放送大学特別講義 アディクション~その現実と回復への支援~

放送大学特別講義 アディクション~その現実と回復への支援~

担当講師:松下年子(埼玉医科大学教授)

【アディクションは家族の病である】

…(中略)また、アルコール依存症によって仕事がしづらくなって本人の社会的生産性が低下します。

その家族も経済的・精神的に巻き込まれていきます。

アルコール依存症に限らずアディクションが「家族の病である」とも言われる所以です。 また、「家族の病である」もうひとつの意味は、【世代間連鎖をする病】であるということです。 アルコール依存症の親をもった≪息子はアルコール依存症になりやすく≫、≪娘はアルコール依存症の男性と結婚しやすい≫といわれています。そういった話をよく耳にします。...

【依存する人間関係が次の世代に受け継がれていく】、というような意味でもアルコール依存症は家族の病と言うことができます。 このようなアルコール依存症ですが、治癒はしないが回復はすると言われております。(以下割愛)

【リブ女性ハウス施設長 石井敦子さん】

アルコール、摂食、薬物 →女性ミーティングをやったらどうかっていうことで (1)女性はやはり一番は男性問題。 それかられからあと、 (2)家族の問題ですよね。共依存。 親が、“こうしちゃいけない、あぁしちゃいけない”とか、 “お姉ちゃんはできるのにあなたは何もできない”っていう。 そういう言葉とか。 (3)あとそれから女性はお姑さん、子育て。 それでキッチンドランカーになっていく。 それが一番多いですよね。

→今日のテーマ「新しい生き方」

【さいたまマック職員 影下妙子さん】

今を大事にしない方が多いんです。 今日はどうでもいいから明日がよくなればいい。 来年がよくなればいい。 20年後がよくなればいい。 みたいなことはある意味、今日から逃げている? (こういう)生き方が特徴なんですね。


★アディクション問題に向けた今後の課題★

【底つき体験】 「自分が依存症であること」や、「生き方の問題があること」を自覚し、 自分ではどうすることもできない事実に直面することを【底つき体験】と呼んでいます。そのような段階を経ていよいよとなって漸く回復に向けて動機づけられる、といわれています。 しかし、【底つき体験】まで待っていると本人が失うものが大きすぎて回復や社会復帰もその分遅くなります。

このため最近はアディクションに関してもできるだけ早期発見して早期介入することが目指されています。

それにはアディクション問題について国民に周知することや国レベルでその啓発や予防に 取り組んでいくことが大切です。

もちろんアディクション問題に対する医療や福祉体制を積極的に構築していくことやアディクションにかんする専門職者の養成も大切な課題と言えます。

[考察]常に新しい獲物を追いかけて新天地へと繰り広がっていったと考えられている新奇探索傾向の強い(ADHD?)遺伝子をもっている地域のヒトは不安を感じやすいので、アルコールとの親和性についても触れて考えられたい。

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