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かまいたち風SFミステリー”神無迷路”で空想科学を堪能した話

 皆さんは平成の名作ノベル”かまいたちの夜”をご存じだろうか?話の構成、文章の表現力、選択肢次第で様々な展開を魅せたあのゲームである。この作品はそれにインスパイアされたゲームで、節々にその”らしさ”を感じつつも作品独自の雰囲気を出してきている。その魅力を軽くかいつまんで紹介しよう。
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ノードを伝って進む遅延選択、消去

 本作のノベルは至ってシンプル。話を読み進んでいって出てきた選択肢を選び、展開を楽しみつつエンドを迎えたら巻き戻して違う選択肢を選んでまた進める…というもの。ただ選択肢の中にはロックされているものもあり、特定のエンドを迎えないと解除されないため試行錯誤繰り返しながら進めてい必要がある。こう聞くと少し難しそうといったイメージがつくが、難易度的には結構簡単であり、そうしたこともあってか比較的気軽に楽しめるのだ

今は選べないだけだと分かってはいるがいざ目の前にするとすごくやきもきする
早くロック解除して選ばしてくれ

 もちろんシステム周りも分かりやすいようになっている。場面と場面をつなぐ、いわばノードの繋がりの確認や会話ログ、登場人物や地図なども載っている。このおかげで仮に話に詰まったとしても、会話のヒントやノード間のつながりの察しにより『もしかしたらこの選択肢を選ぶと進むかも…?』と思うことができる。実際、プレイしている最中で少し詰まった箇所があったがこのシステムのおかげですぐ気づくことができた。

ノードには数字も振られているし取り残しも一切ない。ものすごく親切設計

運命の迷宮の出口の鍵は交差する科学知

 説明が遅れたがこのゲームのおおまかなあらすじについて紹介しよう。主人公の波立良志は三度の大学受験を失敗した浪人生。両親ともギクシャクしており家賃も数か月払えずにいた。そんな時資金を稼ごうと都心部から離れた山奥、合戸駅にある地下研究所のアルバイトを受けて資金を稼ごうと画策した。そこで出会う謎めいた美少女、若きカップル、小太りの男、ギャンブル狂いのおやじ、そして過去に亡くなったはずの幼馴染。突然の出来事に困惑しつつも、さらに時間の逆行や閉鎖された空間での殺人事件が起きたりと様々な展開が巻き起こる。主人公は様々な詰みの運命を回避しつつも一連の事象を真相を追求していくというものだ。

キャラそれぞれ空気みたいな立ち位置はほぼない。
白衣長髪気だるげな女科学者っていいよね…いい…

 シナリオに関してはSFミステリーと銘打ってはいるもの個人的にいうならばどちらかといえばSF重視ミステリー軽めといった内容だった。最終的には推理パートはあるのだが、時間逆行などを取り扱っている都合上、どうしてもSF色が強くでている印象である。とはいえ仮に科学知識ゼロでもなんだかんだ吞み込める内容ではあるのでそこまで気難しく捉えなくても良い。こんなんあるんだぁ~~ぐらいの認識でいいだろう。たぶん。

油断しているとも科学的な知識の暴力に見舞われる
俺の脳は2GBしか記憶できないんだから勘弁して

 登場する人物はすべてフルボイスということもあって全員がどういう性格や雰囲気なのかが分かりやすく、何より没入感が高まりやすい。また、かまいたちリスペクトではあるが令和のゲームらしく文字を進めるたびに常に場面やキャラを動かすため飽きさせないようにしている。音楽も全体的にはクラシックをメインに動かしており全体的に重苦しい空気を出しているが随所にコミカルな一文がでてくるため不思議とすいすい読み進めることができるのだ。

競馬娘って何がモチーフなんでしょうかねぇ(すっとぼけ)
あんまり深く追求すると緑の悪魔がやってきそうだ

総評

 色々語ったがじゃあ結局このゲームはどんな人に向いているノベルゲーなのだよって思ったかもしれない。なので簡単に述べてしまうと
・空想科学みたいなSFが好きな人
・あくまでもかまいたち風のテイストで楽しみたいっていう人

という人向けだ。逆にいえばサスペンス要素はすごく希薄でかまいたちの夜のような濃厚なミステリーだと思ってやると肩透かしをくらうかもしれない。しかしSFの入門みたいなノベルゲーだと考えるなら今作がとてもぴったりだなぁという印象だった。基本的にワンコインで買えるため、興味があったらぜひ購入してみてほしい。
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