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舞台照明のデザイン そのxx 光源についての話

また本題から逸れる

思いつきで書き散らしているので、こういうことが起きる。
というか、二連荘でこれっていうのもどうかと思ったけど、舞台照明の話をしているけど、光源の話ってほとんどしていないので、少ししておこうか。

と、思ったの。

なんで急にこんなことを

書こうと思ったかって言うと、白熱、ハロゲン、放電管、蛍光灯、LEDなどなど、いろんな光源があって、それにはアンチとかも居るよな。

そんなことをずっとずーっと考えていて、特にここ最近だといろんなものがLEDになってきている。
LEDについて思うところはあるけれども、これも光源のうちの一つだって考えると、それをプランにいれるかどうか。っていう選択肢はデザイナーが握っている。

舞台照明はデザインをするにあたって、様々な制限がある
電源量、置き位置、オペレーション、予算などなど。

これらをクリアして、出来ることを探して、自分の「美」を提示することが仕事だと思っている。

舞台に関わる光を扱うのが舞台照明

そういう括りで、僕は舞台照明のデザインをしている。
その舞台で使える光源とはなんなのか。
ってことは、デザインの根幹にかかわってくる。

状況によっては、自然光が遮られない場所での公演をしなくてはならないかもしれない。
常にブラックボックス(外光などの光を遮ることが出来て、暗転が出来る場所)の中で公演が出来るわけではない。
舞台照明を行う上で、ブラックボックスは考えることが大きく減る。
他からの光の影響を考えなくていい。
でも、そういう舞台しかデザインできません。
それだと面白くない。と思ってしまう。

ちょっと話がずれるけれども

若いころに、青山のギャラリーで美術の照明のデザインをしていた。
ここには、外からの光が入ってくる。吹き抜けの天井がある。
ギャラリーと同じエリアに店舗もある。
当然、明かりの干渉が起きる。
それを計算に入れた照明を考えなくてはならない。
太陽光は人間が触れられる中で最強の光源だ。
とにかく明るいし、恐ろしいまでの平行光源だ。
フラットに明るくすることが出来る。
しかも、時間で変化をする。
それと闘うのではなく、仲良くしなくてはならない。

劇場以外の選択肢の増大

一時期、舞台照明から少し距離を置いて、美術や展示の照明をしていた時期がある。そして、そこでは光の干渉が当然のようにある。
そこで、照明という仕事に求められることはだいぶ考え方が違う。

そして、震災の前から顕著だった予算の縮小傾向が、震災で顕著になった。
観客が劇場から、少しずつ離れていった。
舞台を見るという環境が、ここ十年で大きく変容していると僕は思っている。

劇場以外での公演が当たり前のように行われるようになってきた。
もともとあった、屋外での公演やテントでの公演は別として、カフェやフリースペースでの公演が多くなってきた。

そうなると、当然ながらブラックボックスはどんどん望めなくなってくる。
外光が入ってくるのが当たり前になるし、その場合は時間帯によって出来ることが変わる。

光源の話から逸れてきたので、

話を戻す。
僕が舞台照明のデザインを始めたときに、プランで使えるのは白熱とハロゲンの二種類だった。

照明の会社にはいったら、蛍光灯とか放電管とかHMIとかに出会う。
おっと、なんか怖いものが出てきたぞ。って思った。
水銀灯やナトリウムランプみたいに、点灯から2分かけて明るくなって、大体5分くらいで安定する。
いやいや、これどうやってオペレーションすんだよ。
芝居のシーンに合わせて、点灯と消灯。
芝居を先読みして、5分前にスイッチ入れましょう。
消灯はカットアウトですけど。とか、無理やりアイリスをかっつけてフェイドアウトっぽくしてみたり。
そうかと思えば、スライダック二つにパーライト8個くらいでシャンソンのプランをビルの吹き抜けでやりましょう。当然、外光あり。

LEDのこと

こんな感じのスタートだったので、LEDも乗りこなすしかない。
光源としての問題点はある。
でも、蛍光灯しかないとか、水銀灯しかないけど、どうですか。
って言われるよりは、信号線で扱えるだけましかもな。

現状、どうしても光源の性質上、ロットによって色が微妙に違うし、なんなら同じロットでも同じ色が出ないこともある。
それも厳密に言っていけば、ハロゲンのスポットライトにカラーフィルター入れたって、同じようなことが起きる。

だから、ある光源なら使うのがいいと考えている。

デザインの中に入れたいもの

舞台照明のデザインの中に、
「自分ではままならないもの」
を入れたいと、いつも思う。

僕はパーライトが好きだ。
粗雑で、光源から出るビームもランダムだし、漏れる光も多い。
ロットごとに広がりも違う。
光源の一番明るいところの形に至っては、ほぼ同じものは存在しない。
とても暴れん坊なスポットライトだ。
とてもままならないし、言うことを聞いてくれない。

それでも、光の圧みたいなものは、他のどのスポットライトにもない圧を持っている。そして、時折それ自体がデザインにとっても邪魔になる時がある。それがいいのだ。

どんな光源でもデザインに乗せられるなら乗せたらいい

とは、言っても、これはあくまでも僕の「美」の線に乗っていることだけであって、そうじゃないならデザインには入れない。

設備の蛍光灯の明かりが面白くても、作品に合わないとか、そこまでのデザインに合わないなら、プランには入れない。

あくまでも、デザインに乗せるか乗せないのかという選択肢はデザイナーにある。と、僕は考えている。

おしまいに

光源の話というよりは、光源にまつわるデザインの話になってしまった。

ちゃんとシーンの説明についても準備をしている。
ので、もうちょっと待って。

では、また次回。

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