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【絶鬼パロ】人情紙殺しゲット・ユア・ガン

「……どうしよう……」

沖木島北西部、鎌石村。少女は不安げな表情でさまよっていた。もう20分ほど経つ。パラシュートの落ちたあたりへ幾度か向かったが、誰とも出会えない。すれ違いか。家々は無人だ。先程まで人が住んでいたような雰囲気すらあるが、電気は切れている。ペットもいない。食物を漁るのはやめておいた。何が入っているかわからない。スマホのGPS機能も故障中だ。

「スマホが通じれば……。鬼太郎、ねこ姉さん……」

少女、『犬山まな』は、心強い味方たちに祈った。もう何週間も会っていない気がする。

「……お、いたいた。おいしそーな女の子がいるじゃねーかよ」

鬱蒼と木が生い茂り、昼なお暗い森の中。黒づくめのチンピラは、数百メートル先を歩いている少女を発見する。

「んー、どーしよっかなァー。犯してから殺すか、殺してから犯すか。……半殺しにしてから犯して殺して、死体を犯すってのが一番だなァ。オススメ。あーっと、たぶん処女だろーから、血ぃ吸ってから犯したがいいよね。非処女でもそれはそれで」

ゲスなチンピラは、最高の笑顔を浮かべ、最低極まることを呟く。彼は吸血鬼『ヤン・バレンタイン』。両手には機関銃、身体能力は超人。怖いものなしのクソ野郎。貧弱な連中を殺しまくれば現世へ帰還出来るというボーナス付きのデスゲームに、彼は超喜んで乗っている。風下にまわり、クンクンとにおいを嗅ぐ。芳しい処女のにおいだ。よだれが出る。

「……そーいや俺ら、処女や童貞の血ぃ吸っても食屍鬼(グール)にしちゃうんだっけか。ドラキュリーナ増やせりゃいいのになァ。鬼が増えちゃうからダメか。グールになる前にファック終わらせねえと……いや、傷口からこう、血を滴らせて飲めば……」

とにかく、他の鬼に喰われないうちに、彼女をモノにしてしまおう。なるべく怯えさせて、怖がらせて、失禁させて、命乞いさせて。ヤンはゲスな想像に股ぐらを膨らませた。

BRATATATATA!!

「ひッ!?」

目の前の道路に火の線が走り、まなは怯えて後じさる。銃だ。殺意だ。

「あーあー、アローアロー、ジャパニーズ・プリティーガール。ハワユー? そこ動くなよ」
ガサガサと近くの茂みから音がして、黒づくめの男が姿を現す。両手に機関銃。顔中にピアス。兇悪な面構え。完全に危険人物だ。
「あ……あ……」
まなはガクガクと膝を震わせ、涙目になる。足が動かない。殺される。ひょっとしたら、酷いことをされる。
「たすけ、て」

「言葉わっかんねーか。あれ、通じてる? まいっか、便利だなこりゃ」
男はブツブツと呟き、フラフラとまなの前に歩み出る。げしっとヤクザキックで仰向けに蹴り倒す。
「つぅかまぁえた」
ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべ、靴の裏で胸の柔らかさを堪能する。
「ウヒヒ、結構発育いいじゃねえか。お嬢ちゃん、おいくつ? お名前はァ?」
「い、いやっ」

男はよだれを垂らし、ぐっ、と顔を近づけ、まなの額に銃口を向ける。開いた口の中には牙。
「今からお嬢ちゃんの血ィ吸って、ファック&サヨナラ&ファックするぜ。小便済ませたか? 神様にお祈りは? ガタガタ震えて命乞いをする心の準備はOK? してみせろよ、なあ。小便とお祈りと命乞い。見たいの俺」
「たすっ、いやっ、はひっ」

声が出ない。歯の根が合わない。鬼。鬼ごっこ。本物の鬼、鬼畜、吸血鬼。

「やあ」

唐突に、横から声がかけられる。ヤンは訝しみ、声の方を見る。まなもそちらを見る。黒髪の少年。切れ長の目、割と整った顔。白いシャツに黒い制服、学ランを肩にかけている。学生か。中学生か、高校生か。まなよりは年上に見える。子か、親か。しかし……目の前で少女がヤバいことになっているのに、彼は平然としていて、笑みさえ浮かべている。と、いうことは。ヤンはピンと来て呼びかける。

「おう、ガキィ。なんだ? おめー、鬼か?」
「うん、そうだよ」
少年の答えを聞いて、まなはますます絶望する。救世主ではなかった。ヤンは鼻を鳴らす。
「あー、そりゃ残念。このメスガキは俺が先に見つけたんだ。先にファックするからよ、後でヤらしてやンよ。殺すのは後でな」
ヤンは銃口を少女の顔からそらし、肩をすくめて笑う。こいつがヤッてる間にグールになっちゃうかもな、と思いながら。

「た、助けてッ! 助けて! 私をこいつから助けて!」
まなは気力を振り絞り、少年に向かって必死で叫ぶ。失禁はしない。命乞いはしない。するものか。するなら、お祈りだ。鬼でも、妖怪でも、人を助ける連中はいる。彼はどっちだ。

彼女の祈り、願いは……幸運にも、聞き届けられた。

「わかった」

制服の少年が、瞬時に動いた。ヤンの目の前に。ぱん、と音がして機関銃が二つとも宙を舞い、ヤンの胸に衝撃が入る。
「「えっ」」
少年の両手には、短い金属の棒。トンファーだ。これで機関銃を弾き飛ばし、同時に前蹴りをヤンの胸に叩き込んだのだ。意表を突かれたヤンは、まなの上から蹴り飛ばされ……くるりと宙返りして着地した。機関銃は近くの草むらに落下した。

「ッ……ンだァ、おめえ!? 鬼だろ? 仲間じゃねえか? 女の子は殺したくぬぁーい、とか甘ったりぃこと抜かす系か?」
ヤンのこめかみに青筋が走る。どうせ子を皆殺しにすれば済むが、鬼同士で殺し合って数を減らしても、何の得にもならない。まなを飛び越えた少年はトンファーを構え、ヤンに向き合う。面白いおもちゃを見つけたような笑顔で。

「僕は鬼だ。だから、君たち全員を咬み殺す。そういうゲームだ」
イカれてんのか、ガキャァ!? んじゃ俺がおめーブッコロすぞコラ!?」
激昂したヤンが叫ぶ。下っ端とはいえ吸血鬼の身体能力を持ってすれば、少年はイチコロだろう。ただの人間ならば。

まなは立ち上がり、急いで少年の背後に隠れる。そして、袖を引いて呼びかける。
「あ、ありがとうございます! 逃げましょう!」
少年は袖を引っ張る手を振り払い、肉食獣めいた笑顔を浮かべる。

「僕は逃げない。こいつを咬み殺す。勝手に逃げなよ、草食動物らしく」

【C-03/0時30分】
【ヤン・バレンタイン@HELLSING】
[役]:鬼
[状態]:健康、激昂
[装備]:
[道具]:四次元っぽい紙袋(不明支給品3つ、確認済み)
[思考・行動]
基本方針:殺し、犯し、食らう
1:なにこのガキ。ナメてんの? 殺すよ?
※その他
装備品「FN P90 短機関銃 2挺 サプレッサー&スコープつき」が弾き飛ばされ、近くの草むらに落下。弾丸を多少消費。
生きている人間の血を吸って殺すと、知能のないゾンビのような食屍鬼(グール)に変えてしまう。
【犬山まな@ゲゲゲの鬼太郎(6期)】
[役]:子
[状態]:健康、恐怖、困惑
[装備]:
[道具]:スマホ(自分の)、支給品(未確認)
[思考・行動]
基本方針:生還する。子や親と合流し、協力する。鬼からは逃げる。
1:逃げる。できれば、この少年と一緒に。彼が鬼でも構わない。
※その他
各役の人数・会場の地図・制限時間の詳細は未把握。自分の役を子であると推測。
【雲雀恭弥@家庭教師ヒットマンREBORN!】
[役]:子
[状態]:健康、高揚
[装備]:雲雀のトンファー@家庭教師ヒットマンREBORN!、雲のボンゴレリング@家庭教師ヒットマンREBORN!
[道具]:無し(式札を支給されたがポイ捨てした)
[思考・行動]
基本方針:親、子、鬼を咬み殺す。他者とは群れない。
1:目の前の男を咬み殺す。少女は勝手に逃げればいい。
※その他
自分の役・各役の人数・各役の勝利条件・会場の地図・制限時間は全て未把握。自分の役を鬼だと誤解している。

◆Goddamn your righteous hand◆

◆Get your gunn, Get your gunn◆

状況が動き始めた。ヤンが出るのでマリソンだ。悪役とヒロインとヒーローが揃ったが、ヒーローの様子がおかしいので面白みがある。雲雀はおれ以外のやつが登場話を書いたやつだが、多少知ってはいるのでぬるっと登場させた。厨二病の化身でカラテがつよく戦闘狂の少年だ。それだけ知ってればいい。ヒラコー=センセイが描いたらウォルターみたいになると思う。

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