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夕遊の本棚

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ひと仕事終わって、おいしい珈琲や紅茶を片手に読みたい本。仕事で読む本。とにかく、たくさん読みたい、楽しみたい私の本棚をご紹介します。
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#読書記録

歩いてみたくなる古都の風景『台湾の歴史と文化』大東和重

最近、台湾について読みやすくて専門的な本が入手しやすくなりました。読者としては単純にうれ…

夕遊
5日前
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南の島の生命力と詞の世界。『雨の島』呉明益(及川茜訳)

台湾の呉明益さんの小説は、日本語訳がいくつかあります。現実とフィクション、現在と過去が行…

夕遊
2日前
11

「14億分の10憶」のリアル『中国農村の現在』田原史起

読む前から、間違いなく田原先生の本なら面白いだろうなと期待させられる本。そして、実際隅か…

夕遊
3週間前
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耽美をめぐる社会情勢と魅力『BLと中国』周密

以前から興味を持っていた分野なので、すごく読みたかった本ですが、発売前から重版がかかるほ…

夕遊
1か月前
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『東洋の至宝を世界に売った美術商ーハウス・オブ・ヤマナカ』朽木ゆり子

京都の泉屋博古館にいくと、とんでもなく古い青銅器がたくさんあって、しかもそのうちのいくつ…

夕遊
1か月前
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ノスタルジー上海。『長恨歌』王安憶(飯塚容訳)

予備知識ゼロで手に取った、王安憶の長編『長恨歌』。白居易の『長恨歌』と同じ名前の現代小説…

夕遊
2か月前
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知らなかった日本のタイル文化。『和製マジョリカタイル―憧れの連鎖』INAXライブミュージアム

先日、台湾の彩色タイルの本を買って、ちょっとづつ楽しみながらパラパラめくって読んでいたら、ふと似たようなタイトルの本が目にとまりました。それが、本書『和製マジョリカタイル――憧れの連鎖』。愛知県常滑にあるINAXライブミュージアムというところが出版したもので、本というより博物館の展示の図録に近いです。 「和製マジョリカタイル」というのは、大正初めから昭和10年代に日本で生産された多彩色タイルのことで、イギリスのヴィクトリアンタイルを真似したもの。タイルメーカーのミントン社が

ポップな懐かしさ。『台湾 和製マジョリカタイルの記憶』康鍩錫

台湾の裏通りや下町を歩いていると、レトロな建物や壁、看板があって、歩きながらみているだけ…

夕遊
3か月前
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『踊る大捜査線』エッセンスも楽しめる密室殺人ミステリー『厳冬之棺』孫沁文

最初のページからひきこまれる、一気読み必至の良質なエンタメです。文章のテンポがよくて、構…

夕遊
3か月前
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「中国」との相克の戦後史。『台湾のアイデンティティ』家永真幸

タイトルを見たときは、現代台湾事情を中心にビギナー向けにまとめた本なのかなと思いました。…

夕遊
3か月前
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中世の豊穣な海を旅する。『戦国時代を見た中国人 』上田信

15世紀から16世紀は、日本でいえば室町時代から戦国時代。中国は明の時代。高校日本史の教…

夕遊
4か月前
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好みすぎる中国古代史ミステリー。『蘭亭序之謎』唐隠著、立原透耶監訳

中国の長い歴史の中でも、一番華やかな時代のイメージがある「唐」。7世紀から10世紀まで、日…

夕遊
4か月前
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ダサいけど無視できない。『戦狼中国の対日工作』安田峰俊

今から50年ほど前、当時国交のなかった中国と交渉するために訪中した田中角栄は、ホテルの部…

夕遊
4か月前
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”無常”という冥界の使者『中国の死神』大谷亨

評判がよい本はぜひとも読みたいです。この本を読むまで、中国には無常(むじょう)という地獄の使者(寿命が尽きようとする者の魂を捉えにくる)がいることを知りませんでした。序論からいきなりワクワクです。 そもそも無常は仏教の概念で、日本人的には「祇園精舎の鐘の声……」をすぐ連想してしまいますが、本来の意味は「Everything changes(この世の一切は生々流転する)」→「人はいずれ死ぬ」ということで、「無常≒死≒死の象徴の勾魂使者」と呼ばれるようになったのだとか。 本当