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『Restart』うつ病は人生の転換期

うつ病になる原因は人それぞれだが、共通していることがあるとすれば、それは脳疲労だろう。不安やストレスをうまく処理できず、常に悩んだり嫌なことを考えたりしているうちに、脳疲労が蓄積して徐々に症状が現れることもあれば、本人が無自覚のうちに疲労を溜め込んでしまって、突然心身に異常をきたして発症に気づく場合もある。いずれにしても、脳疲労が溜まりやすい『習慣』や『考え方』をしてしまっていることが問題なのだが、うつ病を患う前にこの問題に気づくのは難しいのではないだろうか。

脳疲労が溜まりやすい『習慣』や『考え方』をしてしまう原因について、自分自身の経験を踏まえて考えてみた。そこで思い当たったのが、物事の基準を「他人」や「世間」に合わせてしまっているということと、「~しなければならない」とか「~であるべき」という思考をしているということだ。こうした思考をしていると、”自分の本心”を”刷り込まれた価値観”で上書きしてしまうので、自分で行動を選択しているつもりでも、他人(世間)の目や意見を気にした選択をしていることになる。そのうち、自分の本心を無視するのが当たり前になってしまうから、心が満たされないし、何をやっても苦痛になってしまうのだと思う。

うつ病になる前の僕は仕事を大量に抱えると、「社会人だからプライベートを犠牲にしてでも納期に間に合わせなければならない」という考え方をしていた。(本心ではプライベートを犠牲にしたくなかったが)自分の抱えている仕事は自分が完遂させるべきで、それが社会人の責任だという考えに捕らわれていたのだ。勿論、仕事の納期は守らければならないのだが、そのためにプライベートを真っ先に犠牲にする必要はなかったと思う。

今の僕だったら、素直に一人で消化できるか不安であることを上司に相談する。その上で納期の変更やフォローは可能か確認して、一人で抱え込まないようにするだろう。それでも一人で抱え込まないといけないのなら、それは会社や上司の責任だ。開き直ろう。出来る範囲で頑張れば良い。そういう考えが出来るだけでも不安やストレスを軽減することは可能だ。

それから、自分の考えを積極的に主張することも、”刷り込まれた価値観”に支配されないためには重要だと思う。フレックスタイム制にしてほしいとか、テレワークにしてほしいとか、思っていることを率直に伝えるのだ。そうすることで、自分と会社(上司)の考え方の違いや抱えている問題が明確になることがある。解決案や妥協点を見いだせれば互いにとって有益だし、負担も減る。もし、自分の主張が全く聞き入れられない職場であれば、不満を募らせる前に転職するだろう。無理してその会社の色に染まろうとしても、自分が幸せになることはないということを過去の自分に教えたい。

僕は、うつ病を発症して色々なものを失った。とりわけ、"刷り込まれた価値観"で築いてきたものは見事に消えていった。最初は「人生終わった」と思ったし、今でも調子が悪いとそんな考えが過る。でも、冷静になって考えてみると、刷り込まれた価値観で築いたものが無くなっても、惜しいと思っていない自分がいることに気づいた。むしろ無くなってホッとしているくらいだ。きっと、刷り込まれた価値観で築いたものが『足枷』になっていたのだろう。それらを失って、漸く本当の自分が解放されたように思う。

僕が本当に欲しいのは『社会的地位』や『高い収入』や『広い人脈』ではなく、『干渉されない日常』と『自由な時間』と『本音で話せる関係』だ。世間一般と比べれば、今の僕は恐ろしいほどに何も持っていないし野心も無い。以前の僕なら不満や不安に思ったことだろう。でも、今は違う。自分の本心が解っているから、もう歩む方向を間違うことはないだろう。心の赴く方へ再出発したい。

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