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夕遊の漫画cafe

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大好きな漫画その他をここにまとめておきます。本当は、ここに書ききれないくらい好きな作品がたくさんあるのですが...
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#漫画感想

印刷会社のお仕事マンガ。『刷ったもんだ』染谷みのる

『刷ったもんだ』は、とある印刷会社に就職した元ヤンお姉さんの熱いお仕事コメディです。本好きにとって、印刷屋さんはすごく興味深いところだし、文章を書く人間にとっても、印刷屋さんは足向けて寝れない業界ですが、実は知らないことだらけ。このマンガは、それをコメディタッチで教えてくれます。 印刷会社もいろいろ。『舟を編む』に出てくるのは大手出版社の編集さん(文字中心)+紙質に対応してる工場の人ちょこっと。『校閲ガール』だって、出版社の中で基本文字対応のドラマでした。だから、原稿をしあ

SFかと思ったら寓話のような現実でした。『銃座のウルナ』伊図透

主人公のウルナは孤児で、自分を育ててくれた教会や友達を守るために、志願して兵隊になります。長い間、戦争ばかりしている祖国が、女性ばかりを配属する先は、雪深い島で、敵は口だけの大きな怪物たち。なぜ、彼女たちは化け物と闘わなければいけないのか。読み進めていくと、驚愕の事実がわかってきます。 辺境の部隊にいる女性兵士たちの、悲惨な人生がやさしい筆致で描かれていています。最初の戦場シーンはSFかな(?)と思うような場面が続きます。1930年代と思うような、雪深い、きれいな風景と、対

いつ読みかえしても切ない和歌と恋のものがたり。『うた恋い。』杉田圭

小さい頃から大好きだった『百人一首』。母親が、1つ1つの和歌の背景を教えてくれたから、とてもロマンチックなものだと子供心にときめいていました。高校生になって、織田正吉さんの『絢爛たる暗号』という本にハマりましたが、大学生になって田辺聖子さんの解説を読むと、「この本はフィクションとして『百人一首』を楽しむもの」=「歴史的に正確じゃない部分がたくさんあります」だったことに、少しショックを受けたりして。 なので、大人になって読んだ杉田圭さんの『うた恋い。』の衝撃度といったら!!!

名作。『ヒカルの碁』ほったゆみ・小畑健

10年以上前、友達に軽くすすめられたのがきっかけで、手に取ったら即日全巻そろえるまでハマってしまいました。東京出張したときには、日本棋院に立ち寄ったり、台湾版・韓国版・中国版に加えて、英語版、フランス語版、ドイツ語版も何冊か揃えてしまったのは、ストーリー構成が本当に見事だったからです。 あるストーリーの何気ないシーンが、後日重要な意味を帯びてあらわれてきたり、単純なエピソードが後日とんでもない伏線になっていたりと、布石につぐ布石のエピソードの折り重なる快感。これは、よくでき

おとなのための青春ファンタジー。『町でうわさの天狗の子』岩本ナオ

ファンタジーなのに、妙に現実があって、でも独特の浮遊感ある作品です。昔話と少女漫画を合体させたような、不思議な魅力があります。天狗が住んでいて、それをみんなが受け入れている町っていうのも、すごくファンタジーなのに、なぜか自然。 物語の舞台は、ある中国地方っぽい田舎町。父親は、天狗になった元人間で何百年も生きています。母は、年上好みのしっかり美人。主人公の秋姫は、二人の間に生まれた娘で、力自慢。でも、お山で修行するのが嫌で、父親のような天狗になりたくなくて、怪力じゃない普通の