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各都道府県の注力領域から見る、スタートアップにおすすめの地域

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xG(クロスジー)メディアは自治体とスタートアップの共創に関する有益な情報をお届けするメディアです。
コンテンツ第3弾として、各都道府県が重視している政策の特徴と、その背景について考察し、各業種ごとにおすすめの県を紹介します。

コンテンツ第1弾
年度末に全国の自治体で開催される実証実験・アクセラレータの成果報告会の内容を大公開。

コンテンツ第2弾
FromToが補助金を使用して行った経営合宿の内容をご紹介。

自治体ページ
各県庁・政令指定都市など人口規模の大きい自治体を中心に、自治体の特長・スタートアップ向けのコミュニティ・注力する事業分野などをまとめています。

初めに

スタートアップ企業は地域の特性に合わせた展開が重要ですが、具体的な情報や分析結果を提供することで、より効果的な地域選定が可能となります。

本記事では、日本各県で展開されている施策を47pass(lp.47pass.jp)の自治体ページを元に分析し、地域ごとの課題や特徴を歴史、地理的観点から考察します。その結果を踏まえて、各業種のスタートアップにおすすめの地域を紹介します。

地域の特徴や魅力を理解し、スタートアップの成功に繋げるために役立つ情報です。ぜひ最後までご確認ください!

全体の傾向

注力領域の集計スコア(拡大してご確認ください)

全体の傾向として、子育て、医療ヘルスケア福祉・介護観光・旅行が多くの都道府県で重用視されています。一方で、航空、宇宙、移住促進などの分野は比較的少ない県しか注力していません。

これらの傾向は、日本の地方自治体が直面する高齢化、人口流出、地方経済の衰退、地域特性の活用不足などの問題や特性が反映されていることがわかります。一方、"航空"や"宇宙"などの高度な産業は、特定の地域や条件が必要となるため、全体的に数が少ないと考えられます。


多くの都道府県が注力する分野

子育て

36都道府県が子育て分野の支援を公開しています。
子育て世代はそのまま労働人口における現役世代であることが大半なので、自治体にとっても、働くパパ・ママへの取り組みは必須とも言えます。

多くの県が子育て支援を重視していることから、子育て関連のサービスや製品を開発するスタートアップには多くの地方市場が開かれていることがわかります。


医療ヘルスケア

2019年から始まった新型コロナウイルスは、日本国内外における医療の問題点を浮き彫りにしました。さらに日本においては、少子高齢化に伴う医療従事者の減少や、病院の経営悪化など、医療に関わる問題点が今後さらに拡大していくと予想されています。国内でも27都道府県が注力していることから市場の大きさが見て取れます。

また、世界では医療DXの積極的な導入が勧められてきましたが、日本は諸外国に比べて遅れをとっています。オンライン予約・受付や電子カルテなど、医療DXなどは今後、多くの関心を集め、それに伴い、国内でも多くのビジネスチャンスが期待されるでしょう。

医療ヘルスケアに注力している都道府県

観光・旅行

日本国内の観光業市場の規模はコロナ禍以前の2019年では22兆円の規模であり、とても大きな市場です。

一方で、この市場は大手の旅行会社が牽引しており、中小企業や新規参入企業には厳しい市場でもあります。以前までは、とりわけ資金力に乏しいスタートアップが市場において立場を確立するのは至難の業でした。

しかし、コロナによるパンデミックの影響で、旅行業界は大きなダメージを受けました。またそのタイミングであらゆる業界でデジタル化が起こり、さらなるビジネスの拡大が進んでいます。

25都道府県が注力していることから地方進出も比較的しやすいでしょう。とりわけ観光資源が豊富な地域が多いことから、そのような地域にフォーカスを当てると良いでしょう。(北海道・京都・沖縄等)

医療ヘルスケアに注力している都道府県

地域性の高い分野

スマートシティ

岸田内閣が2022年を「スタートアップ創出元年」と位置付けるなか、スマートシティの取組みの1つとしてスタートアップとの連携が進んでいます。加えて、社外の技術や知を取り入れて既存事業の高度化や新規事業を創出する「オープンイノベーション」の有用性が知られるようになり、協業相手探しを支援するオープンイノベーションプラットフォームの活用も進んでいます。

現在、世界では1,000以上のスマートシティプロジェクトがあるとされ、調査会社IDCの試算によると2020年度のスマートシティ関連支出は世界で1,240億ドル(約13兆円)に達する見込みです。職種が多岐にわたるスマートシティ分野ですが、まだまだ地方での支援は少ないことを考慮しましょう。

スマートシティに注力している都道府県

宇宙産業

近年、世界規模で宇宙関連ビジネス市場が飛躍的な成長を見せています。それは日本国内においても例外ではなく、今後30年間で世界市場と同様の成長率で今後成長していくと言われています。そんな宇宙産業分野に注力している都道府県は国内3県でした。

1.愛知県
愛知県は、日本の航空機部品生産額等の約5割を占める航空宇宙産業の一大拠点であり、ボーイング機の機体構造、航空機エンジン、H3ロケットなどの開発・生産が盛んに行われている日本の航空宇宙産業の中心地です。

2.山口県
山口県内では成長産業育成事業が本格化している。市や県の補助金を活用した宇宙関連スタートアップが誕生したほか、同様の枠組みを使って新事業に取り組む地元企業も出てきています。県内に空港を持つ利便性も生かし、起業や新事業の育成を促進しています。

3.福島県
福島県には(株)IHIのジェットエンジン部品工場があり、関連部品の製造・加工技術を有する企業が立地しています。その他、航空分野のエンジン部品にとどまらず、ロケット関連部品、宇宙衛星通信関連部品等宇宙関連機器製造に実績のある企業も多い印象です。

宇宙分野は資金面・技術面等で、ビジネスの参入・成長のハードルが高いため、市や県の支援が豊富な上記3県は魅力的ではないでしょうか。

宇宙産業に注力している都道府県

防災・災害

水害、地震、豪雪・・・日本は言わずと知れた災害大国であり、阪神大震災や東日本大震災など、歴史に残るような大きな被災経験を重ねてきました。

各県の注力領域にもその影響が見て取れます。
東北地方や東海地方沿岸では静岡県の「地震・津波対策の充実」、宮城県の「災害からの復旧・復興、防災・減災、県土強靭化」など地震に関する内容が多くなっています。

一方で全国的にも自然災害が多い九州、四国地方では地震対策に加え福岡県の「気象警報、避難情報をわかりやすく配信」や佐賀県の「水 防情報・土砂災害情報の提供」など台風常襲地帯であることから大雨に関する分野も多く見られました。災害大国であるが故、自社のサービスにあった地域を選ぶことが求められそうです。

防災・災害に注力している都道府県

まとめ

以上、各都道府県の注力領域や特徴を紹介しました。地域の課題や特性を踏まえた展開が重要ですが、ぜひ皆さんには自社のサービスやビジネスにマッチする地域を選んでいただきたいと思います。

そのためにも、地域ごとの施策やデータをしっかりと分析し、情報収集を行ってください。さらに、他のnote記事もチェックしてみてください。今回の記事が皆さんの地域選定の参考になれば幸いです。どうぞ、引き続きxGメディアをご確認ください!

なお、本記事は47pass自治体ページ内の注力領域を独自に集計、考察したものになります。課題の詳細や個別の自治体の情報は47pass内(自治体ページ)よりご確認ください。
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