。
ビジネスマンなら聞いたことが一度はあるでしょう。
安宅和人さんという、現在はYahoo!のチーフストラテジーオフィサーを勤め、もともとはイェール大学脳神経科学プログラムに参加されていたり、マッキンゼーでお勤めだったり、という経歴の方でございます。
ちなみに安宅さん、2020年2月に「シン・ニホン」という書籍を出版されるようです!
2012年、就職氷河期になんとか私を拾ってくれた渋谷にあるインターネット系企業に入社した社会人1年目。
その頃に何かの記事をきっかけに「よし!読んでみよう!」と思い「イシューからはじめよ」を読んでみたが、地頭の弱さなのか...内容自体そこまで実は理解できていなかった。
なぜ今、再読をしようと思ったのか。
それは、社会人人生で一番苦悩した時期でありとにかく藁をもすがる気持ちで様々な書籍を読んでこの状況をプラスに転じなければという意思と
実はあまり本書を理解できなかった自分自身に対して、恥ずかしい過去を清算したい気持ちがあったからだと思う。
とにもかくにも私の本棚に眠っていた白地に黒字にサンセリフでシンプルに「ISSUE DRIVEN」と書かれた書籍を取り出してみた。
イシューから始めるとは
解の質とイシュー度、両方高い仕事がバリューのある仕事である。バリューのある仕事こそが世の中にインパクトのある仕事になりえ、お金を稼ぐ仕事になりえる。
イシュー度とは「自分がおかれた局面でこの問題に答えを出す必要性の高さ」
解の質とは「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの違い」
労働者にありがちなのが「犬の道」。犬の道とは、解の質が高い仕事ばかりをこなし、努力量でイシュー度の高い仕事に行き着こうとするもの。
しかし、筆者である安宅氏の見解では「解の質」の高い仕事を1万回やって1回程度しかイシュー度の高い仕事に繋がらず、99/9%の仕事は徒労に終わるという点を指摘している。うさぎ跳びを繰り返してもイチローにはなれないという自明な例と共に、無駄な努力を否定している。
よって、イシュー度の高い仕事は何かを見極め、イシュー度が高いであろう仕事に対して取り組むことでバリューのある仕事に最短で到達することを筆者はススメている。
イシューの見極め方
まず第一に必須なのは相談する相手を持つこと。
理解が浅い段階で、イシューを見極める作業を1人で行うのはオススメできない。
老練で知恵のある人。課題領域での直接的な経験を持つ人。がオススメだが、そういったツテがない方は「論文・記事・書籍・ブログ」などで見つけたら思い切って面会や相談を申し込む。
研究所やシンクタンクに勤める人でも良い。
仮説を立てること/スタンスをとること
私は一時期、就職活動生に対して就職活動の支援を行なっていたのだがこの「仮説を立てること」の重要性を嫌というほど身にしみていた。
例えば「企業の従業員規模はどれくらいだろうか」という学生と「従業員規模が100名以下の企業では、企業の意思決定のスピードはまだ健在であり、よって組織としても変化に富む可能性が高いのでは。そういった変化に富む組織は私の肌感覚に合うのだろうか」と考える学生は雲泥の差だ。
よって、イシューに答えを出すような仮説を立て、その仮説を検証するために情報分析をし、解釈を明確にする。解釈とは、事実に対して「自分がどうみるか」だ。
イシューに対する仮説を言葉にする
言葉にすることで、曖昧な概念を明確な仮説に変えることができる。
メンバーどの認識のズレもなくなり、イシューに対しての行動を明確にすることができる。
「言葉にしよう」というのは合言葉である。
良いイシューとは
良いイシューの三条件は「本質的な選択肢であること」「深い仮説があること」「答えを出せること」の3点である。
・本質的な選択肢であること
これは、物事の原因と結果を見極められているかなどが当てはまる。
イシュー自体を見極めた結果、自身の目標到達や課題解決に繋がるかが重要なのである。
・深い仮説があること
「常識を否定する」常に業界や、社会の常識を覆せる視点がないかをチェックすること。
「新しい構造で説明する」これは"共通性の発見"と"関係性の発見"と"グルーピングの発見"と最後に"ルールの発見"である。
・答えを出せること
これは、解決できない問題に意味がないということである。
イシュー特定のための情報収拾のキソ
これは「一次情報をあたること」「基本情報を収拾すること(必要な情報例)」「集めすぎない、知りすぎないこと」としている。
基本情報の収拾については5フォース分析(売り手・買い手・競争企業・新規参入業者・代替品)に加えて技術・イノベーションと法規制についても言及している。マーケティングにおける事業環境分析のそれに近い。
またこれは新たな知見ではあったのだが人は知識を得すぎると「自分ならではの視点を生み出せなくなる」。筆者は「知りすぎたバカ」と表現している。
自分なりの視点を大事にすることが価値のある仕事につながる。
このようにイシューから始めるという概念について筆者が丁寧な事例を交えながら話を進めている。
是非とも「課題解決」において「ロジカルシンキング」で限界を感じている人には読んでほしい一冊である。
コラムにも価値があった!
このイシューから始めよ。コラムにも金言が散りばめられている。
・「表面的な論理思考に陥らないこと」
そのためには「ロジカル・シンキング/フレームワーク思考だけに頼らないこと」「一次情報を大切にすること」「その情報を噛みしめる、つまり情報の価値を見極める」ことの重要性を示している。
WEB上だけで得たこと、テレビでみたこと、人から聞いたこと。それだけで知った気になってもビジネス上ではまったく意味のないことだ。自分の頭で考える、という基本に立ち返ろう。
今一度読んでみたら社会人人生で教わったことが端的にまとめられていた名著だと気づいた。
こちらの著作。何と言っても名著である。
作者の科学者としてのスタンスも込められたオリジナリティと、イシューという汎用的な概念がわかりやすく書かれている。
またベストセラーがゆえに周りのビジネスマンも読んでいることが多く共通言語を獲得する上でも良い本だろう。
何と言っても「ロジカルシンキング」「フレームワーク思考」で陥りがちな落とし穴について触れている点も、俯瞰的で教訓となった。
自身の課題や、ビジネス上の課題で行き詰まる人、ロジカルシンキングに限界を感じる人がいれば是非とも手にとって読んでみてほしい。
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