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【絶鬼パロ】とどまりたければ走り続けろ

「はあ……痛ッ……」

座標E-07、とある民家。痛々しく顔を腫れ上がらせ、包帯を額に巻いた金髪の少女が、呆然とベッドに座っている。一体何が起きたのか、理解が出来ない。拉致、投下、鬼、打撲、出血、気絶。記憶が断片化しそうになるのを必死につなぎ合わせる。

これは、悪夢か。現実か。意味がわからないが、ここで鬼ごっこをしろ、親の役だ、と言われている。親は鬼から子を守るのだと。しかし、自分に戦う力などない。皆無だ。鬼はと言えば、完全にバケモノで、自分をいきなり殺しに来た。その鬼は、幸運にも別の鬼と殺し合いを始め、私を放置して去っていったようだ。気絶した私を助けてくれたのが、浅倉威という男。

彼は―――鬼ではないが、怖い人のようだった。私を助け、食糧まで与えてくれたのだから、根は悪い人ではないと思うのだが。しかも彼は、何か……特撮ヒーローに変身することが出来るらしい。そして私に「ここにいろ」と告げ、外へ出ていった。好意的に解釈するなら、彼はその力で他の参加者を助けに行った、のかも知れない。きっとそうだ。そう信じよう。

善良で無力な彼女、アリス・カータレットには、他に選択肢はなかった。気紛れかも知れないが、強力な親に守られている。彼女は幸運だと言える。ただ問題は、浅倉にひとつ、ウソをついたこと。

自分は『』だと告げたこと。

なぜ、そう告げたか。彼女は「鬼ごっこ」のルールを読み、既に気づいているからだ。『親』が生還するには、『子』が親より多く生き残らなくてはならない。すなわち、子が何人いるか不明な現状、生還を望む親は……子を守り、他の親を「間引く」可能性があると。

アリスは、こう見えても18歳だ。奪われたデイパックにも「あなたはです」と明記してあった。だが、浅倉にバカ正直に告げれば―――彼は、自分を、殺しただろう。確信出来る。体の震えがひどくなってきた。傷のせいではない、恐怖のせいだ。このウソをつきとおさねば、自分は死ぬ。

あるいは、一縷の望みとして……自分が死んでも、親が勝利すれば、生き返れるかも知れない。でも、死にたくはない。決して。どうする。どうすることも出来ない。何も。ここで震えて、浅倉の帰りを待つことしか。だが武器もない自分が、無防備なまま、誰かに襲撃されたら?

膝を抱えて震えるアリスの潜む家に、何者が近づいていた。

<前回

「フー……とにかく、他の参加者と合流しねえとな……ひとりじゃあ心もとねーしよ。グスッ」

森の中。山道を辿って進んでいくのは、左目を失ったシルクハットの男。マジェント・マジェントだ。座標F-08、無学寺を襲った謎の災害から生き延びた彼は、その災厄が転げ落ちてきた方向へ進んでいた。次から次へアレが来る様子はない。ならば、むしろそっちへ遡った方が安全だろう、という程度の思いつきだ。実際、アレによって地面がえぐり取られ、木々がなぎ倒されて道がついている。

ふと目を脇へ向けると、民家が立っている。慎重に観察すると、新しい足跡が見えた。中に誰かいるか、いないか。誰もいなくても、物資を回収したり休息をとったりは出来よう。マジェントはそう判断し、その家へ近づいていく。

その東、座標E-08、東崎トンネル付近。

ここでは本来のゲームである「鬼ごっこ」をよそに、怪物二体を従えた怪人と、二人の正義の味方が対峙している。怪人が従えるのはミラーモンスター。サイ型のメタルゲラスと、大蛇型のベノスネーカー。いずれ劣らぬ魔物ども。

しからば、この怪人は『鬼』なのか? 残念ながら『親』だ。その身に纏う装束も怪物たちも、「支給品」とその産物に過ぎない。彼とこの支給品は、ある意味この鬼ごっこの舞台の根幹をなす秘密に最も近いと言えるのだが、当人にその自覚はない。生憎、彼―――浅倉威は、極めて自己中心的な悪人だ。そんな男が、超常の力を振るう。危険極まりない。

対する正義の味方のうち、セリュー・ユビキタスは、浅倉に勝るとも劣らない危険人物だ。彼女の正義は偏狭で、独善的で、自己中心的だ。相手を悪と認定すれば殺害も辞さない、否、殺害を最優先する狂った女だ。そんな女が、銃で武装している。危険極まりない。

もうひとり、ラ・ピュセルこと岸辺颯太は、さほど危険ではない。純粋な戦闘力だけなら、モンスターたちに充分対抗できよう。ただ、彼女……彼……ラ・ピュセルは、殺し合いには向いていない。所詮は、魔法少女に憧れていた夢見がちな少年に過ぎない。未来には無惨に殺される運命が待っている。それはここになるのか、あるいは。

―――やがて、ラ・ピュセルの活躍で浅倉は突き飛ばされ、セリューとラ・ピュセルは逃走に成功した。互いの先には何があるか。

ところで……その南。座標F-08、無学寺。
時刻は午前1時30分過ぎ。その数十分前、この場所では大規模な破壊が行われ、寺は原型を留めないほど粉砕されてしまった。それをしでかしたのは、ギーグという『鬼』。全てを破壊するために動き回る現象めいた災厄。神塚山の東斜面に沿って、転げ落ちるように寺を破壊し尽くしたギーグは……では、どこへ行ったのか?

破壊の痕跡は、そのまま東へ。道路を横切って海へ続いている。海へ落ちたのだ。しかしながら、ギーグはその程度では死なない。そもそも死ぬのかどうか。子、親、鬼の区別なく、全てを破壊するため――――ギーグは再び上陸した。座標E-09からE-08にかけての海岸に。

「ネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサンネスサン」

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【E-07/01時31分】
【アリス・カータレット@きんいろモザイク】
[役]:親
[状態]:顔に打撲傷。額から出血(止血済み)。恐怖。
[装備]:
[道具]:
[思考・行動]
基本方針:元の世界に戻って、みんなで修学旅行へ行く。
1:浅倉さんを待つ。
2:浅倉さんについたウソがバレないようにする。
※その他
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。各役の人数、会場の地図を未把握。
※原作での修学旅行エピソード前からの参戦です。浅倉に、自分は『子』であるとウソをつきました。
※アルシアと桐山の顔を把握しました。共に『鬼』だと思っています。
※鏡の中で、浅倉と契約したミラーモンスターの一体「エビルダイバー」が彼女を見張っています。
【マジェント・マジェント@ジョジョの奇妙な冒険 SBR】
[役]:親
[状態]:健康(戦闘で左目を失っており、偏頭痛やよだれ・鼻水を垂れ流す後遺症がある)
[装備]:スタンド『20th Century BOY』(動かなければ絶対防御)、レミントン・ダブルデリンジャー@現実
[道具]:頭陀袋(無学寺から調達、金目のものが適当に詰め込まれている)
[思考・行動]
基本方針:鬼ごっこで優勝する。とりあえず『子』を守れば良いのかぁ?任せろ!
1:子や親を探す。
2:あの変態野郎(げんげん)を見つけ出して殺す。
3:災害(ギーグ)を無傷で乗り切ったことで自信がついた。
※その他
[ルールの把握度]
各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。
※レギュレーション違反に気づいた主催者から追手がかかっている。優先順位は比較的高い。
※デイパックと支給品二つ(シザースのデッキ@仮面ライダー龍騎、金塊@Gengen Channel)はミラーワールド内に放置されています。消滅するか、また既にしているかは不明です。
【E-08/01時32分】
浅倉威@仮面ライダー龍騎
[役]:親
[状態]:イライラ(中)、腹部へのダメージ(大)
[装備]:王蛇のカードデッキ@仮面ライダー龍騎
[道具]:手鏡
[思考・行動]
基本方針:皆殺し。今は目の前の奴らを殺す。
1:???
2:アリスの他にもう一匹子を見つけてキープする。
3:北岡が居たら殺す。
※その他
[ルールの把握度]
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。各役の人数、会場の地図を未把握。
※アリスを『子』だと思っています。
セリュー・ユビキタス@アカメが斬る!
[役]:親
[状態]:ダメージ(小)、左足首付近と背中の一部の肉が抉れている
[装備]:口と腕に仕込んだ内蔵銃
[道具]:八十九式小銃、予備弾倉
[思考・行動]
基本方針:鬼ごっこを止める。悪は殺す
1:正義の女騎士さんと協力して悪(蛇男)を殺す。なので追撃したい。
※その他
[ルールの把握度]
自分の役・各役の勝利条件・制限時間を把握。各役の人数、会場の地図を未把握。
※コロは異能と判断されたのか没収されました。
※十王の裁きは五道転輪炉(自爆用爆弾)以外没収されています。
※他の武装を使用するにはコロ(ヘカトンケイル)@アカメが斬る!との連携が必要です。
【ラ・ピュセル(岸辺颯太)@魔法少女育成計画】
[役]:子
[状態]:ダメージ(小)、肋にヒビ、高揚、セリューへの敬意
[装備]:『スマートフォン(子)』
[道具]:マジカルフォン(私物)
[思考・行動]
基本方針:スノーホワイトの騎士として人々を助け、N市に帰る。
1:とっとと逃げる。
※その他
[ルールの把握度]
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。
【ギーグ@MOTHER2】
[役]:鬼
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:無し(支給品は全て破壊済み)
[思考・行動]
基本方針:皆殺し(ギーグがそう思っているわけではなく結果的にそうなるのである)
※その他
[ルールの把握度]
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。そんな知性も理性もない。
※会場からは出られない。参加者がある程度かたまっているのを察知し、周囲を破壊しながらじわじわと向かってくるようだ。
※ほぼ無敵。たぶん「お守り」がないと倒せないが、そも命中するのかどうか。お守りも効かなければ、もうどうしようもない。

とりあえずマジェントを動かそうとしたら、なんか近くにこいつらがいたので近づかせてみた。しかしどいつもよく知らない。調べてみると、浅倉やセリューは相当にやばいやつのようだ。とにかくぶつからせてみれば他の書き手が動かすだろう。じゃあ一番やばいやつをぶつからせてみるか、ということで浅倉にギーグを近づかせた。タイトルは「鏡の国のアリス」の赤の女王のセリフからだが、仮面ライダー龍騎とはそういう話であるらしい。おれは仮面ライダーはゼロワンぐらいしか知らない。

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