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頭で考えるのでなく気付いたら行動してた、デザインという導火線。

社会人にデザインの知見を、という想いで講師と学生が共になって日々の学びを深めているXデザイン学校。実際に学びの場にいる方々の声を届けていく、クラスルームインタビュー。第14回目は現在2回目のベーシックコースで学ばれている赤松朋美さんです。


赤松朋美さん
2021年に新卒でNECに入社。金融機関との共創ビジネス推進を担当し、既存サービスのUX改善や新サービス創出に従事。

現在、どんなお仕事をされていますか?

今はNECの金融チームにいます。銀行さんと一緒に銀行の中の非金融領域、金融じゃない領域で新しいサービスを考えるためのグループに所属していて、今は既にローンチしているアプリのUX改善であったりUIの検討、プロトタイプを作るってところを業務で主にやっているのと、それとは別に自分自身がやりたいこと、自分自身のWILLを起点にした新規事業企画というのもやっていて、その両方を並行して進めています。

そんな赤松さんがデザインを学ぼう、Xデザイン学校に入ってみようと思ったきっかけはどういうきっかけですか。

今入社3年目なんですが、社会人1年目の時に退職する先輩の仕事を引き継ぐことになったんですね。その時にデザイン会社やそれこそ銀行を始めとした関係者の方と一緒に進めていく中で、自分自身UXを考えなきゃいけないのに全然知識がなくてまったく会話ができなくなって、プロジェクトの進みも遅くなれば、自分の力不足によって誰にも話を聞いてもらえない状態になったんです。これはどうにかしなきゃいけないと思ってデザイン学校を探し始めたのがきっかけで、Xデザイン学校を見つけました。しっかり学びたかったので、月1回1年間通えて平日の夜でなく休みの日にじっくりと学べ、幅広い年齢層の方がおられるので自分の社会人経験を増やすっていう意味でもこの学校を選びました。社会人2年目の時にベーシックコースに入ったのですが、3年目もベーシックコースを再受講しています。

どんな景色が見えるか見たかった、2周目。

再度同じコースを学んでみていかがですか?

1回目の時は、学び足りなかったという気持ちと同時に、自分自身の実務経験もなければ、大学の専攻も法律でこれまで自分が積み上げてきたものからしてデザインの要素がゼロだったので、知識をインプットしきれず溢れていってしまった部分があってモヤモヤした気持ちや悔しい気持ちが残りました。そんな納得する成果物が出せなかった悔しさがある反面、これを乗り越えたらどんな景色が見えるんだろう?という好奇心もとても強くて、もう1周してみれば、見える景色や自分自身の中でわかることがあるんじゃないか?と思い、今2周めのベーシックで学び続けています。同じコースでも1年目と同じメンバーはいなくて仲間もがらっと変わり、チーム内の年齢層も違えば女性/男性比率も全然違うので、新鮮でおもしろいです。

モビリティ社会における新たなサービスをチームで企画・提案

もちろん去年もこれやったなってところもあるんですが、意外とここがわからなかったんだな……って部分がわかることが多くて、よりクリアになっていく感じです。講義が始まった頃のこの部分を自分はわかってなかったんだとか、表面だけ理解していて核心の部分を全然理解できてなかったなとか気付いたり、わかってはいるけど実際に動くとなるとできないなとか、まだバタバタしてる気持ちを痛感していて、延々その繰り返しではあるのですが、それが楽しいし、ここがわかんなかったんだー!ってわかっていくのも私はうれしくて、少しずつ表面だけの理解から核心の方へ入っていけているのかなという感覚を持っています。

でも、まだ人生経験が少なくて世界を知らないということを感じる日々なので、もっといろんなことを私も知りたいし、いろんなところに行っていろんな人と話して、それを自分の中の引き出しにして、いつか取り出せるようにしていきたいなというのが、今の私の目標です。Xデザイン学校でスポット的に実施しているフィールドワークもあるので参加もしたいし、自分の足で稼ぐ経験をたくさん重ねていきたいですね。

一緒に学ばれている仲間はどんな方々です?

メーカーとかデザイン会社とかコンサルとか、男性女性問わずさまざまな年齢層の上司も部下も関係のない友だちみたいな方々がたくさんできて、純粋にデザインについて話せる仲間ができました。今でも飲みにいく人がいて「2周目どうです?」って話聞いてくれたり、去年こういうところで煮詰まったよねって話したりする中で、“やっぱり実務でやっていくのが難しいよね”って話にもなるんです。すると、それぞれの皆さんが業務の中でどうやって解決しようとしてるのか?も役職や年齢によって見える世界が違うので、上司もこういうこと考えてるのかな?と推察を得る場にもなって、純粋にデザインの話ができる仲間ができて楽しいだけでなく、利害関係のない人たちの実務の取り組み方も知られて仕事に役立っています。今年のメンバーともかなり仲良くなって、社会人になると会社以外の人脈ってなかなかできないのでとても面白いです。

今、赤松さんが注力しているのはどんな領域ですか?

業務的に今はUXが柱になっています。私は社内では特殊な仕事になるのですが、アプリを作っているんです。コンシューマー向けのプロダクトを作っているので、カスタマージャーニーを書くこともありますし、新規事業ではペルソナを書いて、その後のシナリオを書いて、ワイヤーを作って、という仕事をしています。当社はハードやネットワークが強みで、技術起点かつBtoBがメインビジネスなので、これまでは売ればOK・作ればOKという考え方もあったんですが、最近BtoBの先に使うユーザーがいるよね、と社内の意識も高まっていて、作れば終わりじゃなくその先の使う人のための体験を考えて作っていくという方向へしっかり変えていこうという空気が社内にあって、それをデザインとは思わずにやっているような感覚があります。私の想いとしても、もっと広いサービスデザインの方に進みたくて、ユーザーだけじゃなくステークホルダー全体を見るようなサービスを作っていくために、自分自身の抽象的なところを言語化したりとか、もっと具体的なところに落とし込んでいくために現地へフィールドワーク行ってみたりとか、そういうことの繰り返しを自分自身がもっとやりたいと思っているので、UXをやりながらサービスデザインや組織のビジョンも考えていける人間になりたいと思っています。

共通言語になるのが、楽しい。

デザイナーとして仕事してて楽しいですか。

楽しいですね。やっぱりこの道に進んで良かったなって思うし、いろんな偶然が重なって、私は今このポジションに流れ着いた感じもあるんですが、それもまた運命というか、いい運命だったなと思っていますね。若いのをいいことに自由にやらせてもらってるので、新規案件で学んだことをすぐ実務でやってみることができるのも楽しいです。それに仲間と出会ったことで人間関係、例えば上司との付き合い方も多少なりともうまくなったなと思っていて、どういうことを伝えたらやりたいことが伝わるのか、受け入れてくれるのか。これもいろんな大人の方たちと会話をすることで身に付いたことで、もともと関わっていたデザイン会社さんとの対話も先方にもよくなったねって声かけてもらえるようになってきたので、とても学びが生かされてるなと思います。

デザインが持つ力ってどういうところに魅力を感じますか?

そうですね、ちょっと丁寧に伝えたいな…•。私の中では共通言語になると思っていて、それこそ一緒にやってる人にしか通じない言葉やニュアンスも、デザインを通じて会話をしていくと同じ理解を得やすい、同じ認識になりやすいと思ってるんです。何か議論が発散したり、掛け違いが起きてそうって時も「もうちょっとここから考えませんか?」とか、そういう時にデザインを通じて考え直すと意識が統一されていく感覚があるんです。社内でも社外でもペルソナなり、ジャーニーなりを見せてこうだよねって言うと「そうだった!」と、同じレベルに落ち着くと言うか。価値ってこういうところだよね、とFIGMA等に言語化して取り留めたものに立ち返って「もう一回議論しません?」ってやると「やっぱりこの時こう考えてたよね」って皆で議論した瞬間の意識に統一して戻ってこれるので、ブレちゃいけない価値をメンバー全員で持ち続けるためにデザインはとても有用だなと思います。

私にとって、デザインとは「感情の集合」。

赤松さんにとって、デザインとは何ですか?

私にとってデザインって、“感情の集合”だなと思っていて。私はデザインを通してもちろん実務的によくなったこともあるんですが、自分の中の感情が爆発したのがデザインとの出会いで、悔しいって思いも楽しいって思いもワクワクも悲しさも、一番は楽しいなんですがそういう感情に出会えたのかデザインだし、それによって国内外いろんなところに自分の足がフットワーク軽く動くようになって、それもただ行くだけじゃなくてそこで出会った人たちと話をして、自分の中で“そうなんだ、そうなんだ!”って好奇心がどんどん刺激される連鎖が起きたのがデザインだったので、私の中では“感情の集まるもの”がデザインだなって思ってます。自分の中の世界が一気に変わりましたし、すごくいい出会いでしたし、本当にいろんな人に赤松明るくなったねって言われて。最初は悔しい、できない、こんなにできないんだっていう悔しさが初めて強烈に自分の中に残ったんですね。どうしてもこれをもっと自分の身になるものにしたい!って思いながら、最後の講義の時に一気にドバーって感情が出てきて、いろんな人の発表を聞いて自分のグループの発表も聞いて、もう1年間の悔しさとかいろいろこみ上げてきた時に“何か自分はこれをやらなきゃいけない、これを楽しくなくなる瞬間までやらないといけない”と思って。その時に「すごく好き、なんだな」と思って、デザインが。悔しいだけじゃなくいろんな感情が起きるって、好きだからそう思うんだろうな、と思って。で、なんでデザイン、好きなんだろ?ってことを最近考えているのですが、ほんとに一番身近なところでいうと、社内外の人々にデザインに携わることで初めて赤松という人間を認識されたっていうこと。それまではもうただの新入社員みたいな感じで、自分のポジションが確立できたのもデザインのおかげなんです。それだけでなく、例えば新規事業も取り組んでいく中で、これが“自分の好き”なのかも?!ってものに対して新しいサービスをどんどん考えていくような時にデザインの学びがあったから、自分の中の妄想で終わってたものが現実になっていくような感覚もあったりして、私、結構妄想癖があるんですけど、そういう頭の中で描いてたものを実際に落とし込めたのもデザインゆえで、自分が仕事のやりやすさを確立できたのもデザインのおかげだし、自分の中の見えたものを少しずつ現実に落としていくための手法もデザインのおかげなんです。その土台として、若いんだからいろんなところへ行っていろんな経験をした方がいいよ、と先生にも示唆されて素直にいろいろ行ったりし始めたら、いろんな人と出会って「これ面白い、こういうのってもっとこうしたらデザインに生きるんじゃないか?」とか、自分のこれまでなんとなくやってきた知識や経験が実は面白いものに繋がるのかもしれない、というのが見えてきて、またそこから好奇心が増えて。そういう連鎖反応が自分の中で、もう言葉でなく「%‘#$)!!」ってなった瞬間にもう頭で考えるのでなく行動してる!って人生になってきてます。これもデザインのおかげなんだな、と思っています。


イキイキとした言葉でデザインと出会った喜びを教えてくれた赤松さん。デザインと出会う前はもっと暗かったそうで、パーソナリティまで明るくするデザインの力に驚愕です。デザインのおもしろさは、やっぱり広くて深いです。