多趣味な理事長の多彩な経歴-つるが大丸 小坂政徳さん-
時代に合わせて変化してきた店の歴史
本町一丁目の店舗で家具やミシンをはじめとする日用雑貨を販売する「つるが大丸」。発祥は、金山(沢)に今もある小坂屋。旧敦賀郡粟野村に位置する金山(沢)には、敦賀連隊(大日本帝国陸軍の連隊区の一つ)が置かれていました。小坂屋は、連隊の兵士を相手に日用品の販売などをしていた雑貨店です。終戦に伴い、敦賀市内(今の本町2丁目)に移転。その後、現在のビルが売りに出ていたことをきっかけに本町一丁目商店街に移り、昭和26年に株式会社つるが大丸として会社を設立しました。
世の中の生活スタイルに合わせ、さまざまな商品を取り扱ってきた「つるが大丸」は、まさに敦賀の暮らしに密着したお店。中でもミシンは、まだ敦賀に普及していない頃から取り扱っており、長年蓄積されたノウハウと部品を求めて、古いミシンの修理依頼が後を絶ちません。
なんでもできちゃう器用な店主
そんな『つるが大丸』の3代目店主が、小坂政徳さん。パソコンの改造や収集、プラモデルに和菓子作り、サイクリング…などなど、多様な趣味を持つ方として、商店街内でも有名です。
ものづくりが好きで、「幼い頃はおもちゃをもらうより、厚紙をもらう方が嬉しかった」と言うほど。当時は家具用の大きな段ボールで秘密基地を作るなど、家具屋の子供ならではの遊びを楽しんでいたそうです。インドア派と思いきや、幼少期からボーイスカウトに所属したり、放課後には地図を持って自転車で市内を走り回ったり、高校時代にはアーチェリー部に所属し、なんとインターハイや国体にまで出場していたりとスポーツも得意。次々と語られる趣味や特技の多さには、うわさ通りで驚きます。
関東での暮らしを経て敦賀へ帰郷
その後はパソコンに興味を持ち、関東にある産業能率大学へと進学します。勉学に勤しむ傍ら、当時の大手家電量販店でアルバイトをはじめると、なんと入社時の3倍、正社員よりも高い時給をもらうようにまで昇格。そして、卒業後もそのお店で正社員として働くことに。「実家も接客業だったから接客に全く抵抗がないし、知らないうちに結構売っていたんですかね」と飄々と語りますが、きっと旺盛な探究心が作用して圧倒的な知識量を兼ね備えていたのでしょう。
そのお店でコンピューターミュージックの担当になったことをきっかけに、macにハマった小坂さん。それ以来、古いMacを集めたり修理・改造するのが趣味になったといいます。その後クレーム対応の部署なども担当し、修理技術はさらに向上。しかし、入社から2年で敦賀へ帰ることを決めます。「給料も良いし、友達もいるし、東京にいた方が楽しかったはずなんだけどね。魔が差したのかな(笑)」と冗談を言いつつも、「今となっては帰ってきて良かった」と当時を振り返ります。
趣味の技術も仕事に活きる
現在は家業を継ぎ、本町一丁目商店街の理事長も務めている小坂さん。今も変わらず、市民の生活に寄り添うスタイルを貫く「つるが大丸」では、小坂さんの過去のご経歴や趣味の技術が仕事に活かされることもしばしば。「今はもう販売されていないリモコンの修理を依頼されたことがありました。その時にプラモデルの技術が応用できるのではと、試してみたらなんとか修理することができたんです。思い出の品だったそうで、お客様にはとても喜ばれました」。お店を切り盛りする傍ら、商店街の理事長としても大活躍。商店街のマルシェイベントを企画したり、隣接商店街とのコラボ企画を進めたりと、ユニークな発想で本町一丁目商店街の賑わい作りに貢献しています。
そんな小坂さんがおすすめする本とは…?
そんな小坂さんがおすすめするのが、『田中克自流 飛行機模型筆塗り塗装術』、『マンホールカードコレクション2 第5弾〜第8弾』、『よつばと』の3冊です。千田書店の「ほんいち本棚 特設コーナー」では、小坂さんとこの3冊にまつわるエピソードを6月10日まで掲示しています。ぜひ、店頭でご覧ください。
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