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事業成長は強い組織から。パブリッシャーのデジタル組織づくりの3ステップ

こんにちは、キメラです。

私たちはメディアビジネスをグロースするための課題解決やデジタル化を支援しているスタートアップです。2019年から国内50を超えるメディアにサービスを提供しています。

今回のnoteでは、パブリッシャーがデジタル事業を推進するにあたって必要な組織のあり方よくある悩みの解消法についてお伝えします。

多くのパブリッシャーが抱えるデジタル組織の悩みは、ある要件を満たせていないために生じている場合がほとんどです。こんなお悩みに心当たりはありませんか?

・事業方針がわからず、チーム内に温度感が生まれている
・デジタル事業のノウハウ不足を感じるが、何からすればいいか分からない
 →「1. デジタル事業の方向性」が不明確かもしれません

・施策立案〜実施〜検証のサイクルが遅い、もしくは回らない
・誰がいつまでにするか決まっていないTODOが山積み
 →「2. 意思決定フローと運用体制」が整備できていないかもしれません

・他部署との連携がうまくいかず社内リソースを活用できない
・デジタル事業に関心を持たれない、逆に期待されすぎる
・デジタル人材の採用が難しい
 →「3. 社内ブランディング」が不足しているかもしれません

パブリッシャーのデジタル組織づくりを成功させるためには、これら3つのステップが必要なのです。

デジタル組織づくりの3ステップ
1. デジタル事業の方向性を明確にする
2. 意思決定フローと運用体制を整備する
3. 社内ブランディングをする

ここからは、3つのステップについてそれぞれ解説します。そのまま読み進めていただいてもよいですし、お悩みにマッチした項目に目次リンクからジャンプしてご覧いただくのもおすすめです。

1. デジタル事業の方向性を明確にする

なによりもまずデジタル事業の方向性を明確にしましょう。そしてこれからチームが何をするのか、ミッションを明確にすることがチームづくりの第一歩です

目標を定め、そこに至る方針をつくり、現在位置と方角を確かめながら進む。デジタル事業の方向性をつくることは、登山計画にたとえることができます。

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登る山=「いつまでに、いくらの売上がほしいか」の定量目標と、「自社のデジタルメディアを通じて、読者に伝えたい価値」の定性目標
登り方=事業目標の達成に貢献するために、どんな戦術を使うか
コンパス=事業や施策を評価する基準と、そのために必要な手段や体制

これらの3点を明らかにし、チーム内の共通言語になるまで浸透させましょう。これからチームが何を成し遂げるのか、明確なミッションがチームづくりの第一歩であり、要です

方向性づくり、つまりデジタル事業の事業計画については、以下の記事に詳しくまとめました。テーマはサブスクリプション事業設計とありますが、デジタル事業の設計にもそのまま応用できる考え方です。

2. 意思決定フローと運用体制を整備する

さて、実際に事業を動かすチームを構成していきます。ここで何よりも大切なのが、事業全体・運用・コンテンツについて、それぞれ「だれが何をどうやって決めるか」を明らかにすることです。

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デジタル事業のチームを立ち上げて人員も予算も確保しているのに、

・部門間の調整に時間がかかる
・事業方針がいつまでも決まらない
・施策が行きあたりばったりで、始めどきも引き際も分からない
・予算調整して動き出せるのは半年先

……という課題を抱えているチームは、多くの場合は「誰が何をどうやって決めるか」、つまり意思決定のフロー不明瞭で、意思決定されないことそのものがボトルネックになっています。これは多くの国内パブリッシャーが陥りがちな罠です。それぞれの領域について責任者を明確に定め、適切な権限を与えることが大切です。

運用体制についても触れておきましょう。デジタル事業の運用体制については大きく2つに分類できます。

横断チーム:メンバーを各部署から集めるチーム体制。ワーキンググループや兼任の形をとることも多い
専任チーム:デジタル事業専任のチームを立ち上げる。外部事業者もこれにあたる

それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。自社の現状に適した体制を選ぶとよいでしょう。

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もちろん、どちらの体制をとる場合も、上記に紹介した「デジタル事業の方向性」と「意思決定フロー」が明確になっていることが大前提です。どんなに優秀な人材を集めても、進む方向とリーダーがあいまいなチームでは本来の能力を発揮することは難しいものです。

3. 社内ブランディング

デジタル事業は動き出してからが正念場です。デジタル事業の多くは、既存のビジネスモデルに比べると単価が少額な「小さく積み上げて儲ける」ビジネスモデルです。また、事業が安定するまでの時間や投資も考えると、社内からの理解と後押しは欠かせません。

しかし、既存事業に携わる社員の多くはデジタル事業に対して「何をやっているかわからない」「自分には関係ない」というイメージを抱きがちです。
これはパブリッシャーに限らず、デジタル化を推進する企業にとって大きな課題です。

解決の参考になるのは、P&G社でIT組織の運営とデジタル変革の両方を世界各地で指揮し『Why Digital Transformations Fail(なぜデジタルトランスフォーメーションが失敗するのか)』を著作にもつTony Saldanha氏が提唱する「DXの4カ条」です。

DXの4カ条
1. MTP(Massive Transformative Purpose):皆がワクワクさせるような壮大な目的を掲げる
2. 空気:適切なメッセージを発信し、組織が変化する雰囲気をつくる
3. スキン:経営者やオーナーが金銭的・時間的にコミットする
4. パイプライン:小さくスピーディーな成功体験を積む
出典:エクサウィーズAI新聞

こう謳われているように、チームをワクワクさせることや組織が変化できる空気をつくること、つまりデジタル事業の社内ブランディングは不可欠です。

また、社内ブランディングはデジタル人材の獲得のためにも重要です。

あらゆる業界でデジタル人材の採用が激化している今、デジタル人材を適切に評価する環境が整っていなければ、見向きもされない可能性さえあります。仮に採用できたとしても、デジタル事業に理解のない組織に優秀な人材が定着するとは考えにくいでしょう。

採用ブランディングも大切ですが、本質的には社内ブランディングが先決だと心得ましょう。

さあ、「新天地開拓」に乗り出そう

既存のビジネスモデルから新しい事業軸を生み出そうとするデジタル事業のあり方は、陸地を漕ぎ出して新天地を求める開拓者のようなものです。

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行きあたりばったりでリーダー不在の旅路は、船員(=人員)や資源(=予算、事業の種)をいたずらに消耗してしまいます。また、新天地にたどり着いたあとも孤軍奮闘するのではなく、その活動を知らしめることで適切に追加投資を得られるようにしましょう。

この記事をご覧になっている「開拓者」のみなさまにとって、少しでもお役に立つ内容をお届けできたなら幸いです。

この記事の内容を60分で解説した動画コンテンツもご用意しています。あわせてご利用ください。

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