坪田さんにデザイン組織の相談をしてみた
以前投稿をした通り、Slackで坪田さんにデザインの相談をさせていただいています。今回はなんと直接お会いして頂いてデザイン組織の相談に乗っていただきました。全てを書ききることは出来ませんが、印象的だったことや今後に活かしたいことなどをまとめます。
目次
0. お話を伺うに至った経緯
1. 1年マネージャーをしたら1年プレイヤーをした
2. プレイングマネージャーは難しい
3. スキル的な定性評価はどうしていたか
4. 成果の評価はどうしていたか
5. BTC人材が何故求められているか
6. デザイナーがいきなりビジネスの領域に踏み込むのは難しいのでは
お話を伺うに至った経緯
私が働いている会社にはデザイナーだけで構成された部が存在します。ですが、まだ発足から半年足らずで未成熟な点が多々あります。
私が坪田さんにフィードバックを頂いていることを部長に話したところ、是非お話を聞いてみたい!ということで坪田さんに打診をしました。
……実はこのとき私は本名も会社名も伝え忘れていました。にも関わらず快諾してくださった坪田さん、ありがとうございます🙇♂️
1年マネージャーをしたら1年プレイヤーをした
DeNAにいらっしゃったときのお話です。200名ほどのデザイナーがいる巨大な組織のマネジメントをしていらした坪田さんですが、1年マネージャーに専念した後は1年プレイヤー……というように切り替えていたそうです。
理由としては、マネージャーやってる間はなかなか新しいスキルが仕入れられません。そうするとそのうち調整役や仲介役としてしか動けない人間になってしまいます。
すると何が起こるかというと、自分の市場価値も下がるしマネージャーという役職にしがみつくような結果です。次第に「なんであの人は自分よりスキルが無いのにマネージャーなの?」といった不満もメンバーから生まれかねません。
結局みんなにとって不幸なことが多いから、マネージャーをやった後の1年は制作に専念したそうです。マネージャーをやっている期間中に次の世代を育てて、色々なことを仕組み化して、早い段階から1年経ったらプレイヤーになるという意思で動いていたそうです。
プレイングマネージャーは難しい
マネージャーになるとどうしても会議が増えます。会議と会議の間の時間に制作をしようにも、エンジンがかかる頃に次の会議が始まったりします。
マネージャーがプレイングマネージャーを目指しがちなのは「このまま技術的な研鑽をせずに、仲介役や調整役だけをやっていて大丈夫なのか?」といった不安を感じて、それを払拭するためにプレイヤーも両立しようとするのでは?というのが坪田さんの分析です。
ただ、結局どっちつかずになってしまいがちです。坪田さんはどちらかに専念した方が良いと考えて、先程の通り時期によって自分の役割をキッチリ切り替えたとのことでした。
また、マネージャーとプレイヤーというのは単なる役割の違いであって上下関係はありません。そういった意味で「いつでもマネージャーとプレイヤーを行ったり来たりできる環境」の方が良いと考えての動きだそうです。
スキル的な定性評価はどうしていたか
基本的にはメンバー本人に目標を立ててもらって、その目標の達成度合いを評価するような形だったそうです。
だいたいのレベルの線引きはあったそうですが、あくまで本人がどれくらいの期間でどんなことをしたいかに合わせて目標設定をしていたとのことでした。
例えば「アプリの新規開発が出来るようになりたい、それをやる部署に行きたい」という目標のある人がいたら「じゃあいつまでにHIGを理解して実装がこれくらいできるようになって……」と求められるレベル感を伝えて目標に落とし込むような感じだそうです。
ちなみに一人が全てのデザイナーのスキルを評価する形だと、評価者が詳しくない分野が出てきたときに困るためあまり現実的ではないかもとも仰っていました。
成果の評価はどうしていたか
「成果の評価はデザイナーがしない」というのが私も部長もとても意外でした。(帰りの新幹線でもこのことについて盛り上がりました。)
というのは、デザイナーの成果の評価はエンジニアが/ビジネスがするということではありません。市場やユーザーからの評価に任せる、というニュアンスです。
もし評価者がデザイナーとして「これってイマイチじゃない?」と思ったとしても、すごい利益が出たり改善につながったのであればそれは間違いなく成果です。ですがデザイナーとして評価するとその芽を潰してしまう危険性を危惧しての発言でした。
結果が出るのが1年2年先ということもあるし、モノを作り終わったときではなくて結果が出たときに市場からの声として評価する。ただし、行動やスキルについては常時評価する。というようなスタンスでした。
BTC人材が何故求められているか
CXO Nightでも話題に挙がっていたようですが、参加が出来なかったので直接お話を伺ってみました。
まず、何を作るにしても不確実性の高い今だからこそ、MVPとかアジャイルといった具合に小さく作って素早く改善することが求められています。そのときにB, T, Cのどれかしか分からない人が集まったチームよりも、それぞれを分かっている人のチーム(あるいは全てを分かっている一人)の方が早く改善できる。だからこれだけ求められている、とのことでした。
デザイナーがいきなりビジネスの領域に踏み込むのは難しいのでは
BTC人材が求められている、といってもいきなりデザイナーがビジネスの領域に踏み込もうとしても難しいのでは?と感じました。実績も無い状態でどうやったらそこに信頼を得られるのだろうという質問をしてみました。
まず、実際難しいと思いますというのがありました。ただあくまでそれはいきなり大きな範囲を任せてもらおうとするから難しいというのが答えでした。
初めから組織作りや事業の全体の計画などに参画しようとしてもそれは無理があるので、まずは自分が今携わっている事業についてどう結果を出すかを考えるのが先決です。小さな範囲で結果を残し続けていればそのうちもう少し大きい範囲を任せてもらえるようになります。
それの繰り返しの中で、制作だけの範囲から段々とビジネスの領域まで踏み込んでいくのが良いのではないかとのことでした。これはデザインに限らず仕事の仕方全般のことだと思うので、何か職能を超えるからと特別なことが必要なわけではないようです。
まとめ
マネジメント、評価、スキル……と、あちこちわからず悩んでいたことだらけでしたが、こんな風にやってみよう!という方針は見えてきた気がします。
また自分自身の成長の仕方と、組織をどう成長させるかをセットにしながらお話を聞けたのも大きな収穫だったと思います。
まだまだ日本全体で体系的にデザイン組織を作れているところは少なく、みんな手探りの状態ですが、こうやって前に進める動きを自分でも出来るのはとても面白く感じています。
引き続き苦戦することは多いと思いますが、今回の学びを活かしてより今の組織を良いものにするぞ!とやる気に満ちあふれています。
0. お話を伺うに至った経緯
1. 1年マネージャーをしたら1年プレイヤーをした
2. プレイングマネージャーは難しい
3. スキル的な定性評価はどうしていたか
4. 成果の評価はどうしていたか
5. BTC人材が何故求められているか
6. デザイナーがいきなりビジネスの領域に踏み込むのは難しいのでは
最後まで読んでいただいてありがとうございます!