先輩が教えてくれないデザイナーのスキル10選
Photoshopの使い方は教えてもらっても、こういうことは教わらない……かもしれないスキルを書いてみました。「見て盗め」系の話もできるだけ言語化したつもりです。これらを体系的に教わったというならば、あなたはきっと良い職場にいるのでしょう!
なお、このnoteはデザイナーになって日が浅い人向けです
1. データを整理するスキル
「そんなのスキルのうちに入るの?」と思われたかもしれません。でも、出来ていない人も多いようです。情報を整理することの多いデザイナーがデータすら整理できなくてどうするのでしょうか。個人プレーならともかくチームで仕事をするなら必須のスキルです。
明確な正解があるわけではありませんが、ディレクトリ構成とファイルの命名規則に一貫性を持たせましょう。
少しだけ私のやり方を紹介しますと、まずルート直下にMaterialsとProjectsというディレクトリを設けています。
Materials配下ではカテゴリーごとに更にディレクトリを作成して写真やイラスト、アイコンなど各種素材を格納。
Projects配下ではプロジェクト毎にディレクトリを作成して制作データを格納しています。命名規則は
日付-名前_説明などあれば-番号.拡張子
というフォーマットです。ファイル名変更で文字列をダブルクリックしたとき、アンダースコアは1つのかたまりで認識されるけどハイフンは別物扱いです。ですので名前を表す文字列だけはアンダースコア、プレフィックスやサフィックスっぽい文字はハイフンと分けて使用しています。
素材はMaterialsから配置してきて、書き出し時にパッケージ機能を使ってひとまとめに。似たような素材が複数のプロジェクトのディレクトリをまたいで存在するのを防ぐためにこうしています。
2. データのバージョンを管理するスキル
こちらも「わざわざスキルとして取り上げるほどのこと?」と思われたかもしれません。しかし一度でも
キャンペーン_画像差替え済_02_最新(2).psd
みたいなファイル名を見たことがあるならば、それはバージョン管理が出来ていないということです。
まず前提として、GitやAbstractなどバージョン管理のためのツールが使えるなら使いましょう。
しかしこれらのツールが上手く機能しないときもあります。ある時期限定のキャンペーンでのみ使うpsdファイルをGit管理している人は……多分いませんよね?
どう解決するのか?先ほどの話と似ていますが、チームで共通の規則を作ってその通りに命名しましょう。
一番簡単なのはファイル名の後ろにナンバーを振っておいて、編集する度にインクリメントして別名保存する、ではないでしょうか。
常に最も新しい番号のものを編集して、少しでも触ったら番号を変えて別名保存。余力があればCHANGELOG.mdのようなものを同一ディレクトリに置いて、変更内容を記載すると良いかもしれません。例えば
01 - ベースのレイアウトを作成
02 - 画像を仮データから本番データに差し替え
03 - メインコピーの内容を変更
くらい簡単であっても、随分と参照しやすくなると思います。
3. レイヤーを整理するスキル
レイヤーの乱れは心の乱れ。今この瞬間は分かっても、1ヶ月後の自分が解読できないデータを作っていませんか?
具体的には長方形 23 のコピー 3のようなレイヤー名のまま放置してある、画面上は近くにある要素なのにレイヤーは遠く離れている、使わないからと非表示にしたレイヤーが残っている、などが該当します。
レイヤーの並び順は一方向に揃えて、レイヤー名はオブジェクトの具体的な特徴を記載して、同じ階層にあるものはグループ化してまとめて、不必要なレイヤーは消します。
並び順は上からか下からか?命名はスネークケースかケバブケースか?などはチームの中で決めれば良くて、絶対的な正解はないと思います。
他の人が見ても分かるようなレイヤー構造を心がけ、優しさに溢れるデータを作りましょう。
4. 公式ドキュメントを読むスキル
ソフトの機能やショートカット、業者さんに入稿するデータの作り方、ライブラリの導入の仕方などなど、大半のことは公式ドキュメントに書いてあります。
公式ドキュメントをしっかり見た上でTipsとして個人のブログなどを見て情報収集する分には問題ありませんが、いきなり二次情報から調べるのはあまりオススメできません。
情報が古かったり、ブログを書いた人の解釈が間違っていたり、場合によっては公式がバッドプラクティスとして案内している手法が書かれているケースもあります。
公式ドキュメントは大抵、量が多く欲しい情報をピンポイントで得るのは難しいものです。特に慣れないうちは。
だからこそスキルの1つとして紹介したいのです。最初は自分が既にある程度使えるものの公式ドキュメントを読んでみるのがオススメです。
例えばAdobeソフトのリリースノートを眺めてみるとか。大半が知っている情報なのでそこまで拒否感は出ないと思いますし、新しい使い方も知れるかもしれません。
5. 徹底的に真似をするスキル
バナーやUIのトレースが初心者デザイナー向けの練習として流行っています。そんな中でも、最初は徹底的に真似ることを意識してみてください。
どういうことかと言うと、まだ一度も完コピが出来ていない状態でアレンジをするのはやめようという話です。
最初のうちは完成したと思っても、重ねて比較すればズレている箇所だらけだと思います。粘り強く修正しましょう。「まあこんなもんで良いか」で終わるとそこが自分の天井になります。
あまり面白みを感じなかったとしても最初は徹底的に真似をする。それが出来た上で色を変えるとか写真のテイストを変えるとかアレンジをする。その方が伸びが早いです。
スキルなのかマインドなのか難しいですがアレンジを入れるのは後!と、しっかり線を引くことが大事です。
6. 効率良く制作するスキル
ペンツールと文字ツールだけでもグラフィックって作れなくはないですよね?でも長方形ツールや楕円形ツールを使えば幾何図形を描くのは速いし、クリッピングマスクや調整レイヤーを使えばもう少し凝った表現ができますよね?
更に今のデザインツールはコンポーネントだプロトタイプだアニメーションだと、機能追加が著しいです。かつては泥臭くやらないといけなかったのに、今では数秒で解決するものも多いです。
このように、現在知っている機能や方法が最適とは限りません。自分の努力では限界を迎えていても、プラグインを入れたら2倍速になることなんてザラにあります。ショートカットをたくさん覚えるだけでも1.5倍くらいなら速くできるかもしれません。
前述の公式ドキュメントを読むスキルもリンクしていて、ベストプラクティスを公式が教えてくれることも多いですし、便利な新機能は大々的に宣伝しているものです。
更に効率良く制作するための手段はないか、普段から探していてください。
7. 正しく見積もりをするスキル
相手から求められた納期や要件に二つ返事でYESと答えないことは重要です。あなたのスピードはあなたしか分からないので正しく見積もって返事をしましょう。
クライアント相手にそうも言ってられない!という場面はあるでしょうが、少なくとも先輩や上司、あるいはディレクター相手にはしっかり伝えるべきです。
そのためには毎日自分の予定を見て見積もりを立て、1日の終わりにズレを確認することから始めましょう。最初はそもそも何時間かかるかも分からないと思います。それでも一度、予想してみるのが大事です。
例えば3時間で終わると予想したものが5時間かかってしまったとき。作業自体は丁度3時間だったのだけど、見本探しに1時間、デザインレビューを受けてからの修正で1時間使って合計5時間でフィニッシュだったとしましょう。
このとき「作業時間以外にも調べる時間や修正の時間を見積もらないといけないんだ!」と気付けたら大成功です。
こんな感じで毎日振り返りをしていけば段々ズレは少なくなり、そのうち一週間、一ヶ月と自分の作業時間を見積もれるようになるでしょう。
気合いだけで見積もりをして、残業でカバーして、振り返りをせずまた気合いの見積もり……というループに陥るとまず抜け出せないので注意してください。
8. 自分の限界を知るスキル
上で残業の話をしました。残業は短い方が良いですが、そうも言ってられない日もありますよね?そんな場合であっても予め自分の限界を知っておくと役にたちます。
何時間以上寝ない日が続くとパフォーマンスが著しく低下するとか、趣味に使える時間がこれ以下になると心が死ぬとか、そういうラインを理解しておきましょう。
無理に厳しい状況に身を置く必要はなく、「なんだかやる気が出ないな」というタイミングを記録しておけば大丈夫です。後から振り返ったら○○な条件があったとなれば、それを避けるために普段から調整をかけられます。
分かりやすいので残業を例に挙げましたが、自分で自分を追い込んでつらくなるタイプの人にも有効です。
「毎日○○を勉強する!」と意気込んだものの、実は自分の限界を上回った設定だったから続かなかった……という人、たくさん見かけます。
初めから限界を知っておけば調整が効くので、長い目で見たときに最大の成果を得られる計画を立てられるようになります。
もちろん、急に体調が悪くなったとかそういうときは休んでください!無理をしろという話ではありません!
9. 休息するスキル
人間誰しも動きっぱなしは無理。上手く休むこともまたスキルの1つです。
たくさん寝ることが休息になる人もいれば、スポーツなどでリフレッシュすることが休息になる人もいます。
人によって方法は全然違うので、自分にあった休息で自分なりのリズムを構築してください。分からないうちは色々な休み方を試してみるのが良いと思います。
10. 言語化するスキル
休息の話をした後にまだあるのか、と思うかもしれませんが最後のスキルです。言語化するスキル。
ここまで読んで「デザインどうこうより当たり前のことが多いなあ」と思っている方が多いのではないかと予想しています。
たしかにデザイナーならでは!というスキルはほとんど紹介していませんし当たり前のことばかりです。
しかしながら、当たり前を当たり前として言語化した経験のある人、意外と少ないはずです。当たり前のことや些細なことでもしっかりと言語化できるのは大事なスキルです。日頃から自分の考えをアウトプットする練習をしましょう。
まとめ
全部で10のスキルを紹介しました。
1. データを整理するスキル
2. データのバージョンを管理するスキル
3. レイヤーを整理するスキル
4. 公式ドキュメントを読むスキル
5. 徹底的に真似をするスキル
6. 効率良く制作するスキル
7. 正しく見積もりをするスキル
8. 自分の限界を知るスキル
9. 休息するスキル
10. 言語化するスキル
派手なスキルやカッコいいスキルはありませんが、どれも大事です。そして冒頭にもあるように、体系的に教えてもらえるタイプのスキルではありません。是非自分で意識してみてください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。
最後まで読んでいただいてありがとうございます!