「中国」との相克の戦後史。『台湾のアイデンティティ』家永真幸
タイトルを見たときは、現代台湾事情を中心にビギナー向けにまとめた本なのかなと思いました。家永さんといえば、やはりデビュー作『パンダ外交』のイメージが強くて、身近な話題をきっちりした資料と分析で、政治や歴史の枠にまとめるのが上手という印象だから、よけいに現代にシフトした話だと思ったのかもしれません。
でも、実際の内容は、サブタイトルの「「中国」との相克の戦後史」。台湾や日本の歴史について、ある程度の基礎知識があるか、読書慣れしている人向け。読んでいる途中、家永さんは読者をどの