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忍殺TRPGリプレイ小説【ダンジョンズ・アンド・ニンジャズ】#3

(前回のあらすじ:順調にツキジ・ダンジョンの探索を進めていたチーム・ヒップの前に、突如ニンジャスレイヤーが出現。必死に逃げる彼らへと、死神はツヨイ・スリケンを投擲した。その威力は凄まじく、柱を破壊し、天井を崩落させてしまう。ハウスバーナーはそれに巻き込まれ……)

#2 終了時

◆ハウスバーナー (種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       6    体力        6→0(行動不能)
ニューロン     4    精神力       4→1
ワザマエ      5    脚力        3
ジツ        1    万札       11
DKK       0    名声        2

◇装備や特記事項
◆ジツ:カトン・ジツ
◆ZBRアドレナリン注射器
◆トロ粉末
◇効果蓄積鍛錬(ニューロン):次のザゼン鍛錬での必要出目-1
◇シンピテキ加護:次に成長の壁を超える特訓をした時、超えるのに必要な出目を2減らす
◆インパーミアブル (種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       4    体力        4→3
ニューロン     6    精神力       6→4
ワザマエ      5    脚力        3
ジツ        0    万札       12
DKK       0    名声        2

◇装備や特記事項
◆家族の写真
◆サイバネアイ、テッコ、生体LAN端子
◇シンピテキ加護
◆ポイズンバタフライ (種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       6     体力        7
ニューロン     6    精神力       6→3
ワザマエ      6    脚力        3
ジツ        2    万札       23
DKK       0    名声        2

◇装備や特記事項
◆ジツ:カナシバリ・ジツ
◆ウイルス入りフロッピー
◆タクティカルニンジャスーツ、ブラッドカタナ
◇シンピテキ加護

NSは……「ヌウ……」自らが起こした破壊により、追跡のための道が塞がれてしまっていた。そもそも、ここへ来たのはやつらを殺すのが目的ではない。本来の目標は別だ。やつらの声を聞くに、HBは死んだだろう。ならばよし。他の二人は次の機会に殺す。NSは状況判断し、その場を立ち去った。

戦闘終了

地下???階

01110011001111100

ハウスバーナーの混濁した意識は、深海に沈められたバイオヒトデめいて、ニューロンの闇の中に力無く浮遊していた。精神力も尽きかけ、身体が動かない。周囲は闇。瓦礫の中。即死ではないが、このまま窒息死もあり得る。(オイオイ……さっきのブッダ=サン……俺はこんなところで死ぬのか……)

IPやPBは無事だろうか。共に瓦礫の下敷きか。カバノキとの連絡は。IRC端末は。そもそもなぜ、自分はツキジなどに行こうと言い出してしまったのか。ブッダの導きだと言うのなら、そのブッダはゲイのサディストに違いない。(ハナミ……風呂……地上へ……ニンジャスレイヤー……)思考はまとまらぬ。

ニンジャスレイヤー。ニンジャを殺す者。なぜ俺たちの前に唐突に現れたのか。この間のセツブンの仕返しか。それともなにか、スラッシャー時代の悪行三昧を、今になって収穫しに来たのか。それとも単なる偶然で理不尽か。意味付けをしても仕方ない。確実なのは、今自分が死にかけていることだ。

生き残る方法を脳内で探って、猛烈な勢いでソーマト・リコールが起きる。だが意識が薄らいでいく。自分にふさわしい死かも知れない。間抜けにも迷い込んだツキジ・ダンジョンの奥底で、誰にも見つけられず、瓦礫の下で。

…………。




(((ドーモ、HB=サン。お前は死なないぜ。オレ様が生かしてやるからだ…)))

幻聴。お迎えか。死神か。ブッダか。奇妙な嗄れ声がニューロンに響く。

(((ああ、そう思っていい。オレ様はお前のトーテムだ。汝に啓示を与えん……お前のニンジャソウルじゃないぜ。お前のは多分、ヒツケのなんかだ)))

……ニンジャ? あんたは、ニンジャなのか?

(((エンマ・ニンジャやカロン・ニンジャの知り合いさ。とにかくお前は、当分は死なねえ。オレ様の加護のお蔭だ。ラム酒と葉巻とハッパを捧げて感謝しろ。地上へ戻ったら、まだまだやることはある。好き勝手にしろ。たまにはDKKを積んだっていいんだぜ。お前はニンジャなんだからな!)))

そりゃ、ありがたい。そうだ、俺は。地上へ。戻らなくては。

(((また会おう。フューネラル=サンによろしくね……)))

幻聴が遠ざかる。HBの意識が上を見ると、0000の立方体が0001111……


ハウスルールとして、ソーマト・リコール体験をするとオヒガンに接近し、振り直しなしでザゼン鍛錬を行えることにする。HBは効果蓄積鍛錬をしているため目標出目4で成功。出目は5、鍛錬成功。ニューロンが1成長した。失敗しても蓄積された効果は失われないが、この体験での効果蓄積は出来ない(場合による)。コルネリウス戦でもNS戦でもニューロンを酷使して頑張っていたので、ブッダの詫び石だろう。時にはカラテやワザマエが上がったり、スキルやジツに目覚めたりするかも知れない。蘇生出来ればだが。

01110011001111100

「は……HB=サン!」瓦礫の下から、HBが掘り起こされた。PBがニンジャソウルを感知したのだ。まだ生きている。かろうじて。IPはHBの懐から、ZBRアドレナリン注射器を探り出す。強化樹脂製のそれはかなりの衝撃に耐えるように出来ていた。「よし!心臓に直接刺す!押さえてろ!」「ええ!」

「イヤーッ!」ZBR!HBの心臓に注射針が突き刺さり、アドレナリンが送り込まれる!「…………グワーッ!ゴウランガ!蘇生!「おお、おおおお!良かった……HB=サン!」「…………はぁ……心配させないでよ」「あ、俺は……いったい?NS=サンは?」「来ないわ、今のところね。逃げましょう」

「ああ……助かった。恩に着る」「着せとくわ。返してね」「ああ」全身を打撲したものの、サイバネにするほどではない。スシを食ってしばらく寝ていれば治るだろう。「だが、ここは地下深くだ。やつに見つからず、地上まで逃げ切れるか……」再びやつに襲われたら、今度こそ命はない。

……その時。

近づく気配と、微かな足音。「……ニンジャソウルは感じない。またバイオウルフかしら」PBとIPが周囲を警戒する。NSの恐ろしいアトモスフィアは、今は遠くにある。ブッダなど信じていないが、今は頼るしかない。「ナムアミダ・ラオモト=サン……」PBがつぶやく。ブッダへ祈るように。

闇の中から姿を現したのは、バイオレオパルドだ。上の階で見たのと同じ個体と思われる。「死にかけたらハイエナが来る、とか言うが……レオパルドかよ」HBが力なく笑う。「アタシらは無事よ。バイオレオパルドの一匹や二匹……」だが、バイオレオパルドは襲いかかるでもなく、首を振った。

「……ついて来い、ってのか?」殺気は感じない。襲ってきても相手は一匹だ。「行ってみましょうか。誘い出されて群れで来られたら、それまでね」「ブッダの導きと思おう。立てるかHB=サン」「あ、ああ」「肩を貸そう」
PBとIPが、左右からHBに肩を貸す。「ユウジョウ」「ユウジョウ」

バイオレオパルドは先へ進み、瓦礫を乗り越え、もと来た道へ三忍を案内する。「バイオウルフたちと縄張り争いでもしてのたかな」「さあな。とにかく助かったぜ。ありがとよ」バイオレオパルドはフイと振り向き、闇の中へ消えた。三忍は周囲に警戒しながら梯子を登り、縄を伝い、上へ戻る。

冷気はいつしか感じなくなり、暖かな湯気と外気が伝わってきた。住人の気配がする。地下一階の「居住区」まで戻ってきたのだ。「ニルヴァーナだ。生きて戻れたな」「ああ、生き返ったぜ。地上のどっかでスシ食って、帰って寝よう」ちょうど昼飯時だ。壁のシャッターがスルスルとめくれ上がる。

「……ダンゴ」嗄れ声がして、奥から骸骨めいた老人が身を乗り出した。「ダンゴ。実際安いけど」「いや、ダンゴはいらねえよ。明日はハナミだ」




エピローグ:余暇最終日

ネオサイタマ某所。重金属酸性雨が止んだ空の下、桜のアーチの下を大勢の観光客が歩いてゆく。歩きながら桜を鑑賞する古式ゆかしいハナミ、「トオリヌケ」だ。キョート名物には及ばぬながら、ネオサイタマにもこのような風流な場所はいくつか存在する。「やあ、絶景かな、絶景かな……」

カバノキと妻子はヤクザカマロ、チーム・ヒップとスズリはレンタカーで、この近くまで来ていた。「HB=サン、怪我はダイジョブですか」「ああ、心配かけたな。ニンジャは頑丈なんだよ。いちち……」昨日の今日だ。HBはまだ包帯まみれだが、自分の脚で歩ける。モータルなら即死していただろう。

「えらい目に遭ったが、報酬は獲得したし旨いスシも食えた。後はレインボーフード=サンのスシ食って、風呂入って寝れば全快さ」アジトの風呂はもう出来ている。業者が部屋や浴槽をパーツに分けて持って来て、その場で組み立て、水回りを調整したら完成だ。少々狭いが贅沢は言えない。

「ルート開拓は別チームに任せて、ゆっくりしましょ。明日からまたビジネスが待ってるわ」「ああ。またあいつに出くわすのはゴメンだ」桜の花が舞い散る中、三忍と一人と三人は和やかに談笑する。マッポーの都ネオサイタマにも、ソウカイヤのニンジャにも、このような平和は存在するのだ。

カバノキの妻子は、ヤクザでニンジャな三忍にはあまり近付こうとしない。それでいい。スズリが相手をしている。「……スズリをカバノキのところに任せてもいいかもな」IPがつぶやく。カバノキもヤクザだが、モータルだ。ニンジャの事務所に住まわせておけば、いつ襲撃があるかわからない。

「カバノキと不倫もしねえだろうしな。落ち着き先を見つけてやったがいいかもな」「籠の鳥から自由に、ねえ。身寄りもないんでしょ。アタシら慈善団体じゃないのよ」PBは肩をすくめる。「あの子がいないと、家事も事務も回んないし、華やぎがないわ」「そうだがな。まあ、考えておこうや……」

リザルトな 万札獲得:全員5
ハナミと風呂の効果により、次シナリオ開始時の精神力が+2される。

……それを遠くから眺める影あり。「ブラックマンバ=サン、ドシタンス」「いや、知り合いがいたもんでな。まあいい、行こう」「ハイ」久しぶりの休暇を取れたBMと、シャープウォーカー(SW)だ。移動がてらのハナミ。スシとサケはトコロザワのスシ屋に予約してある。BMは車に戻った。

SWが車を運転する。「偉くなったら、お前もラオモト=サンとハナミやオンセンに行けるかもな」「うへっ、偉い人の前だと緊張して……ああ、BM=サンが偉くないってわけじゃ」「はは。俺もいつまでもお前の世話をしてはおれん。まずはチームを組める若手を探し、アジトを持て」「ハイ」

BMは微笑み、自分の将来について思い巡らす。ザイバツやニンジャスレイヤー、ドラゴン・ドージョーとの抗争で、多くのソウカイ・ニンジャが死んだ。そのシマのどれかを任せられるかも知れないと連絡があった。ビホルダー=サンやコッカトリス=サンにジンギも切った。どうなるか。

桜の根本には死体あり。古いコトワザだ。多くの犠牲を栄養として、樹木は育ち、花を咲かせる。ニンジャはヤクザを、ヤクザは市民を。自分は誰かの栄養になるか、花を咲かせる樹木になるか。「もうひと花咲かせてみるか」「え?」「花咲か爺さ。犬の灰から花が咲く。枯れ木に花が、もう一度」

【ダンジョンズ・アンド・ニンジャズ】終わり

余暇終了の結果

◆ハウスバーナー (種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       6    体力        6
ニューロン     4→5  精神力       4→7(成長+ハナミ&風呂)
ワザマエ      5    脚力        3
ジツ        1    万札       16
DKK       0    名声        2

◇装備や特記事項
◆ジツ:カトン・ジツ
◆トロ粉末
◇シンピテキ加護:次に成長の壁を超える特訓をした時、超えるのに必要な出目を2減らす

能力値合計:17→18
◆インパーミアブル (種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       4    体力        4
ニューロン     6    精神力       6→8(ハナミ&風呂)
ワザマエ      5    脚力        3
ジツ        0    万札       17
DKK       0    名声        2

◇装備や特記事項
◆家族の写真
◆サイバネアイ、テッコ、生体LAN端子
◇シンピテキ加護

能力値合計:15 総サイバネ数:3
◆ポイズンバタフライ (種別:ニンジャ)        PL:つの
カラテ       6    体力        7
ニューロン     6    精神力       6→8(ハナミ&風呂)
ワザマエ      6    脚力        3
ジツ        2    万札       28
DKK       0    名声        2

◇装備や特記事項
◆ジツ:カナシバリ・ジツ
◆ウイルス入りフロッピー
◆タクティカルニンジャスーツ、ブラッドカタナ
◇シンピテキ加護

能力値合計:22

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