2020年は無償エンジニア養成機関元年!?

【日本初】フランス発エンジニア養成機関一般社団法人「42 Tokyo」を設立。
~2019年11月7日に第1期生募集開始、2020年4月に開校予定~
(引用: https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003451.000002581.html)

先月中旬に個人的にとてもインパクトのあるニュースが流れ、リアルな対面の場でもfacebookなどのSNS上でも大きな話題になりました!さらには同月中に無償エンジニア養成機関に関するニュースが他にもリリースされました!

私も今夏にテックプレナー道場を実施したばかりで同じようなコンセプトを持った取り組みが多く始まっていることを知り、日本における教育・人材育成のあり方が転換期にあると感じています。本記事ではこうした養成機関への所感をまとめました!これからプログラミングを学ぼうとされる方の参考になれば幸いです。

42の驚くべき教育システム

42 tokyoについては、下記の記事にコンパクトにまとめられていたので引用させていただきます。

42 Tokyo(東京・六本木)は、フランスの事業家ザヴィエ・ニエル氏が同国の教育や雇用の閉塞感を憂い、個人資産を投じて開いた学校「42」の日本校。学歴等不問で16歳以上なら誰でも入学資格がある。学費は無料。校舎は24時間365日開いていて、生徒は自分のライフスタイルに合わせて通うことができる。2013年パリで開校、2016年にシリコンバレー校が開かれ、現在は12か国で展開されている。(引用: https://itjinzai-lab.jp/article/detail/1958)

42については、今年のGWのときにテックプレナー道場の構想が一通りまとまり、同じような試みはあるのかを調べていたときにTechCrunchの記事で知りました。あのときは「海外だとこういう試みは既にあるんだな」くらいに感じており、日本でも始まろうとしているとはつゆ知らずでした(笑)

先日、NPO 法人CLACKの平井大輝さんのご縁で、42 tokyoの事務局長をされている長谷川文二郎さんに42 tokyoについて直接お話を伺うことができました(平井さん、ありがとうございました!)。長谷川さんご自身がフランス本国のエコール42で学ばれたそうで、42 tokyoをはじめるまでの経緯や思いを聞くことができました。とても純粋な気持ちで取り組まれているのが伝わってきて、引き込まれました!

長谷川さんの記事でも紹介されていますが、教師がいないなかでどのようにして生徒だけで教え合い、モチベーションをコントロールし続けているのか生のお話を聞いて、生徒の立場になって考えることができたのはとても貴重でした。ある意味、現行の教育システムを真っ向から覆すような内容であり、理論上はわかるけど本当に成り立つのか実感を持ちにくいところであるだけに深い納得と共感を持ちました。ピア・ツー・ピア学習やアクティブラーニングなどの教授法について学んでいる最中ですが、これほど見事に実践されているのは素晴らしいの一言です。

42の教育システムの詳細についてはRyota yaoiさんの記事のなかで紹介されていますので、そちらをご覧ください。意識していたわけではないのですが、4週間の入学試験などテックプレナー道場とも似ている点が多くありました。

続々と広がるエンジニア養成機関

衝撃的な42 tokyoだけではありません、同じ11月中にさまざまな養成機関のプログラムがリリースされています。すべてを把握できているわけではありませんが、面白いと感じたものを紹介します。

ちょうど昨日リリースされたばかりのようですが、株式会社LABOTが手掛ける出世払い式のプログラミング学校が2019年1月から始まるそうです。

以前から注目していたIncome Share Agreements(=所得分配契約/以下、ISAs)を採用しているとのことで、とても興味深いです。

現在の年収水準が概ね 420万円以下 の非IT職種・プログラミング未経験者を対象に、6ヶ月のカリキュラムを提供。入学金や学費の支払いが一切ない代わりに、卒業後に希望する職種への就労が実現した後、一定期間(24〜48ヶ月)、給与(月給)の13〜17%を支払う義務が発生します。学習中に挫折してしまったり、望む転職に成功しない場合や、当社の ISAs の規定に定める年収ライン(年320万円)を下回る期間においては、支払いの義務は発生しません。また、支払期間に病気や怪我、介護、育児等の何らかの事情で給与を得られない場合、その期間の ISAs における支払いは停止し、金利は発生しません。(引用:上記prtimes記事)

給与(月給)の13〜17%といのは家賃並の額になり、決して安くはなさそうです。一般的な奨学金の返済ほどゆっくりとはできなそうですが、その分だけ良い就職ができるようにという目標が自然とできてきそうてま、生徒としても運営としても高みを目指すという点において一心同体感のあるプログラムなのかと思います。

また、支払い義務においては、不動産賃貸でいえば家賃滞納に関わるところですので運営としてはリスクになりえるところですが、年収ラインや事情等を考慮する点において生徒に寄り添ったものになっていると感じました。生徒の挑戦を支えてくれる素晴らしい仕組みだと思います。

個人的に一番驚いたのは、テックプレナー道場同じ恵比寿ガーデンプレイスのなかに入っているということ(笑)一つ同じ屋根の下にあるということで機会があれば、お話を伺いに行きたいです。

もう一つ面白いと感じたのは、株式会社リーディング・エッジが手掛けるPython Start Labというプログラムです。

こちらも無償の3ヶ月間のプログラムを提供しているそうです。Pythonを全面に打ち出しており、個人的にとても親近感が湧きます(^^) 

「1年間で約350名」を育成していくとのことですので、3ヶ月を1期とすると1期あたり約90名を対象とするのでしょうかね。とても賑やかな想像を受けます。人材紹介・派遣をされていらっしゃるとのことで、学んだあとの就職先探しもサポートを受けられるのは生徒としては心強いですね。

PR Timesでこちらの会社名を見たときにどこかで見覚えがあると思って印象に残りました。振り返ってみると、主催されている「みんなのPython勉強会」で2年前にお話させてもらったことがあり、ご縁のある会社様だったことことが思い出されました。

今のようなPythonブームになる前から、一貫してPythonに関する事業やコミュニティ運営に取り組まれており、実績がある会社様だと思います。

所感

他にも私が見落としているだけでまだまだ取り組みがあると思いますが、こうして同じ時期に一斉にリリースされたというのが今回のおもしろい点と感じています。

冒頭で述べた42 tokyoのインパクトの大きなリリースがあったからというのもあるかもしれませんが、2019年という同じ時期にこれまでなかった理想的なIT教育のあり方を各社模索していたということが明らかになり、とても希望を感じました!

また、もう一つ特徴的と思ったことは、今回紹介したプログラム( + テックプレナー道場)はいずれも「未経験OK」、「無償」を掲げていた点です。私が テックプレナー道場をやろうとした理由の一つでもありますが、これほどITが浸透した社会においてもエンジニアリングを学ぶには、現行の教育システムや学費等の問題からまだまだ課題があると思います。こうしたところに向き合おうという動きになってきたことに希望とおもしろさを感じています。

最後にテックプレナー道場についても少しお話したいと思います。

テックプレナー道場自体は前身として、昨年から取り組んできた個人的な活動「SengokuLAB」がありました。エンジニアリングというよりは、データサイエンスを学び合う研究コミュニティです。通常は大学院生から研究を本格的に取り組むことが多いですが、研究をかたちにして世の中に発信するにはもっと①時間②学外に向けた発信③実践が必要という問題意識から、学部1,2年生、ゆくゆくは高校生から研究できるようにしようというコンセプトをもとに活動していました。

そのようななか、株式会社 デジサーチアンドアドバタイジングの黒越さんと出会い、私塾として運営されているクロコムのコンセプトやノウハウを学ばせていただきながらプログラム化したものがテックプレナー道場です。今回紹介した3社のプログラムとは似ているようで、コンセプトは別物です。

エンジニアを育成したいとか、就職ができるようにというところに重きは置いていません。また、プログラミングスクールを目指しているわけでもありません。

しっくりくる言葉が見つからなかったので、テックプレナーという造語を用いる事となりましたが、フロントエンド・バックエンド・データサイエンスを一人で担いサービスを立ち上げることができる仲間を増やし、コミュニティをつくることが、テックプレナー道場が目指していることです。そして、近い将来、高校に相当とする「学校」をつくることを目指しています。

ここについてはまた別途記事を書きたいと思います。現在は今夏に道場を実施して、200名を越える申し込みのなかから最終的に残った12名に「仕事を発注する」という次のステップに日夜取り組んでいます。それぞれのプログラムに取り組んでいる修了生が、やっとあの過酷なプログラムを終えたのに、さらにまだ見ぬ課題が待ち受けて日々ドラマを迎えている様子を横目で見守っています(笑)

まだまだ手探りで進めている状況ではありますが、11月にこうしたさまざまな無償エンジニア養成機関の登場を受けて、整理してみました!この記事が特にこれからプログラミングを学ぼうとされる方の参考になれば幸いです。

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