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明日の熱気球 飛びますか?

青い空に浮かぶカラフルな熱気球、実は各地で行われる大会で見ることができます。しかし、実際に足を運んでみると、晴れていたのに飛ばず、初めて熱気球大会に行ってがっかりする人も少なくありません。飛んでいる熱気球を見るためのヒントを、風に注目して見ていきます。

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はじめに

 突然ですが、みなさんは熱気球が飛ぶ姿を見たことがありますか? たまたま飛んでいるのを見たことあるよ!という人もいれば、イベントに何回も足を運んで見てるよ!という方もいるでしょう。一方で、見たことがない人も多いはず。それも当然で、熱気球はいつでもどこでも飛ばせるわけではなく、気候や立地、規制などいろいろな条件から飛ぶエリアが限られてくるからなのです。

あなたの近くでも?ー熱気球大会

 熱気球を見られるイベントなんてあるの? と思ったあなた。実はあるんです! もしかしたらあなたの近くで開催されているのかもしれません。

 年間を通して熱気球の大会は各地で行われているのですが、一番有名なのは佐賀県で毎年10月下旬~11月上旬に開催される「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」ではないでしょうか? こちらはなんとその名の通り世界大会として行われるもので、日本はもちろん世界中から優秀な気球乗りが集まって競います。2019年に40周年を迎えたこの大会は、例年約100機近くが参加し、期間中の観客動員延べ人数は毎年80万人を超えます。ちなみに佐賀県の人口は80.9万人(2020年8月現在)なので、人口と同じくらいの観光客が来ると考えるとものすごいイベントですよね。

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▲青空に続々と飛び立つ熱気球(2019年佐賀)

 「佐賀は遠いよ、見に行けない」と思ったあなたに朗報(かもしれない)! 佐賀大会ほど規模は大きくないですが、30~40機の熱気球が見られる熱気球の大会は佐賀を含めた5カ所で毎年開催されています。その5カ所は【栃木(渡良瀬)・長野(佐久)・岩手(一関)・三重(鈴鹿)・佐賀】です。みなさんの近くの開催地はありますか?

 上記5つは大手自動車メーカー「ホンダ」が協賛する「熱気球ホンダグランプリ」として開催されているものです。毎年この5カ所で大会を行い、それぞれの大会の優勝者と年間優勝者を決めていく大会となっています。

 大会というからには競技として行われているのですが、ここでは種目の話はおいておいて、「とりあえず大会に行って熱気球を見たい!」の声に応えたいと思います。

晴れているのに飛ばない?

 とは言ったものの、大会に行けば絶対に見られるというものではないのが熱気球の難しいところ。読者の中にも「熱気球の大会に行ったことがあるけど、結局飛ばなかった」という経験のある人もいるのではないでしょうか。

 私も最初は先に紹介したような熱気球の大会に行けば熱気球が見られるものだと思っていました。天気は、まあ雨さえ降らなければ大丈夫だろうと甘く見ていたのです。

 そしていざ迎えた大会の日。青空が広がっていて、風も感じない。何の疑いもなく会場に行くと、「本日の競技はキャンセル」とのこと。気球を見られると思ってきたのでがっかりです。キャンセルの理由は「風」。地上にいてはほとんど風を感じないのですが、上空を吹いている風が強く、安全に飛べないからとのことでした。安全第一なら文句は言えません。

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▲午後の競技飛行中止を知らせる掲示。

 天気予報では晴れ、現地でも晴れ、でも飛ばないというのを何回か経験したころ、昔小学校か中学校の理科で習ったことを思い出しました。「昼間、地表が太陽で暖められると上昇気流が発生する」って習いましたよね? そして、普段の天気を踏まえてみると、朝よりも昼過ぎの方が風が出てきやすいなーとも思いました。いつも午後の競技や夕方からのイベントを見に行っていた私は、「もしかしたら朝なら飛ぶのでは」と思い始めます。

 熱気球の大会では基本的に朝の部(6~7時頃)と午後の部(14時頃~)の2部制で競技が開催されるので、先ほどの仮説で行けば、午後の部よりも朝の部の方が飛ぶ可能性が高いことになります。では実際どうでしょう?

狙いは朝!

 私がこれまで見に行った熱気球大会では、朝の方が断然飛んでいます。昼過ぎは飛ぶこともありますが、飛び出している途中で中止宣言されてしまった回や最初から飛ばなかった回など、満足に見られないことが多かった印象です。そのため朝の部は天気予報を見た上で「飛びそうだ」とある程度期待できるのですが、午後はほとんど期待しなくなりました。

 「朝は飛ぶ」説について客観的なデータを探したところ、佐賀インターナショナルバルーンフェスタのホームページにありました。それによると、2008年~2018年までの過去11年間における午前と午後の競技飛行実施確率は午前82%、午後45%とのこと。どうやら午後よりも朝の方が見られる確率が高いのは本当のようです。(朝から雨が降ったらおしまいなのですが・・・。)

 とはいえ朝の部は7時前に離陸するので、なかなか起きるのが大変です。会場から遠いとなおさら。電車で行くにも最寄り駅から歩かなければならないこともあるのでおっくうに思うかもしれませんが、見られる可能性は高いので、早起きして行ってみる価値はあると思います。

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▲12月の朝7時。朝焼けの空に飛び立つ熱気球が早起きしてよかったと思わせてくれる。(2020年渡良瀬)

風予報を見てみよう!

 さて、本題の天気の件です。先ほど、「晴れていても上空の風が強いので飛ばなかった」事例を紹介しました。上空の風がどうかについては普通の天気予報・天気情報サイトではなかなか調べられないので、上空の風を正確に予測して会場に行くのは難しいのですが、地上の風については皆さんお手持ちのスマホで簡単に調べられるので参考にしてみてください。NPO法人熱気球運営機構のホームページによれば、風速4~5m/s以上で競技飛行は不可になるそうです。

 お天気アプリ・サイトにもいくつか種類がありますが、最近私はウェザーニュースのアプリを参考にしています。以前はヤフー天気だったのですが風の予報精度ではウェザーニュースの方が良いように感じて(意見には個人差があります。)今に至ります。 

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▲熱気球が飛んだ朝の天気予報(ウェザーニュースアプリより)。朝の競技飛行が行われる6~8時は風が0~1m/hで弱いことが読み取れる。

 これはつい最近12月17日~19日に栃木県栃木市で開かれた渡良瀬バルーンレースのときのもの。見に行った19日朝の予報です。前日あたりまでは朝5時以降は風速が2m/sで推移する予報になっていましたが、日付が変わった頃確認するとこのように0~1m/sの予報になっており安堵しました。当初曇り予報だった天気の予報も晴れになっていました。

 先ほども書いたように上空の風までは分かりませんが、この風予報によって地上に吹く風の目安がつかめるので、熱気球が飛ぶかどうかを予想する材料になると思います。風向きにより会場から飛び立つ、または会場に飛んでくる方角も変わってきますがそれはまた別の機会に書くことにしましょう。

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▲同日の実測データ。予報通り朝4時以降は0~1m/s程度の弱い風で推移したことがわかる。前日18日の12時~16時は4m/s以上の風が吹いており、中止になったのもうなずける。

 この前日は週初めから強風の予報のままで変わることがありませんでした。実際、18日土曜日は朝から強風のため朝の部も午後の部も中止になり熱気球が飛ぶことはありませんでした。私は予報から中止を見越して会場には行かなかったのですが、それで正解でした。参考として、飛ばなかった強風の土曜日の予報画像も載せておきます。

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 朝の実測データのスクショを撮るのは忘れてしまいましたが、朝6時~7時に2m/sの風予報でも中止となりました。また、午後は14時以降4m/s以上で中止となっています。画像の風速予報だけ見ると午後の中止は順当なのですが、朝の部については「飛べたんじゃないの」と思わなくもない数字です。

 飛ぶかどうかの判断は、大会の運営側が当日の現地での実測と予報を考慮した上で決定されるので、この予報だけで判断できないこと、あくまで参考であることはご承知おきください。

 上空の風の予測は見るのが難しいと書きましたが、天気図を見て判断するのも1つの手でしょう。見たところで、等圧線の間隔が狭ければ風が強いという一般的な基準でしか判断できませんが、風の動きを考えるのには役立つかもしれません。

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 ▲会場に飛来した熱気球(2020年渡良瀬 朝の部)

まとめ

 ウェザーニュースアプリの風速予報の活用ポイントをまとめると以下のようになります。

▽朝の部なら5~8時、午後の部なら14~16時の天気と風速に注目

▽晴れまたは曇りで、

・風速0~1m/sならたぶん飛ぶ

・風速2m/sはどちらともいえない

・風速3m/s以上なら飛ばない可能性が強い。

▽予報は数日前から見られるが、直前に変わることがある(定まってくる)ので、前日には必ず確認する。

▽見に行くなら断然朝の部!


最後に

 「今日の熱気球、なんで飛ばなかったんだろう?」と思ったら、ぜひ風の情報を見てみてください。風が強い、これから風が強くなる、これから天気が悪くなる、といったことが飛ばない理由かもしれません。「早起きしてはるばる会場まで来たのに~」と思う気持ちはわかりますが、そこは気長にまた今度と切り替えて周辺を観光して帰ることをオススメします。

 熱気球を見たい人にとってこの記事が役立てば幸いです🎈

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熱気球の概要、ルール等について・・・ホンダグランプリの特設ページがわかりやすいです。

*おことわり*

本記事は2021年12月現在の情報を元に、筆者の経験を踏まえて書いています。また、本記事を参考にした結果、熱気球が見られなかったとしても筆者は責任は負いません。ご利用は自己責任でお願いいたします。 万が一ウェザーニュースの予報が外れた場合はウェザーニュースのせいです。ウェザーニュースアプリ以外の天気情報の利用を妨げるものではありません。

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